返事がない、ただのギルド加入希望者のようだ…
「ふーんって、納得できるかー‼︎
元の世界に俺を戻してくれ!
もちろん帰れるんだろうなぁ!
裏バイトでも、異世界に勝手に転生とか
悪質すぎるわ!」
「なんだもう帰っちまうのか〜い?
まぁ、もちろん帰れるよ〜!
だって、あっちから来れたんだから〜」
「どうすれば俺は元の世界に帰れる?」
「まぁまぁそう焦るなよ〜ゼノン、
ステータスの所持金、みてみろよ〜」
そういわれ俺は自分のステータス画面の
所持金の項目に目をとおす
神代ゼノン ♂ 状態異常 普通
所持金 -5000万円
「マイナスごせんまんえんッ⁉︎」
俺はあまりの衝撃に声を上げる…
ごせんまん……。
元の借金500万円でも苦労しているってのに……
こんな額返せるわけがない‼︎
これがまさしく桁違いって奴か…
「ゼノンく〜ん、不服か〜い?
そしてあんたは今自分の置かれてる状況を
未だに理解できないでいる、
そんな迷えるかわいい〜坊やに
優しいおねぇ〜さんが
だ〜いヒント〜!
ゼノン、ここに来るまでタダだと思う〜?
そんな世の中、甘くないっつうことよ〜」
俺は少し考えて、返事をする
この答えに自信があるというわけではないし
認めたくはないが
何からの強い意志を持ってこたえる
「つまり、俺がここに来るまでに
通ったゲート的な何かに通行料として
4500万円ほどかかったってことだな?」
「そっ、ごめ〜と〜!
で、帰るのにも帰りの分の通行料が
発生するってわけ〜! だから、」
アッティラが少し息を置いて答える。
俺には少し表情が凍りついているように見えた…
「現段階では君は元いた世界に帰ることが
できない。
たとえ帰ったとしても
君の人生は変わらない
借金がさらに増えただけだよ〜ん」
アッティラはなんのためらいもなく
その事実を俺に伝える
マリアはさっきから俺の横で黙っている…
「そんな…、俺はただ面接に来ただけなのに〜!
おかしいだろっ〜‼︎」
あまりの絶望に言葉を失う……
だってあんまりじゃないか……
「でも、方法はないわけじゃないよ〜!」
落ち込む俺にアッティラが釘をさす
「単純さ〜、君が金を稼げばいい、
与えられたその力とその身体で〜!
そのためにここにきたんじゃないのか〜い
事実、もう後がないわけだし
君に選択の自由はない、
優しいおねぇ〜さんは
ゼノン、あんたに
働く場所を提供してやろうってことじゃないの〜」
俺は少し考える。
確かに俺は金を手に入れるために
ここにきた…
俺は人生を変えるためにここに来たんだ
今まで不幸続きだった人生に
不幸に浸り溺れていた自分に
自分でピリオドを打つために
ここに来た……
俺は返事をする…
「どうか、ここで働かせてくださいっ‼︎」
俺の今までの人生で、
本当の気持ちを言葉に出来たのは
これが初めてだったのかも知れない…