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22 絶望

結果的に軍畑は苦しみながらも、なんとか糞とネズミのカレーを完食した。

ぐったりとうなだれぴくりとも動かない体からは完食し生き地獄から生還した喜びより疲弊や絶望が見てとれる。

口からはもはや吐瀉物ですらない液体が止めどなく流れだし、ときどき譫言のように意味不明な妄言を吐いていた。

軍畑の精神は既に崩壊していた。


しかしそんなことを意にも介さず、ボスは軍畑の足枷を外しこう語りかけた。


「軍畑、お前はこのゲームをクリアした。約束通り解放してやろう。だがその前にお前が大好きな酒を持ってるんだ、もうすぐ仲間が持ってくるから飲ませてやろう」


「さ·····け······?」


死者のような生気のこもらない目のまま軍畑が呟く。


「ああ、お前が好きな   を用意してやったんだ。ありがたく飲めよ」


軍畑の顔色に僅かに不安の色が走り、何かを言おうとしたようだが、彼の口は途中で止まった。


廊下から二つの足音が聞こえてきたからだ。


「お、来やがったか」


ボスは顔に満面の笑みを浮かべた。


やがてその二つの足音は部屋の前で足を止める。


その直後。


「オッラァァァァァァァァァァァァァァァ!」


聞きなれた叫び声と共に部屋のドアがけたたましい轟音と共に部屋の隅に吹き飛んだ。


「やっほー、さむちゃーん、すーちゃーん、ボスぅー!」


「ほらっ、手土産だ」


足音の主はサシャとナージャであった。

ナージャは小脇に抱えていた何かを軍畑の目の前に放りなげる。

それを見た軍畑はどこにそんな量があったのかという勢いで嘔吐した。

軍畑の目の前に転がっていたのは、首を切断され、指をおられ、爪を剥がされ、体がおかしな色になったまま物言わぬ変死体となった池澤と今井だった。

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