第三話
「そうだお前、なんで飛べるんだ?」
セルリアへ向かう道中、俺はずっと気になっていたことをサラに聞いた。
「ええと、なんでか言うとね」
サラはよくぞ聞いてくれたとばかりに嬉しそうに答えた。
「私はちょっとばかし普通の人間とは違うから」
「……えっと、それだけか」
「うん、それだけ」
サラはそれ以上答える気はないらしい。
そんなこんなで丸二週間かけて俺たちはセルリアに到着した。着いた頃には太陽はもうすっかり高いところまで登っていた。
ここに来るという話になったとき、サラはまず、俺を抱えて飛んでいくというとんでもない移動手段を提案してきた。もちろんそれは却下だ。
空を飛んでいるときに、もし人の目に触れたら大騒ぎになることは間違いないし、最悪命を狙われる危険もあるだろう。それにあんな細腕で抱えられていて、もし途中で落とされでもしたら俺の命もそれまでだ。まあ、それ以前に俺を持ち上げること自体不可能な気もするが。
そういうわけで、ここまで徒歩だ。
途中でサラは根を上げるかと思っていたが、平気な顔でついてきた。見た目のわりに意外と体力はあるらしい。
「そういえば、そーいちはどうやってお金を稼いでいるの?見たところ、特に不自由はしていないみたいだけど」
街の入り口の門をくぐったところで、サラはそんなことを聞いてきた。
なんとなく気になったから聞いてみた、そんな感じの質問だった。しかしこれまでの道中の食事代も宿代もすべて俺の財布からでているのだから、その疑問も無理はないだろう。
ちなみにサラは無一文だった。
ありえねえ。今までどうやって生活していたんだよ。
「俺の仕事が気になるのか?」
「えーと、別にそういうわけでもないんだけど。でも私ほら、お金もってなかったし」
少しは金がなかったことを気にしているわけか。
「別に気にする必要はない。最低限の生活ができるくらいには稼いでいるからな」
「なら、よかったのかな」
しかしサラの質問に俺は手を顎に当てて考えた。
「そうだな、先にそっちを済ませておくか」
ついてくるか、とサラに尋ねる。
「行くってどこに?」
「俺の仕事について知りたいんだろ?」
それだけ言って目的地に向かって歩き出す。サラは黙って後ろをついてきた。




