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餓鬼大将

「むぅ・・・眠い、『餓鬼』」

心地よい惰眠を妨げられ、無表情の中にも、

うっすらと不機嫌な表情を浮かべたパサラが呪文を唱えると、

地面に浮かび上がった大きな魔法陣の中から、

腹だけが膨れ上がり、

それ以外の体は、骨が浮かび上がる程に痩せ細った

醜悪な外見を持つ小鬼どもが多数現われ、

街道の上にバラバラに散らばった船の破片を、

ガリガリと齧り始めた。


「オヤスミ中だったところを済みませんね、パサラさん

ポラリさんが、この手を使うのが一番早く船の残骸を、

片付けられるだろうって話でしたので・・・」

「まあ、実際に見てみても早いだろ?」

「流石はパサラのあねさんっす!」

意識の無いマックスをクロイチェル村まで搬送するにあたり、

街道に散らばった船の破片を、

このままにして立ち去るのは不味いであろうという話になり、

パサラの暗黒魔導にて、手早く片付ける手段が選ばれたのであった。


「まあ、良い」


「ありがとう御座います。

そろそろ、粗方あらかたの破片が喰い尽くされた様ですし、

クロイチェル村に向かいましょうか?」

「ああ、そうするかね」

「そうっすね、予定外の出来事で時間を食ったんで、

明るい内に村に着ける筈だったのが、

うっすらと暮れて来てるっすからね」


「分かった。・・・『ハウス』」

パサラが再び呪文を唱えると、

先程の魔法陣に良く似てはいるものの、

少し描かれている内容が異なって見える物が地面へと浮かび上がり、

小鬼たちがゾロゾロと、その中に帰っていった。


「いつも思うんですけど、

パサラさんが使う暗黒魔導で現れる魔法生物?って、

魔法を解除すると消えるとかじゃ無くて、

また魔法陣を造って、どこかに送り返すんですね」


「そう・・・解除しても消えない特別製」

「パサラの魔法は、普通の召喚魔法とは違うからね、

魔力を使って疑似生命体を生み出す召喚魔法に対して、

パサラのは、こことは違う空間に生息している生物を、

無理やり引っ張り出して来て、

こき使ってるとかって話を本人から聞いたよ」

「流石はパサラの姉さんっす!」


「ハハハ、それは実にパサラさんらしい魔法ですね・・・」


街道の掃除を終えたコイン一行は、

馬車へと乗り込んでクロイチェル村へと向かった。


「そう言えば、サナエさん

午前中に話していたクロイチェル村で、

空を飛ぶ研究をしている人って、

もしかすると、後ろに乗せてるマックスさんの事ですかね?」

馬車の御者台にて、隣で手綱を操っているサナエへと、

コインが尋ねる


「まあ、本人では無いとしても、

何らかの関係者なのは間違い無いと思うっすね」


「そうですよね、一つの村に、そんな研究をしている人が、

そう何人も居るなんて事は考えられないですもんね」


「同感っす。」

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