- 業火 -
一人の男が、クロノ達の店に入ってきた。
その男は汚れていて、後ろに斧を背負いながら、ボロボロの大きな鎧を身にまとっていた。
クロノは、この男を知っていた この街唯一のダンジョン探索者、ル・ミヌス ヴェント
[クロノ]あの男は…
[男]良いから酒を出せ…この店には酒の一つも無いってのか?
[受付]お客様 大変申し訳ありませんが、既に満席となっておりまして…
開いているドアから、冷たい風が吹き抜ける
[ミラ]お兄ちゃん、怖いよ…
[クロノ]大丈夫、僕達には関係ないさ
[男]怖いだと?ガキが、いい度胸じゃねぇか
パリンッ
男は持っていたグラスを割った
[男]こっちはなぁ、ダンジョンから戻ってきたばっかりなんだよ、仲間が死んで、報酬も出やしねぇ
、まったく 何だったんだ、しまいには酒も飲めねぇってか
[受付]お客様、他のお客様の迷惑になりますので…
[男]迷惑だぁ?俺のどこが迷惑なんだ、おれはこの国の選ばれしダンジョン探索者だぞ?
[クロノ]もう帰ったらどうなんですか?、貴方はこの街の重役だからといって、何でもしていいわけじゃない、それに、満席だと言われてましたよね
[ヴェント]何だ?、帰れだと?お前にそんな事言われる筋合いはねぇな
[ミラ]お兄ちゃん…
[クロノ]少なくとも、今ここにいる人は、貴方の小さい意地を張っている男にしか見えてませんよ
[ヴェント]表にでろ、腹が立って仕方ねえぜ
[ミラ]行くの?お兄ちゃん…
[クロノ]うん、直ぐ 終わらせるさ
[ミラ]分かった…
[ヴェント]てめぇをいたぶる前に、その腑抜けたガキを叩き直してやろうか?
[クロノ]戯言は終わりにしてくれ、今日は特別な日なんだ、時間は無駄にできない
[クロノ]
彼はダンジョンを攻略出来るほどの腕というのは知っているが…問題は戦った後の事だろう…
ヴェントとクロノが店の外にでる
雨が、クロノの頬をかすめる
[クロノ]雨 か…
[ヴェント]悪いが、手は弱めねぇ、何せ腹が立ってしかたねぇ
[ヴェント]行くぜ、
うぉぉお!
ヴェントの周りに、風が吹き荒れる
クロノ
何だ、?風のエンチャントスキルか?
[ヴェント]はぁ!
クロノ 早い!
スッ
ヴェントの振り払いを避けきれず、クロノの頬から血が垂れる
[ヴェント]俺の攻撃を避けるか、なかなかやるじゃねぇか
[クロノ]ありがとうございます、ですが、そんな力でダンジョンを攻略出来るものなんですか?
[ヴェント]ふん、言うじゃねぇか、だが、これはどうだ?
ふぅ…
おらぁ!
クロノ ?!
ヴェントが斧を振り被ると同時に、クロノ周りに風が巻き起こる
[クロノ]クッ…
体が思うように動かない、ヴェントのロックスキルか…
[クロノ]仕方ないか…
バチッ
クロノの周りに熱気が溢れ出す
ヴェントから汗が溢れ出す
[ヴェント]何だ?、今のは
[クロノ]もう、終わりにしましょう
クロノがそう言うと、雨が蒸発し始める
ジュゥゥ…
[ヴェント]てめぇ…何者だ…
[クロノ]ただの村人ですよ
ヴェントがさらに距離を取る
[ヴェント]こんなの見たことも、聞いた事もねぇ、雨が蒸発するだと…
[クロノ]はぁ!
その瞬間、ヴェントの後ろにはクロノが立っていた
[ヴェント]早ぇ!
クロノの拳を、ギリギリ斧で防ぐ
ジュゥゥ…
斧が溶け始める
[ヴェント]それに、この暑さは何だ…喉が渇いて仕方ねぇ…
ヴェント
アーティファクトが無かったら、死んでたかもな…
[クロノ]僕の拳をかわすなんて、恐ろしい反応速度ですね
[クロノ]尊敬に値しますよ
[ヴェント]いたぶるつもりで戦ってたが、殺す気で行かねぇとだめかもな
[クロノ]どこまでも卑劣な男だ、死んだしまった仲間の人に懺悔すると良いですよ
クロノの力は、 「極度の温度調節」クロノの周りを覆う冷気、熱気を出し、クロノ本人は温度が及ぼす影響をうけず、範囲 強さ それらを完全にコントロール出来る
熱膨張での時間停止、これがクロノがヴェントの後ろに立っていた理由だ
-273.15℃ これは絶対零度が及ぼす原子、 分子の熱運動が完全に停止する
[クロノ]次で終わらせます
[ヴェント]くそっ、こいつの速さは異常だ…どうなってやがる…