小なる絶壁
「そんじゃ、顔合わせも終わった事だし、
折角リビングルームに居てソファセットもあるんだから、
皆、腰を落ち着けて話をしましょうよ、
まだ、晩飯の焼肉パーティーまでは時間があるんでしょ?」
ポラリとサナエが土下座から立ち上がったのを見計らった
女神ちゃん(小)が告げる
「はっ、御眷属様、
こちらの施設関係者の方からは、
6時頃から準備を始めると伺って居りますので、
まだ1時間程の余裕があります。」
女神ちゃん(小)の問い掛けに、
ポラリが、何故かピシッとした姿勢で敬礼を決めながら答える
「ポラリちゃん、『御眷属様』なんて呼び方は堅いから、
私の事はフレンドリーに『メガちゃん』とでも呼んでくれれば良いわよ」
「『エガちゃん』みたいに言うな!」
コインのツッコミが入った。
「その様に、恐れ多い御呼び掛けは出来ません」
「そうっすよね」
「あら、そう?
そんじゃ・・・(小)から取って『ショウちゃん』じゃ如何かしら?」
「では、『ショウ様』と御呼びをさせて頂きます。」
「そうっすね、それならオレも何とか御呼び出来そうっす。」
「ホントは『様』もいらないんだけど、
話しが進みそうも無いから、まあ、それで良いか、
私の呼び方は、それで良いとして、
サナエちゃん、貴女、そんなにカワイらしい女の子なんだから、
自分の事を『オレ』なんて呼んじゃダメじゃないのよ」
「え~!?オレがカワイイ訳無いじゃないっすか、
子供の頃から、女の子の友達とより、
男友達と遊んで回ってたから『オトコオンナ』とか言われてたんっすよ」
「それは、子供の頃の話しでしょ?
今では、ちゃんとした女の子に成長したんだから、
その辺も、シッカリ直しといた方が良いと思うわよ?
ねえ、コインも、そう思わない?」
「僕ですか?
まあ、『オレ』の方でも、
サナエさんにはカッコ似合ってて良いとは思うんですけど、
これから、S級のポラリさん達と冒険者パーティーを組んだ事から、
偉い人とかと顔を合わせる機会とかも出て来ると思うんで、
今の内から、言葉使いとかも直して置いた方が良いかも知れませんね、
普段から使って慣れて居ないと、
なかなか咄嗟の時に出て来ないものですからね」
「うっ、確かに、姉さん方に恥を掻かす訳には行かないっすね・・・
いきなり『私』とか言うのは、こっぱずかしいっすから、
最初の内は『アタイ』とかでも良いっすか?」
「う~ん、まっ良いか!
サナエちゃんが慣れて来るまでは、
まあ、それでも良いわよ」
「私らは別に、気にしちゃ居ないっちゃ居ないんだけど、
言葉使いを直すのは、サナエの為にも良い事だからね、
そんな風にオイオイ直して行けば良いんじゃ無いかい?」
「リー義姉っぽくて良い」
相変わらず無表情ながらも、
パサラが、前に出した拳の親指を立てる
サムズアップのポーズを決めながら賛同の意を表した。
「ポラリさん、パサラさんが言ってる
リーさんて方は何方なんですか?」
「リーナ様は、ライ陛下の奥方様方の御一方で、
こう言っちゃ失礼かも知れないんだけど、
体格的にも、精神年齢的にも、
当時、子供だった私やパサラに一番近かったんで、
良く遊んで貰ったりして構って頂いたんだよ、
だから、私らに取っちゃ一番身近で親しみを感じる、
お姉さん的な方なのさ・・・」
「なる程、その方を思い起こさせるなら、
パサラさんが賛成するのにも納得出来ますね」