入金額変動の謎
「う~ん、変だな・・・」
夕食の準備が始まるまでの暫しの時間、
研究所の宿泊施設にあるリビング・スペースにて、
其々がソファセットに腰を下ろし歓談などを楽しんで居た中、
先程から、自らのスキルをチェックしていたコインが呟く
「どうか、したんっすか?コイン」
『キュッ?』
その声を、隣に腰掛けていたサナエと、
コインの膝の上で丸まっていたファーが聞き留めた。
「え?ああ、僕、今、口に出してましたか?」
「うん、何か『変だな』とか言ってたっすよね?」
『キュ~』
「ええ、実は自分のユニーク・スキルのチェックを
してたんですよ」
「ああ、偶に暇があると、コイン
良くチェックしてるっすよね」
『キュッ』
「ええ、ユニークは僕にとっての生命線ですからね、
特に、数に限りのある『マイ・バンク』の残高に関しては、
円硬貨の出入りを細かくチェックしてるんですよ」
「確か、他の世界に居るコインのオリジナルとかいう人が、
溜めてる小銭と同額の入金があるんっすよね?」
「ええ、そうですね」
「そんで、その残高か何かが如何かしたんっすか?」
「ええ、それなんですけど、
向こうの世界の僕って、今、まだ学生をやってるんで、
お金の使い道なんて、そうそう変化が無いんですよ、
だから、週毎とか、月毎に入って来る硬貨の数にも、
多少の増減はあるものの、大した違いなんて無かったんですよね、
それが、最近になってから段々、
500円や50円が増えて来て、
逆に5円や1円が減って来てるんですよね」
「確か、コインのブーストって、
少ない金額の硬貨の方が強力なんっすよね?
そんじゃ、これって結構重大な問題なんじゃ無いんっすか!?」
『キュキュ~!?』
「うん?如何かしたのかい?サナエ」
驚きの声を上げたサナエに気付いた
ポラリが、そう問い掛けた。
「ああ、ポラリの姉さん、
コインのブーストに使う硬貨の1エンとか5エンとかの入りが、
少なくなって来てるそうなんっすよ」
「何だって?そりゃホントなのかい?コイン」
自分達の冒険者パーティーに取っても、
コインのユニークは重要な役目を担っているので、
ポラリが確認の意を示す
「ええ、ポラリさん、
まだまだ1円も5円も残高がタップリとあるので、
今直ぐ、如何こうって訳では無いんですけど、
入金が少なくなって来ているのは確かですね・・・」
「今現在、残高はどれだけあるんだい?」
「え~と、ちょっと待って下さいね・・・
1円が1万6千ちょっとで、5円が6千枚ぐらいですかね」
「う~ん、まあ確かにそれだけあれば、
暫くは如何こうって訳でも無さそうだけど、
首都に行ってダンジョンに挑むとなると、
残高が多いに越した事は無いからね、
入金が減って来てるってのは問題だよね、
しかし、何だって急に減ったのかね?
何か、コインには、
それらしき理由が思い当たらないのかい?」
「う~ん、何ですかね・・・
年齢が上がって小遣いが増えたというのなら、
逆に使う金額や、お釣りの小銭も増える筈ですからね、
こりゃ、いよいよ向こうの世界に居る、
爺ちゃんと母さんが決裂でもして、
業績不振で『小銭家具センター』が倒産でもしたのかな?」
こちらの世界での生活に慣れて来たコインが、
他人事の様に、そう語る
「でも、大きい金額の硬貨は増えてるんっすよね?」
「そうなんですよね、
だから、あっちの世界で暮らしてる、
オリジナルの小遣いが減ったって訳でも無いんですよね・・・」




