6 落とし前
最高時速80kmにも及ぶ俊足を生かし警官を巻いた拙者は、路地裏で少女から奪った財布の中身を改めていた。
悪銭身に付かず。
悪い金は清く正しき拙者のようなものの元にやってくるのは必定なのだ。
「ひ、ふ、み、よ···むっ、あの小わっぱ、6万円も持っていおった。これは身体を売って稼いだ金に違いない。全くけしからん」
我ながら手慣れた手つきで財布の金を写し変える。
小銭も含め全ての金を抜き終わった拙者は少女の財布のレシートを改めることにした。
悪人の集う場所を把握しておくことは我が職務の重要事項だからだ。
拙者がレシートを漁っていると拙者の手にビニールのような何かがあたった。
「ふむ···。」
不振に思い、そのビニールのような物を取り出す。
そこにあったのはピンク色をしたビニールに包まれた丸いゴムのようなもの、つまりコンドームだった。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
激怒した拙者は財布を即座に引き裂き、地面に叩きつけ残骸を刀で切り刻んだ。
「天誅天誅天誅天誅天誅ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
拙者は奇声を上げながらひとしきり財布を切り刻むと、おもむろに彼女のケータイを取りだしカメラ機能を機動させる。
「我が剣道の真髄、見せてやろう!」
そう叫ぶと我は己の股間の刀を抜き放ち、彼女のケータイで撮影した。
「あの小わっぱのライングループは···む、ぐおおおおおおおおおおおおおお!」
あろうことか彼女のラインのトップ画面は、彼女の友人とその彼氏たちとの集合写真だった。
男は揃いも揃ってチンパンジーのような金髪で銀のネックレスや腕時計などのいかにもなアクセサリーを身に付けている。
女の方は一見清楚に見えるものの、肌を絶妙に露出させる衣装を着ており彼女らがいわゆる清楚ビッチと呼ばれる存在であろうことは想像に難くなかった。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!制裁制裁制裁制裁制裁制裁制裁制裁ィィィィィィィィ!」
拙者はありとあらゆるグロ画像や糞尿の画像をダウンロードすると、彼女のライングループに送りつけた。
そして彼女のツイッチャーやFocebook、チンスタグラムに彼女のアルバムのハメ撮り写真をアップし、50chに自演でスレ建てをして彼女の痴態を拡散させた。
ひとしきりの制裁を下し、気分が落ち着いた所で証拠隠滅のため刀でスマートフォンを破壊し、土に埋めた。
そして一連の作業を終えた拙者は心底不愉快な気持ちのまま外回りを続けたのだった。