表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/238

今夜はごちそう

「こちらが村の井戸となってりますじゃ」

コインは、村長の案内で獲物を解体する為に村の井戸をおとずれていた。


「解体する際に不要な部位を捨てたり、

血を洗い流したりしたいのですが、何時もは如何どうしているんですか?」


「井戸から離れた場所に穴を掘って埋めたりして居りますな」


「そうですか、そうすると下に穴を掘って、

その上で獲物を吊るし切りにすれば一石二鳥かな・・・」

コインは作業に向いた場所を探して、キョロキョロと周囲を見渡した。


「あちらの木の枝は、どうですかな?」


村長の指差す方向へと目を向けると、

確かに獲物を吊るして解体作業をするのに丁度良さそうな、

枝葉を伸ばした木が目に入った。

「ああ、確かにあの位の枝の高さで丁度良さそうですね、

井戸からも適当に離れていますし、

周囲に家も無いから匂いとかの問題も無さそうですね」


「はい、猟人かりゅうどのピュンピュンさんも、

森の小川で解体している時間が無かった時などは、

あそこで解体して居りましたからな」


「そうなんですか、それでは、あの場所を使わせて頂きますね」


「はい、よろしくお願いしますじゃ、

作業に必要そうな道具は何かありますかな?」


「そうですね・・・穴を掘る道具と、

井戸から水を運ぶおけみたいな物を借りれますか?」


「分かりました。では今、穴を掘るクワと、

水を運ぶ桶をお持ちいたしますから少々お待ち下され。」


「はい、お願いします。」

コインは、道具を取りに向かった村長を見送ると、

先程、見定みさだめた木の近くまで行ってから、背負せおった魔導リュックを下ろして、

中から取り出した木のつるを枝にしばり付けると、

同じく魔導リュックから取り出した草原狼を吊り下げた。


「なぁなぁ兄ちゃん、そのソウロウって兄ちゃんがしとめたのか?」

「すっげぇな!村の大人たちもソウロウを見たらにげるのに」

「こんやは、オニクが食べられるのかな?」


声のする方へとコインが目を向けると、

いつの間にやら近くまで近づいていた獣人の子供たちが、

こちらを見ながら話し掛けて来ていた。

頭の耳の形から察するところ犬タイプの獣人の男の子が2人と、

猫タイプの獣人の女の子の様だ。

流石さすがは、子供と言えども獣人族だな、

全然、気配を感じなかったぜ・・・)

「ああ、そうだぞ!

このソウロウは今日、僕が仕留めて来たんだ

他にも、ツノウサやムツアシの肉もあるから、

今夜は腹一杯、肉が食べられるぞ!」


「やった~!」

「ひさしぶりに、たくさん、オニクが食べられるね!」

「お兄ちゃん、オニクをとって来てくれて、ありがとう!」


「これこれ、お前たち、コイン君の作業の邪魔をしては如何いかんぞ」

そこに、道具を持って返って来た村長が、子供たちをたしなめる言葉をかける


「俺たち、兄ちゃんのジャマなんてしてないよな」

「うん、ここで兄ちゃんをオウエンしてたんだもん」

「お兄ちゃん、わたしたちジャマだった?」


「いや、別に邪魔じゃ無いから見てても良いけど、

解体するのに刃物を使うんで危ないから、あまり近くには寄らない様にしろよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ