第六話
レンジの店を出て、サラと並んで歩く。もう日が傾き、辺りが暗くなり始めていた。
サラの探し物はとりあえず明日に持ち越しだ。
「ねえ、そーいちの仕事って?」
「ああ、運び屋の武器を奪って入手した武器をレンジの店みたいなところに売ったりしている。依頼さ
れたものだったり、そうでなかったりそのあたりはまちまちだけどな」
「それっていけないこと?」
やはり、サラは世間には疎いようだった。
「まあな、誰にも言うなよ」
「じゃあ、どうして私には教えたの?」
そういわれて初めて気づいた。どうして俺はサラに仕事のことを教えた?
いつもならありえない失態だ。サラのあまりの純粋さについ流されてしまったか。
「……お前のことを信頼しているからな」
とっさの言い訳を口にした。
「そーいちが、私のことを信頼?」
「まあな、一週間ずっと一緒にいたんだ。お前がどんな奴かはだいたいわかっているつもりだよ」
「そっか」
サラは両手をほほに充てて、何やら考えている。わずかながら顔が赤い気がする。
「サラ、変な顔してどうした?」
「ううん、なんでもない」
サラははっとした顔になって首を横に振る。
「でもそーいち、本当によかったの?」
「なんの話だ」
「私の面倒をみるなんて言ったこと。だって、ここに来るのにも私が無理にお願いして連れてきてもらったようなものだから。またレンジの勢いに流されてしまった、とか思っていそうで」
「どうして、そんなことがわかる」
「だって、そーいち押しに弱そうだもの。私のときもそうだったし」
「そんなことない。それに、嫌ならとっくに断っている。お前の面倒を見ると言ったのは俺の意志だ」
「そう、ならよかった」
サラは明らかにほっとした顔でそう言った。今まで口には出さなかったが、もしかしたらずっと不安だったのかもしれない。
「しかし、これからどうするかな」
「え?」
「だから、お前の探し物だよ。普通に探しても見つかるものじゃないだろ」
「レンジは、お店のお客さんにそれとなく聞いてみるって言ってた」
「ああ、あいつはなぜかいつにもましてやる気だったな」
しかし、あまり期待はしないほうがいいだろう。
「古書店でも覗いてみるかな。竜が本当存在していたっていうなら、もしかしたら歴史書かなにかに手掛かりがあるかもしれない」
「私、嘘は言っていない」
「わかってる。ただ、その事実を誰も知らない」
「……そうだね」
サラは悲しそうな顔をする。こいつはどうしてここまで竜にこだわるのだろうか。
わからない。
ただ、それでもなんとかしてやりたいと俺らしくもないことを思った。
「探し物、見つかるといいな」




