関の・・・
「しかし、ファーが獲って来た魚にしても、
このサイズの魚を捌くのは一苦労っすよね」
パサラが釣り上げた5メートル超えの大物を、
魔導バッグへと収納した後、
ファーの獲って来た魚を昼食のオカズの一品として、
調理しようとしているサナエが、そう告げる。
ちなみに、この世界では一般的に包丁では無く、
ナイフの様な形状の刃物で食材が捌かれる事が多く、
サナエも多分に洩れず、
主に、刃渡り20センチ程のナイフを使って調理をしていた。
「そうですね、ファーが獲って来た魚にしても、
見た感じ、どれも1メートルはあるみたいですもんね、
このサイズだと、大物を捌く為の専用の刃物が欲しいところですよね」
『キュキュ~!』
サナエの言葉に、コインが同意の意見を示し、
ファーは自慢するかの様な鳴き声を上げた。
「おいパサラ、サスケ陛下から頂いたアレを貸してあげれば、
良いんじゃ無いのかい?」
「分かった・・・ハイ。」
ポラリの言葉に頷いたパサラが、
魔導バッグの中から何やらを取り出すと、
サナエへと向かい差し出した。
「パサラの姉さん、何っすかコレ?」
「木の・・・棒ですかね?」
『キュキュッ?』
パサラが差し出した物体をみたサナエとコインとファーが、
首を傾げながら、各々そう発言をする
「それは『魔包丁マゴロック』」
「魔包丁って・・・魔法の包丁って事っすか?」
「ああ、その木の棒みたいのって、
包丁の柄の部分なんですね、
それと、包丁でマゴロックって・・・」
『キュ~』
「ああ、ソレは、
パサラが、コウガ王国のサスケ陛下から頂いた物で、
魔力を込めると、その強さに応じて魔法の刃が現われるって代物なのさ」
「超レアもの」
「御多分に洩れず、獣人のオレは魔力量が少ないんっすけど、
オレの魔力量でも大丈夫なんっすか?」
「コイン・・・500円で」
「はいはい、僕がブーストすれば良いんですね、
ちょっと待って下さいね・・・『コイン・ブースト!』
良いですよ、サナエさん」
パサラより指示を受けたコインが、
頭の中で『マイ・バンク』より500円を引き出してから、
呪文を唱えた後、サナエに告げた。
「ああ、サンキュなコイン、
え~と、身体強化をする時みたいな感覚で、
腕に魔力を流せば良いんっすよね・・・おおっ!刃が現われたっす!」
サナエが、一見ただの木の棒に見える物体を持った、
自らの右手に魔力を流すと、
白く輝く1メートル程の長さの剣の様な形状の刃が現われた。
「へ~、ライトセイバーみたいなのが現われるのかと思ってたら、
輝きを放っているけど、ちゃんとした刃物の様な物が現われるんですね」
『キュキュ~!』
その様子を見ていたコインらが告げる
「初めてソレを見た時に、
ライ陛下も、そう仰って居られたけど、
サスケ陛下から『それじゃ、食材を捌きにくいじゃん』って言われて居られたぞ」
「そうだった。」
「なる程、確かにビーム形状の刃じゃ、
どれだけ刃が食材に入ってるかが分かりづらいし、
ヘタすると、まな板や、
その下の台まで切断しちゃうかも知れませんもんね」
『キュッ』