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12 移動

軍畑たちを拉致した拙者は、残像が見えるほどの高速で路地裏を走り抜け、目的地に向かっていた。


拙者たちは軍畑たちを乗せた黒塗りの高級車とは別行動を取り、工業地帯の寂れた倉庫で依頼人の店長と合流する予定である。


この速度なら例え民間人に補足されたとしても特徴を捕らえられない上、万が一見つかっても切り捨てればいい話である。 


何より暴力団や反社会組織対策が行き渡った昨今、車が止められた時のことを考えても別行動をとった方がいい。


湿った空気を切り裂き、ただただ無言で抜ける。

沈黙が続くなか、サシャが唐突に口を開いた。


「あのさ、ちょっとだけ気になること聞いていい?」


「なんだ?任務に関係のあることなら答えよう」


「エリちゃんなんだけどさ、どうやって本部まで戻るんだろ」


「エリちゃん?エリちゃんとは誰のことかとんと検討がつかないのでござるが」


「オメーエリカのこと知らねーのか?まあお前が出向くような任務にはなかなか出ないだろうしアタシらもほとんど接点ないんだがな」


「エリちゃんは普段特殊任務にしか出てこないのにこの程度の依頼に駆り出されるとか珍しいもんねー」


どうやら、拙者と面識がないスナイパーの構成員が居たらしい。


この二人が記憶に留めるほどの腕前で、存在が秘匿されているわけでもない構成員を拙者が知らなかったことに拙者は軽くショックを受けた。


しかし、思えば近頃は外回りばかりしていたので拙者が居ない時間に事務所に出勤する構成員なのだろう。


そう思い自分を納得させると、拙者はそのまま押し黙る。


再び我々に静寂が訪れた。


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