第二十五話
一年後
「なあ知っているか?」
「知っているってなにを」
「あの竜の噂だよ。本当にあの廃城に住み着いてるらしいぜ」
「まじかよ。前からあの廃城は幽霊やらなんやらとおぞましい噂があとを絶たなかったけど、とうとうそんなものまで住みはじめたのか。」
「いや、今回はかなり信憑性が高いらしい。なんたって、その城に竜が降り立つ姿をかなりの人間が見たらしいからな」
「へえ、なら誰かその城に竜退治に行かないのか。そんな化け物が近くに住んでいるなんてみんな気が気じゃないだろう」
「お前が行けよ。なんのための憲兵だよ」
「バカ野郎。そんな化け物に俺がかなうはずがないだろう」
「そんなこと、胸を張っていうな。まあ、実際にもの好きなやつが軍装して乗り込んで行ったらしいぞ。その竜を倒せば大量の宝が手に入るとか言ってな。」
「へえ、ならこの国の未来はまだまだ安全だな」
「いや、そのまま戻って来なかったらしい。噂では、大剣を持った幽霊がその竜を守っているらしい。なんでもその幽霊は、昔、竜を殺した英雄だとか」
「…………なんで竜を殺した英雄が死んで今度は竜を守ってるんだよ」
「あくまで噂だからな、そのあたりは適当だろう。しかし、実際に城に行った奴らが戻ってきていないのは確からしいぜ。そのうち軍が動きだすんじゃないか?」
「それは俺もその城に乗り込むってことか。嫌だ、まだ死にたくない――――」




