表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/238

奉仕活動

「それにしても皆さん、治療をした割には、

傷から血が滲んでたりしている人が多いですね」

「ホントっすね」

コインが、話し掛けて来た冒険者らに尋ねる


「ああ、俺達みたいな、しがない中堅パーティーじゃ、

人数分の治療薬なんて揃える事が出来ないからな、

傷の重かったヤツらに使う様にして、

俺みたいに程度が軽い傷を負った者は、

川でも見付けて傷口を洗い流すぐらいさ」

「一応、背中のバックにゃ酒はあるんだが、

折角の酒で洗ったりしちゃ勿体ねぇからな、ガハハハッ!」

「言えてる言えてる!ガハハハッ!」


「え~と、僕の、使い魔のファーが白魔法を使えるんで、

皆さん、治療を致しましょうか?」

「そうだな、『袖振り合うも多生の縁』ていうっすからね」


「使い魔が白魔法?」

「マジか?そんなの、初めて聞いたぜ」

「流石はA級が仲間に居るだけあって、

連れてる、使い魔さえも規格外だな」


「ええ、ファーは特別なんですよ、

それで、治療はしますか?」


「ああ、是非にでも頼むぜ!」

「地味に傷がピリピリして、気になるんだよな」

「おう、水場を探してウロつかないで済むだけでも助かるぜ!」


「そんじゃ、やっちゃいますね、

ファー、この人達の治療してくれるかな?

僕がブーストするから、広範囲の『治療』を、お願い出来るかな?」


『キュキュキュ~!』

コインのお願いで、コインの首に巻き付いていたファーが、

スルスルと、コインの頭の上まで登ると、

自分に任せろとでも言う様に鳴いた。


「オッケー、頼むぞファー

さ~てと、確か、さっきのレベルアップで

『マイバンク』が、キャッシュレス化されたとか言ってたから、

多分、金額を頭で思い浮かべるとかで良いのかな?」

コインが、頭の中で『10円引出し』と思い浮かべると、

頭の中で、謎の声が『10円がチャージされました。』と告げた。


「お~、一々自分の手に出さないで済むのは便利だな、

そんじゃ、ファー行くぞ、『コインブースト!』・・・オッケー」


『キュキュ~!』

ファーが唱えると、冒険者たちが透き通った光のドームに包まれ、

その身に負っていた傷がス~ッと消え去って行った。


「お~!ホントに傷が消えたぜ!」

「大した使い魔だな!

ありがとうな!ファー」

「ああ、助かったぜ!ファー」


『キュッ!』

ファーは、冒険者らからの礼に、

『良いって事よ』といった感じに片手を上げると、

再びコインの首へと戻りクルリと巻き付いた。


「そんじゃ、皆さんの傷も癒えたみたいだし、

僕らは行きますね」

「サラバっす!」


「お、おい、赤狼せきろうの素材は如何どうするんだよ?」

「一匹一匹の値段は大した事無いけど、

これだけの数が集まれば、そこそこの値段にはなるぜ?」

「毛皮を剥ぎ取るなら、助けてくれたり、

治療してくれた御礼に、俺達が手伝うぜ?」


「ええ、実は今、僕達は『特別クエスト』の最中でして、

なるべく早く街に戻りたいんで、

赤狼の素材の方は、よろしかったら皆さんにお譲りしますよ」

「オレらには『時は金なり』っすね」


「『特別クエスト』中だってのに、

俺達を助けてくれたのか!?」

「そいつぁ、ありがた涙がチョチョぎれるぜ!」

「ありがとうな!お二人さん」


「ええ、そういう訳でして、

僕らは急ぎますんで、もう行きますね?

それと、赤狼の素材は、どうぞ遠慮なさらずに」

「また、どっかで会ったら、

一杯酒でも、ご馳走してくれれば良いっすよ」


「おお、そんじゃ遠慮無く頂いとくぜ」

「今度、どっかで会ったら絶対に奢るからな!」

「また、どっかで会えると信じてるぜ」


「ええ、皆さんもお元気で」

「これにて、ドロンっす!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ