-彼方 貴方の為に-
[マ]アップルパイ、美味しいね
[ルイカ]うん…
[マ]そうか…良かった…
[マ]所で、君行く当てはあるのかい?
[ルイカ]…
[マ]?
[ルイカ]お父さん…
[マ]お父さんが何をしてるか知ってる?
[ルイカ]王…
[マ]…?
[ルイカ]魔王…
[マ]魔王…それは本当?
[ルイカ]うん…
[マ]お父さんには会いたい?
[ルイカ] 首を横に振る
[マ]何で会いたくないの?
[ルイカ]お父さん、怖いの…
[マ]分かった、じゃあこうしよう、君のお父さんのところに行って俺が話しを持ちかける
[マ]これでどう?
[ルイカ]だめ…お父さんに会っ
[マ]…ルイカ?
言葉を言い切れずに、ルイカは急に地面に倒れた
[マ]どうしたんだ!ルイカ!
ルイカの体を支える
[マ]おい!ルイカ!
ルイカの体には王冠の刻印がされていた
[マ]何だこれは…取り敢えず誰か助けてくれ!医者はいないのか!
[?]その子…
[マ]何故かは分からないが、突然倒れたんだ
話しかけて来た男は痩せ細っていて、年老いていた
[?]そうか…取り敢えず治癒魔法を掛けておこう…
[マ]助かる、だがここ周辺に病院はないのか?
[?]このシャルファットと言う世界には、病院なんて物はない…
[マ]そうか…だが礼をいう、ありがとう
[?]いいんだ、だがその子の気がついたらこう伝えてくれ
[?]遥か彼方、貴方の為に
[マ]分かった、貴方の名前は?いくつなんだ?
[?]テオス ジュート、47歳だ…
[マ]テオス、心から感謝する
そう言うとその男はどこかへ歩いていってしまった
[ルイカ]ん……
[マ]ルイカ!気がついたか?
[ルイカ]マロさん…私どうして…
[マ]心配しなくていい、それよりテオスと言う男性が君を助けてくれたんだ
[ルイカ]テオス…ジュート…?
[マ]あぁそうだ、だが何故名前を知ってるんだ?
俺はテオスまでしか言ってないぞ?
[マ]後こう言っていたよ、遥か彼方、貴方の為にと
[ルイカ]テオス…テオスなのね…私の最愛の人…でも何処かに消えてしまった…
[マ]最愛の人…?会ったことがあるのか?
[ルイカ]少し前私がお父さんと暮らしていた時…彼と出会ったの
[マ]そうか…だが何故最愛の人なんだ?
[ルイカ]家でお父さんは私に厳しくて、私を城から出してくれなかった…だから部屋の窓をずっと眺めていたの…
[ルイカ]その時、彼と出会ったの
[マ]
[ルイカ]彼は窓から見ている私に気づいてくれた…
時は遠い昔に遡る
[テオス]おーい!、おーい!
[ルイカ]…
[テオス]ルイカー!
[ルイカ]テオス…!
[テオス]今日も君は外に出れないのかい?お父様は許してくれなそう?
[ルイカ]うん…ごめんね…
[テオス]良いんだよ、君が何かしたって訳じゃないだろう?
[ルイカ]そうなの…お父様に言っても、しつこいって言われて、部屋に戻されるだけ…
[ルイカ]それが私の毎日…
[テオス]分かった、じゃあ僕が君の部屋に魔法で入ってみようか!
テオスは杖を取り出す
[ルイカ]だめ!そんな事したら貴方は私とこうして会えなくなる!
[テオス]止めても無駄さ!、そーれっ!
[ルイカ]テオス!
[テオス]へっへーん、これでやっとルイカと遊べるな!
[ルイカ]こんな事お父様にばれたら、貴方どうなるか…
[テオス]それより君の部屋、何か薄暗いし、ちょっと汚いよ!僕が綺麗にしてあげる!
そう言ってテオスは魔法でルイカの部屋を綺麗にし始めた
[ルイカ]でも私の部屋何もないの…あるのは本だけなの…
[テオス]へー、本なんて好きなんだ!初めて知ったよ!
[ルイカ]本は私の心と言う世界を彩ってくれる、ただ一つだけの物なの…
[テオス]ふーん、じゃあこの本棚も綺麗にしてあげるよ!
そーれっ!
ドサッ
[テオス]あっ
[ルイカ]そんな…
[ルイカ]お父様が来ちゃう!今直ぐ逃げて!
[テオス]分かった分かった!今出ていくよ!じゃあね!また明日!
[ルノ・シャール]おい、ルイカ、お前何をしていた?
[ルイカ]お父様、本を読もうとして棚から落としてしまって…
[ルノ・シャール]そうか…なら良いが、隠していることが有るなら言ったほうがいい、自分の世界を守りたいならな
[ルイカ]はい…お父様…
そう言ってルノ・シャールはルイカの部屋から出て行った
[ルイカ]テオス…
翌日
[テオス]おーい、おーい!ルイカー!
[ルイカ]テオス!貴方もう私と会ってはだめ!
貴方の事を失いたくないわ!
[テオス]何でだよ!僕はただ君の事が好きなだけなんだ!
シュッ
そうしてルイカの部屋に入ると、テオスはこう言った
[テオス]また本棚が汚くなってるじゃないか!どうしたんだい?、これ
[ルイカ]お父様に怒られて、その時に…
[テオス]ふーん、まぁまた綺麗にしておいてあげるよ!
[テオス]で、何して遊ぶ?
[ルイカ]もう、テオスってば…
[テオス]これどうだい?マスターオブレボリューションってやつ
[テオス]僕のお気に入りのボードゲームさ!
[ルイカ]ボードゲーム?
[テオス]そう、このゲームは主人公の勇者が仲間を集めていって、魔王を倒すってゲームさ!
[ルイカ]でも私、やったことないから…
[テオス]大丈夫さ、教えて上げるよ!
[ルイカ]うん…
ボードゲーム マスターオブレボリューション
それは、勇者が長い年月をかけて仲間を集め、果てに魔王を破るというゲーム、この世界の神話を下に作られている。
[テオス]まずキャラクターを一人選ぶんだ!どれにする?
[ルイカ]私はこの魔女がいい…
[テオス]ふーん…死の魔女か、ルイカって感じだな!
[テオス]じゃあ俺は飛剣の勇者、ロイスだ!
[テオス]こいつはセリフがあってな!
我が剣が応えし時、それは世界が我を認めた時ぞ!
[テオス]な!かっこいいだろ!
[ルイカ]うーん…魔女にはないの?
[テオス]魔女だったらこれだな!
遥か彼方、貴方の為に!
[テオス]どうだよ!魔女もかっこいいんだぜ!
[ルイカ]このゲームは何をするの?
[テオス]ちぇっ!冷たいな!、このゲームはサイコロを振って、出た目の数マスを進んで、勇者と出会わなくちゃいけなぃだ!
[ルイカ]分かった…じゃあふるね…
コロンッ
[テオス]3か…ここはっ、と
[テオス]アイテムゲット!若返りの薬、効果は失われた時をもどし、回復してくれるんだ!
[テオス]じゃあ僕がふるよ!
コロンッ
[ルイカ]4…これは?
[テオス]くそーっ!後一歩少なかったら出会えたな!
[ルイカ]これは…ゴブリンの大鼻?って書いてある…
[テオス]それは、自分は次のターン3歩追加で進んでもいいけど、その次のターンに3歩戻らなきゃいけないんだ!
[ルイカ]へー…
ドサッ ドサッ
[テオス]誰か部屋にくる…
[ルイカ]隠れて!
[ルノ・シャール]これは何だ…
[ルイカ]……
[ルノ・シャール]これは何だと聞いている
[ルイカ]ゲーム…
[ルノ・シャール]誰だ、これを持ってきたのは
[ルイカ]し、知らない…!
[ルノ・シャール]そうか……
コツーン
音が鳴る 同時に部屋に魔力が満ち、テオスの表情が苦しくなってくる
[テオス]ぐっ、かはっ…
[ルイカ]そんな…そんな…やめて!お父様!やめて!
[テオス]うっ…ルイカ…僕が開けた窓から逃げる…んだ…
[ルイカ]そんな…テオス!
[ルノ・シャール]もう、お前は終わりだ
ルイカは走った、今まで生きてきた中で一番早く、裸足で尖った岩の道を進み、ひたすら逃げた
[ルイカ]テオス…
[テオス]何でルイカにそんな厳しいんだ…貴方は…
[ルノ・シャール]お前のような奴から娘を守るためだ
[ルノ・シャール]あいつは生まれつき身体が弱く、魔力もすくない、だから人に近づけ無かった
[ルノ・シャール]だがお前は誰だ…何故娘に近づくんだ?
[テオス]我が剣が…応えし時…
[ルノ・シャール]?
[テオス]それは世界が…我を認めた時ぞ!
[テオス]神よ!今恩を返します!愛と言うものを教えてくれた貴方に!
そう言うと、部屋にどこからともなく風邪が吹き荒れる
[ルノ・シャール]これは…一体…
[ルイカ]はぁ…はぁ…テオ…ス
[ルノ・シャール]ふん…しかしこの年でよくやるものだ…
[ルノ・シャール]だがまだ早い、お前は老いて、苦しむがいい!
[テオス]ぐっ…うっ…
ルノ・シャールはテオスに老災魔法を使い、テオスはあっという間に別人のようになってしまった