タレ派とシオ派
「私は、焼肉料理を作るのが初めてなのですが、
どの様に調理をすれば良いのかをお教え頂けますかな?」
研究所で調理を担当しているビーサンが、
肉とタレを供給したパサラらに尋ねる
「下準備としては、それ程の手間では無いんだけど、
火が通り易い様に肉は薄切りで1~2口大の大きさにカットして、
付け合せとしての野菜も、
やっぱ火が通り易くて、食べ易い大きさにカットして、
後は強火で網焼きにしながら、タレや塩を付けて食べるって感じかねぇ・・・」
「簡単そうに見えて奥が深い料理」
「今回の肉は高級なんで、焼いてからタレを付けた方が、
僕は、肉の旨味がより感じられると思うんですけど、
安いお肉とか内臓関係なんかは、
予めタレとかに漬け込んでクセを消した方が美味しいですよね」
「オレは、クセの強い肉とか内臓も好きっすね」
「なる程、一見簡単そうに見えて、
肉や野菜のカットの具合によっても味が変わるって訳ですね?
私が前に勤めていた食堂でも、
調理の種類別にカットナイフや道具を変えていたので分かります。」
「へ~、一口に下拵えと言っても色々あるんですね~」
ビーサンが務めていた食堂は、
どうやら、ちゃんとした店の様で、
下拵えの大切さを良く理解している様子だ
また、普段は、ビーサンの調理作業に無頓着と見られるシーサンは、
感心した様子で発言していた。
「そう言えば、焼肉は、
皆が、その場で自分で焼きながら食べるのがベストなんだけど、
ここには、大き目の焼き台とか、大判の網とかはあるのかい?」
「私は炭焼きが好き」
「皆でワイワイ言って焼きながら食べると、
雰囲気も味付けの一つになりますよね」
「オレも、皆で騒ぎながら食べるのが好きっす!」
「皆で焼きながらとなると、
焼き台もテーブルに乗せられる様な物が良いですよね?
いや~、お客様が多い事もあるので、
据え付けの調理器具は大型の物が厨房にあるのですが、
テーブルに乗せられる物となると御座いませんねぇ
網の方も、魚を何匹かづつ焼ける程度の大きさの物が幾つかあるだけですね」
「今まで、その場で調理する事なんて無かったですもんね、
基本、ビーサンさんが、予め調理した料理を食堂に並べるだけですもんね」
「まあ、普通は、そうだよね、
調理器具や網の方は、私らの魔導バッグに収納してあるから、
それを使う様にすれば良いよ、
ビーサンさんは、肉とか野菜のカットの方をお願い出来るかい?」
「炭じゃ無いけど、遠赤外線の優れ物」
「焼き台とかのセッティングは、僕らがやりますので任せて下さい。」
「オレは、ビーサンさんの方を手伝うっすね、
焼肉は何回もしてるっすから、
肉や野菜のカットのアドバイスは任せて欲しいっすね!」
「ありがとう御座います。分かりました
では、私の方はサナエさんに御手伝いを頂いて、
食材の下拵えの方を担当させて頂きますね」
「そんじゃ、俺はポラリさん達と、
テーブルセッティングの方をする事としますかね」
「ああ、それじゃ早速、準備の方を始めるかい?」
「いえ、皆様には先に、
ウチの自慢の温泉にお入り頂いて、
旅の疲れを癒して頂いてからの方が宜しいかと存じます。
お食事の匂いや汗などが気になられるなら、
ウチの大浴場は24時間いつでもお入りになられますので、
食後にでも、また改めて、お入り頂ければ宜しいかと存じます。」
「いつでも入れるってのは、また嬉しいね、
そんじゃ、折角のビーサンさんのお薦めなんで、
そうさせて貰うとするかね」
「賛成」
「料理をする前に、サッパリとして置いた方が良いですもんね」
「オレは、シャワーだけで十分っす・・・」