ササランの葉寿司
「流石に魔導具だけあって、
凄い切れ味っすね」
サナエが、パサラより借りた
魔包丁『マゴロック』にて、
ファーが獲って来た全長1メートル程のマスの様な魚を、
3枚に下しながら告げる、
ちなみに、内臓はサナエが穴を掘って埋めようとしたところ、
ファーが食べたいという意志を告げる様に鳴いたので、
一応、火を通してから与えていた。
「サナエさん、魚捌くの上手いですね」
そんな、サナエの作業を見ながらコインが告げた。
「魚は大好物っすからね、
村を出てからも美味しく食べられる様に、
子供の頃から練習をしていたんっすよ」
「なる程、『好きこそ物の上手なれ』って事ですね」
「まあ、そう言う事っすね、
それで、姉さん方、
捌いた魚は、どんな料理にすれば良いっすか?」
「そうだな・・・私は単純に塩を振って焼いてもらえば良いな」
「ササランの包み焼き」
「僕も、ポラリさんと一緒で塩焼きでお願いします。」
『キュキュ~!』
「はいはい、ポラリの姉さんとコインが塩焼きで、
パサラの姉さんが包み焼き、
ファーは、いつもの様に生のまま切り身でって言ってるんっすよね?」
『キュッ!』
「了解っす!」
サナエが皆の要望を聞いて調理台へと向かったので、
コインらは、テーブルの上に食器などを並べに向かった。
ちなみに、パサラのオーダーに出て来た『ササラン』とは、
ササランの葉を指示しており、
その形状は、日本の笹の葉に良く似ているが、
一枚の葉の大きさが幅20センチ、長さ50センチ程と巨大で、
その葉に包んで、魚や肉を焼くと、
素材の生臭さを消して、爽やかな風味になると人気があった。
「おまたせ~っす!」
テーブルに食器を並べたコインらが、
其々、いつも自分が着く席に座り歓談をしていると、
焼き網に乗せられた塩焼きと、
フライパンに乗った包み焼きを各2つづつ、
両手に持ったサナエが、そう告げながらやって来る、
どうやらサナエは、パサラに倣い包み焼きにした様である、
ちなみに、一番の貢献者であるファーには、
皆より一足先に切り身が与えられて、
その美味しさと、満腹感に満足して、
コインの足元で丸くなって昼寝をしていた。
「ああ、調理お疲れさん、サナエ」
「ご苦労」
「ありがとう御座います。サナエさん」
皆は、サナエへの礼の言葉を口にしながら、
各々、注文した料理を自分の皿に乗せ、
サナエの分は、テーブルに置かれたトングにて、
コインが、サナエの皿へと乗せた。
「そんじゃ、コレを置いて来るっすね」
サナエが、両手に持った焼き網とフライパンを、
簡易調理場へと置きに向かった。
「ああ、サナエが帰ってきたら食事を始めよう」
「良い匂い」
「はい、ポラリさん、
この塩焼き、脂が乗って美味しそうですね」