チェック・イン再び・・・
「は~、何とかギル・マスからの質問を、
疑問を持たせずに誤魔化せた様だね・・・」
パーティーのリーダー的な存在であるポラリが、
皆に向かい、そう告げる、
特別クエストを受注した『ガンセキの街』の冒険者ギルドにて、
クエストの完了報告と、報酬の受け取りを終えたコインら一行は、
その後の、ギル・マスからの呼び出しを無難に熟して、
この街で宿泊している『ホテル ニューエンペラー』への、
帰途へとついていた。
「ちょろい」
「やっぱ、姉さん方のA級が物を言ったんじゃ無いっすか?」
「そうですね、D級の僕らだけが言ったんだったら、
もっと、詳細な取り調べとかがあったかも知れませんね」
「まあ、普通に考えれば、
街から数日って距離で、冒険者が迷うってのは変だからな、
魔獣の討伐や、護衛クエストなんかで、
街から出る機会ぐらいは、しょっちゅうあるだろうから、
ギル・マスが疑問を生ずるのも、
まあ、当たり前っちゃあ、当り前さ」
「多分、不思議な出来事で処理される」
「まあ、姉さんの魔法で、
あの、冒険者連中達の記憶は消されてるんっすから、
謎の集団迷子事件として処理されるっすかね・・・」
「あの人達には可哀想な結果ですけど、
僕と同郷の、マッキー達の安全を考えれば致し方ありませんね」
「まあ、そうだな、
申し訳無いが、今回は連中に泥を被って貰うとしようぜ、
よし!ホテルに着いた事だし、
風呂にでも入って、旅の垢を落としてから、
美味しいものでも食いながら、クエスト成功を祝おうぜ」
会話を交わしながら街中を進んでいた一行は、
目的地である宿泊施設へと到着した。
「賛成」
「ひとっ風呂浴びた後の、冷えたエールは最高っすからね」
「じゃあ、また僕がチェック・インの手続きをして来ますね」
ホテルのロビーに入った一行は、
前回と同じく、コインが受付のカウンターへと走り、
残りの面々は、ロビーにある待ち合わせ用のソファへと腰を下ろした。
「ウェルカム・トゥ・ジェントル!」
「何で、また受付に居るんですか?ウサンクサーさん」
チェック・インに来たコインを、
前回と同じく、オーナーのウサンクサーが出迎えた。
「おや?初対面の筈なのに、
何故か、私の事を御存じの様ですな・・・
う~っ、ミステリアス・ジェントル!」
「つい先日、お会いしたばかりなんですけどね・・・」
「ハハハ、またまた~
冗談は顔だけにしておいて下さいませんか?お客様
う~っ、エキセントリック・ジェントル!」
「アンタにだけは言われたく無いわ!」
コインは、金持ち役を演じる詐欺師にしか見えない風貌と、
その風貌にピッタリの、
妙にラメが使われた服装に身を包んだウサンクサーに向けて叫んだ。
「それで、本日は何名様で御宿泊の、
ご予定で御座いましょうか?プリーズ・ジェントル」
「ウサンクサーさんにチェック・インを頼むと、
また、二度手間になるだろうから、
ちゃんとした受付係の人を呼んでくれませんかね」
「ハハハ、彼だったら、
私が手配をした『偽の家族の呼び出し』によって、
外出中なので不在で御座いますよ。イッツ・トラップ・ジェントル!」
「あんた、自分とこの従業員に何してんだよ!?」