完了報告
「では、今後のケルーの運搬はオヒトヨシーの商隊に任すとして、
今回の、君らへの報酬は幾ら用意すれば良いかね?」
話しが一段落した所で、街長のタメゴロが尋ねて来た。
「そうだねぇ・・・500万ギルってとこで、どうだい?」
タメゴロの問い掛けに、ポラリが少し考えてから告げる
「えっ!?・・・サナエさん、あんなに請求しても大丈夫なんですか?」
ポラリの告げた金額にビックリしたコインが、
驚きの声をあげてから、小声で隣に居るサナエに問い掛けた。
「何言ってんっすか?コイン
500万ギルなんて、特別クエストの報酬としては格安な方っすよ」
コインの問い掛けに、呆れた様な表情でサナエが、そう答えた。
「うん?その様な安い金額で良いのか?」
ポラリの返答を聞いたタメゴロも、
確かに、そう問いを返して居る
「ああ、今回は魔導車を貸し出して貰ったお蔭で、
目的地まで早く着く事が出来たし、
クエストを終えてからも早く帰って来れたからね、
ひと月単位で掛かるのがザラな特別クエストに置いて、
一週間も経たない内に解決出来たんだから、
報酬は、そんなもんで十分だよ」
「同意する」
「姉さん方が良いなら、オレも良いと思うっす。」
「へ~、特別クエストって凄いんですね」
「うむ、君らが、そう言ってくれるなら、
その金額で、支払わせて頂くとするかな、
直ぐに、使いの者を冒険者ギルドへと走らせて、
支払用の金と、弟への連絡を入れて置くから、
そちらで、受け取ってくれたまえ」
「ああ、分かったよ」
それから、暫しの間、
今回の特別クエスト中に起こった出来事や、
『ディステニーランド山』を訪れる際に注意した方が良い点などを、
差し障りが無い程度に、皆で話をしながら、
お茶や茶菓子などを楽しんで居たコインら一行だが、
冒険者ギルドに使いとして出した者が、
館に戻ったとの連絡が、タメゴロの元に齎されたのを契機として、
タメゴロの館を辞し、冒険者ギルドへと向かった。
「お邪魔するよ」
「ただ今」
「ちゃ~す!」
「失礼します。」
冒険者ギルドへと着いた一行は、
思い思いの言葉を発しながら、開けたドアを潜った。
「あら!?皆さん、もうお帰りになられたんですか!?」
前回、コインらが冒険者ギルドを訪れた際に、
受付カウンターに居た女性が、丁度、今回も受付嬢をして居り、
特別クエスト完了の連絡をギル・マスから、まだ聞いていないのか、
コインらの、余りにもの帰還の速さに、
驚きの表情を浮かべながら、そう聞いて来た。
「ああ、もう終わったよ、
対象だった品物も、今、街長さんの所に納めて来て、
クエスト完了のサインも貰って来たんで、確認してくれるかね、
それと、ギル・マスへの報告と、報酬の方は、
街長さんの方から、既に届いている筈だから、
そっちも確認してくれるかい?」
ポラリが、先程、タメゴロよりサインをして貰った
特別クエスト完了の書類を、魔導リュックから取り出して、
受付嬢の方へと差し出しながら、そう告げる
「ああ、先程、ギル・マスの元に、
街長様の使いの方が訪れていらっしゃったから、
それが、その御連絡ですね」
「多分、そうだね」
ポラリの言葉を聞いた受付嬢は、
他の職員を、確認の為にギル・マスの元に向かわせ、
自らは、ポラリが提出した書類の処理へと移った。
「サナエさん、こういう、クエストの報酬の支払いって、
ギルドで、手数料的な物を幾らか引かれてから、
冒険者に支払われるんですか?」
疑問を感じたコインが、隣のサナエに尋ねる
「普通のクエストの場合は、
そういった経費を天引きしてからの支払いっすけど、
特別クエストの場合は、経費は全部お客さん持ちっすから、
満額、冒険者に支払われるっすね」
「おお!特別って言うだけあって、
ホント凄いですね」