第14話:Process2[ごはんと魔物とディフェンダー]Flow6
魔物の様子に不審な感じはあったものの、無事スピアの評価を終えた俺たち。
明くる日の今日、早速スピアも店頭に並べることができた。
エニアの武器は使いやすさにこだわっていることもあって、客の反応はなかなかいい。早速、冒険者らしき人たち相手に2本売れた。
そしてエニアとヒスイが店頭で販売を担当し、俺が控え室で休憩を取っていたときだ。いきなり店が騒がしくなった。大勢のどたばたした足音が聞こえる。
そして男の大声。
「おい、ヒューレ錬金術工房と言うのはここか!?」
「な、なんですか、あなたたち!?」
エニアと男の言い合う声がする。
急いで店内に向かってみると、そこには10人前後の赤いローブ姿の男達が押し寄せていた。昨日も見かけたアークハウスの過激派の奴らだ。
その先頭にいたリーダー格とおぼしき、体格の良い厳つい男が喚き立てる。
「同志から報告を受けているぞ……愛すべき動物たちを虐待する武器を販売しているだけでなく、自らも虐待行為をして回っているらしいな!」
お前ら、昨日の口げんかの続きをしに来たのか? 暇な奴らだな。しょうもないこと報告しあってんじゃねえよ。
呆れる俺の横でエニアは憤っている。
ちなみにヒスイはカウンターの奥で丸くなって震えている。
「動物虐待なんてしていません! 私たちは魔物相手の武器を評価して売っているだけです!」
「何が魔物だ! 自分の都合に合わせて動物を勝手に分類しているだけではないか!」
「魔物は動物とは生物学的にも違います! 私の都合で解釈しているわけではありません!」
「分かった風なことを言うな! こんなオモチャみたいな武器を売っている世間知らずのガキが!」
「な、なんですって‼」
ギャーギャーと言い合うエニアと厳つい男。
ただ、一般的にはエニアの言っていることの方が正しい。
魔物は死亡すると亡骸を残さず消滅することなど、それ以外の動物とは体の成り立ちが違う全くの別物だということはしっかりした研究で分かっている。
そして、魔物は人間を見つけるとほぼ例外なく襲ってくるという天敵である、ということも。
だが、アークハウス過激派の連中にはそんなことは関係ないらしい。
人々の討伐対象となっている魔物に親近感でも覚えているのかは知らないが、自分の都合に合わせて勝手に分類しているのはお前達の方なんじゃね? と思う。火に油を注ぐ結果になるのはわかりきっているので言わないが。
しかし、そうしていても事態は進展しない。厳つい男はひるみもしないエニアにいらだっているようだった。
そして、
「おい、お前達! こんな悪魔のような店は叩き壊してしまえ!」
とかいうふざけた指示を出す。
そんなことになっては流石に俺も黙っていられない。エニア達や店に手を出すなら
シバき倒して騎士団に引き渡してやる……と思ったのだが、それは杞憂に終わった。
外からガシャガシャと金属の鎧がたてる音がする。多分誰かが騎士団に通報してくれたのだろう。
厳つい男もその気配を察したようで、忌々しげに「邪魔ばかりおって……」と吐き捨てる。そして騎士団が乗り込んで来る前に、
「ふん! こんなケチな店など放っておくぞ!」
とか言って出て行った。未だ憤慨しているエニアを残して。
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駆けつけてくれた騎士団に事情を説明した後も、エニアの怒りは収まらない。
俺は店番をヒスイに任せ、控え室でエニアを宥めていた。
「うう……あの人達、難癖つけてお店を壊そうとしました……それに、私の武器をオモチャだって……許せないです……憤懣やるかたないとはこのことです……」
「まあ、落ち着け。店を壊そうとしたことは騎士団が厳重に注意とかしてくれるさ。武器にしたって、見る目のない人の言うことを気にしていても仕方ないだろ?」
「それはそうなんですが……」
いったんは俺の言うことを聞き入れてくれたエニアだったが、その表情はどうにも不満げだ。
「むむむ……何とかギャフンと言わせてやりたいです……」
「止めとけ止めとけ。あんな小さな拠点の割には結構人数いるみたいだからな。極力相手にしない方がいいぞ」
「でも……ってリガルさん。今『あんな小さな拠点』って言いましたけど、アークハウスの人たちの居場所、知ってるんですか?」
あ、口が滑った。
俺の言葉尻を捉え、エニアの目がギラリと光った。
「あ、ああ……知り合いがアークハウスの穏健派に所属しているから、その関係で……」
「行きましょう! 苦情のひとつでも言ってやるのです!」
エニアは怒りのオーラを滾らせ、勢いよく立ち上がる。
俺はひとつ学んだ。どうやらエニアは割と好戦的な性格らしい。
エニアは運動神経ない割には攻めの思想を持っています。
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