完全攻略
初めて投稿した作品です
暇だったら見てみてください
???
「さよなら」
次の瞬間――
ドガーーーッ!!
世界が裏返るような衝撃。
視界が砕け、音が遠ざかっていく。
ゆうすけ
「あー……死んだか」
地面に転がりながら、どこか他人事のようにつぶやく。
「結構いい線いったと思ったんだけどなー」
黒が、すべてを塗りつぶす。
ゆうすけ
「……何回死ねば気が済むんだよ」
意識が引き戻される感覚。
時間が、逆流する。
「しかもこの力、20年前に戻される仕様とか……ほんと最悪」
母親
「ゆうすけー、ご飯よー」
聞き慣れた声。
見慣れた天井。
――また、ここだ。
ゆうすけ(心の声)
「取りあえず……才を使えるようにしないとな」
何度も死んで、何度も試して、ようやく分かった。
「この力……死ぬ寸前まで苦しまないと覚醒しない」
静かに立ち上がる。
グサッ
母親
「きゃーーー!!
な、何してるの!?」
叫び声が部屋に響く。
ゆうすけ
「……大丈夫」
はぁ、と一息ついてから。
「始めますか」
少し、笑う。
ゆうすけ
「――完全攻略」
リセット
ゆうすけ(心の声)
「俺の才は《リセット》」
「この力に気づいたのは、約1800回死んだ時だった」
「一つの“現象”を、元に戻すことができる」
母親
「ゆうすけ、大丈夫?」
ゆうすけ
「どうしたの、お母さん。見間違いじゃない?」
「最近、夜遅くまで働いてくれてるし……
今日くらい休んだら?」
母親
「……うん、そうしとくわ」
ゆうすけ
「僕、ちょっと用事あるから外行ってくるね」
母親
「いってらっしゃい」
ゆうすけ
「はーい」
ナイフを手に取る。
ドアを閉める。
ガチャッ
ゆうすけ(心の声)
「よし……バレずに持ち出せた」
「休ませることにも成功……良かった」
「20年前。」
お母さんが、まだ生きてる時間だった」
「――今度も助けないと」
ゆうすけ
「お母さんの職場まで行くか」
タッタッタッ
「……ここか」
時計を見る。
8時50分
ゆうすけ
「そろそろだな」
???
「きゃーーー!!」
悲鳴。
手が刃物状に変形した男が、狂ったように笑っている。
刃男
「あは、あははは!!
どいつもこいつも、俺の力に恐れやがる!」
「俺だって、こんな力……欲しくなかったんだよ!」
「そんな目で見るなよォ!!」
ゆうすけ(心の声)
「来たか……」
「お母さんは、この職場で無差別殺人に巻き込まれて死んだ」
「――こいつが、犯人」
「手が刃物に変形する才」
「恐れられるのも無理はない。制御も効かねぇ」
「……かわいそうだとは思う」
「でも――」
「他人を殺していい理由には、ならねえ」
刃男
「あ? なんだガキ。正義気取りか?」
「鬱陶しいんだよ」
「俺、悪いことなんてしてねえのにさー」
「この力のせいで、何度も捕まって……」
「だからよ、もうカスになろうと思ってよ」
ズバッ
ゆうすけ
「っ……危な」
女性
「君! 危ないよ、早く逃げなさい!」
ゆうすけ
「大丈夫です」
刃男
「……何が大丈夫なんだ?」
ゆうすけ
「お前がだよ、健太」
健太
「……なんで、俺の名前を?」
ゆうすけ
「教えねえよ」
「でもな――」
「お前がいい奴で、その力をネギ切るのに使ってたぐらい、
どうしようもない馬鹿だってことは知ってる」
「……魔が差しただけだろ?」
健太
「……ああ、そうかもな」
「辛くなっちまったんだ」
「自分の人生が」
「それに……もう、騒ぎも起こしちまった」
ゆうすけ
「間に合う」
「俺についてこい」
「それと――」
リセット
健太
「……!?
俺の手が……戻ってる」
ゆうすけ
「俺の力で、どうにかなる」
健太
「なんだよ、それ……」
「最初からやってくれよ……」
「……ああ、ついていくぜ」
ゆうすけ
「俺の名前は、ゆうすけだ」
健太
「わかったよ、ゆうすけ」
ゆうすけ
「それじゃあ行くか」
「やべぇ奴が絶対に来る村へ」
健太
「何その村……」
ゆうすけ
「俺が名付けただけ」
周囲
「……あそこに、手が刃物になってた男が」
警察
「才持ちの犯罪者ですか?
あの人物で間違いありませんね?」
周囲
「……手は元に戻ってるけど、
絶対あの人です」
警察
「了解しました」
プルルル……
警察
「応援要請を。才持ちです」
「才は、手を刃物に変形――」
健太
「……どうする?」
ゆうすけ
「逃げるぞ」
「ついでに、あの村にも向かう」
「パスモ、持ってるか?」
健太
「……俺、SUICAだけど」
第1話 終
裏話
ゆうすけがナイフを持っていたのは、
これからのこともあるが、健太が襲ってきた場合に備えてのもの。
何回もこの場をくぐり抜けているのに、
用心深さだけは一切抜けないらしい。
次回予告
第二話 初見殺しの攻略法
見てくれてあざした




