1本のサオでは折れてしまうが・・・
「何じゃマタか!?マタなのか!?
ついさっき、やり取りしたばかりなのに早過ぎるじゃろう!」
ぶつぶつと文句を言いながらも、
『タイガー・ジェット湖』の守り神である
『タイガー・ジェット神』がパサラの目の前へと、
湖の中から浮かび上がって来た。
「サオ返して。」
神様の小言は聞き流して、
パサラがストレートに、
湖へと(ワザと)落としたサオの返還を要求する
「う、うむ、では、お前が湖に落としたサオは、
この『普通のサオ』か?
それとも、こちらの『金のサオ』若しくは『銀のサオ』か?」
「あっ!パサラさ「金のサオ!」
あ~、間に合わなかったか・・・」
この後の展開に気付いたコインが、
パサラにアドバイスをしようとしたが、
間に合わずにパサラが答えてしまった。
「ほぅ、お主が落としたのは『金のサオ』で、
本当に、間違い無いのか?」
「そう・・・しかも、金のサオを3本」
「ぬぅ~、しかも増やしてさえ来るか!
うぬ~・・・よかろう!
お主ほど、自分の欲望に忠実な者が現われたのは初めてじゃ!
褒美に『金のサオ』を3本くれてやろうぞ!」
「ついでに、普通のサオも返して」
「ぬおぉぉぉっ!持ってけドロボウ!」
神様は、パサラに『金のサオ』3本と、
普通のサオを手渡すと、
やけくそ気味に、湖の中へと消え去った。
「あれ~?僕の知ってる童話と結末が全然違うんだけどぉ・・・?」
「あの子に、一般的な常識が通用しないって言う
良い見本だね」
納得が行かない表情で首を捻るコインと、
然もありなんといった表情のポラリは、
魚籠を改修してから、パサラと合流するべく移動を始めた。
「儲かった。」
近付いて来たコインとポラリへと向かい、
パサラが、両手で抱えた3本の『金のサオ』を見せて来る、
自前の普通のサオは、既に魔導リュックの中へと仕舞い込んだ様だ。
「はいはい、良かったね、
でも、陛下から頂いたサオを湖に投げ入れるのは、
ちょっと感心しないけどね」
「そうですよ、パサラさん
もしかしたら、返して貰えなかったかも知れないんですからね」
「その時は、この湖を消し去ってでも回収する」
「ハハハ、またまた~
こんな、見るからに大きな湖で、
そんな事、出来る訳が無いじゃないですか」
「コイン、この子は『やる』って言ったら
本当に、行動に移す子だよ、
それから、周囲への影響がハンパじゃ無いから、
今までは見せた事が無いけど、
この子が本気になったら、
この程度の湖を更地に帰るなんて事は、訳ない事さ・・・」
「え?それって、本気と書いてマジですか?」
「ああ、マジもマジ、大マジさ」
「雑作も無い事」
「怖わっ!?パサラさんの本気、怖わっ!?」