未確認飛行物体
何とか、ハードワークの日々を脱しましたので、
ボチボチと更新を再開したいと思います。<(_ _)>
「ん?ありゃ、何っすかね?」
コインと共に馬車の御者台へと腰を下ろし、
馬達に指示を出す手綱を握っていたサナエが、そう告げる
「どうかしたんですか?サナエさん、
・・・・・何か見えますかね?」
コインらが乗る馬車が進む街道の、
前方へと視線を固定したまま発言をしたサナエに対し、
同じ様に前方へと視線をやったコインが質問をする
「コイン、もっと上っすよ上、
ちょうど、オレ達が進む街道の上に沿って、
何かが飛んで来ている様に見えるんっすよね」
「上ですか?・・・あっ!
確かに何かがポツンと見えていますね」
サナエの言葉に、コインが視線を街道の上へとやると、
確かに、何か黒い点がポツンと見えているのを確認した。
「あれは・・・船っすかね?」
「流石に目が良いですねサナエさん、
僕には、タダの黒い点にしか見えませんよ、
しかし、空を飛ぶ船って事は『飛行船』って事ですか?」
レベルが上がり、常人よりは視力が上がっているコインだが、
元々の視力が高い獣人のサナエの様には行かない様であった。
「ヒコウセンっすか?
コインは、アレの事を知ってるんっすか?」
「いいや、あれは、コインが言っている飛行船とは別もんだね、
私が見た感じ、2~3人程度が乗れそうな大きさの、
木造の手こぎ船が飛んで来ている様だね」
「ポラリの姉さん!
姉さんの言う通りっすね、
オレにもタダの船が飛んでるみたいに見えるっす。」
「ポラリさんは、飛行船を知ってるんですね」
2人の会話に、御者台と馬車の内部を隔てる壁に設けられた
小窓から顔を出したポラリが参加をして来た様だ。
「ああ、『ニホン』の事に関しちゃ、
パサラと一緒に、陛下から色々とお聞きしたからね、
サブリミナル効果とか言う、恐ろしい洗脳技術が使われた
『TKG』と船体に書かれた悪の飛行船に関しちゃ、
私らも聞き及んでるよ・・・」
「その、サブ・・・何とか効果って何っすか?」
「ポラリさん、一応言っときますけど、
その飛行船は実在しませんからね?
それから、飛行船じゃ無いって事は、
魔法とかを使った魔導具的な船が飛んで来ているって事何ですかね?」
「う~ん、そんな魔導具があるって話は聞いた事が無いけどね、
魔導具造りに関しちゃ、最先端を誇っているコウガ王国でも、
未だに空を飛ぶ時は、大型の飛行魔獣を使っているぐらいだからね」
「オレも、龍便とか言うのを聞いた事があるっす。」
「へ~、魔獣を使って飛ぶってのは凄いですね、
まあ、それはそれとして、
僕の目にも船らしい形には見えて来たんですけど、
あれって、何だか、こっちに向かって飛んで来てるんじゃ無いですかね?」
ポラリらとの会話を交わしつつも、
視線を、謎の飛行物体へと固定していたコインが、そう告げる
「何だって?・・・確かに、方向的には、
一直線に、こっちに向かってるみたいだね、
高度も段々と下がって来ている様だし、
サナエ、一応、馬車を街道から避けて停車させときな」
コインの言葉で、再び飛行物体へと目線を送ったポラリが指示を出す。
「了解っす!姉さん」
「ええ、念の為に避けて置いた方が安全そうですよね」