I♡マヨ
「今、帰ったよ」
「たっだいま~っす!」
コインが草を刈って、
焚火をするスペースの周りに延焼避けの石を並べ、
その周りに腰掛け様の丸太を、近場から探して来て並べていると、
薪を探しに出ていたポラリとサナエが返って来た。
「お帰りなさい、お疲れ様です。ポラリさん、サナエさん、
ここで焚火をする予定なんで、
拾ってきた薪は、その辺に置いといてくれますか?」
「ああ、分かったよ」
「薪を探してたら、
偶々ホロホロ鳥の巣が集まった所を見付けてさ、
タマゴを何個か頂戴してきたんだぜ」
ポラリとサナエは、そうコインに告げると、
背負った魔導リュックを下ろして、
中から取り出した薪を積み上げ始めた。
「そりゃ、ラッキーでしたね、
パサラさんと相談して、今夜の夕飯のメニューは、
カレーとサラダと揚げ物にする事にしたんで、
タマゴは茹でてスライスしてから、
サラダに乗せる様にでもしましょうか?」
「ああ、それで良いんじゃないかい」
「茹で卵は、サラダに掛けるマヨネーズとも相性が良いからね」
「ええ、原料に同じ卵が使われていますからね」
こちらの世界では、日本の様に生野菜を食べる機会には、
恵まれないであろうと推測していたコインであったが、
普通に生野菜サラダが存在していて、
しかも、やや割高ではあるものの、大き目な街にある商会では、
マヨネーズが取り扱われていると聞いて驚いた。
『殲滅の乙女団』では、パサラが重度のマヨラーなので、
パーティーで共同に使っている魔導バックの中には、
大量のマヨネーズが保管されていた。
「よし、拾ってきた薪は、こんなもんだね・・・、
これだけの量があれば、楽に明日の朝までは持つだろ」
「そうっすね、そんじゃオレは、
パサラの姉さんの方を手伝いに行きますから、
ポラリの姉さんは、ゆっくりしてて下さいっすね」
サナエは、そうポラリに告げると、
自分の魔導リュックを背中に背負い、
右手に、ポラリの魔導リュックをぶら下げて、
テントの並びにある調理魔導具の方へと向かった。
「あっ、サナエさん、
僕も焚火の準備が終わったんで一緒に行きます。
ポラリさん、悪いんですけど焚火の火熾しを、
お願いしても良いですか?」
コインは、ポラリの方へと、
着火用の魔導具を差し出しながら、そう尋ねる
「ああ、やっとくよ」
ポラリは、それを受け取りながら告げた。
「向こうは終わったんで、
夕飯の調理を始めましょうか」
「ただいま~っす!パサラの姉さん」
コインとサナエが、調理魔導具の場所へと来ると、
もう既に、食材の下準備を終えたらしいパサラが、
食卓のイスに腰を下ろし、足をブラブラとさせながら、
好物のマンピージュースらしきものを飲んでいた。
ちなみに、マンピーとは、
地球のマンゴーに似たフルーツで、
マンゴーより酸味が控えめで、甘みが強い高級フルーツである
「うん、おかえり」
パサラは、ジュースを飲み干すと、
イスから立ち上がって、コップをシンクへと置き、
コイン達の方へと歩いて来た。
「下準備は全部終わりましたか?パサラさん」
「うん、終わった。」
「そんじゃ、調理を始めちゃいますか」
「おう!やろうやろう!」