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11 殲滅

突如出現した軍畑に拙者の対応が遅れる。


しかし当の軍畑が事態を飲み込めず阿呆丸出しの間抜け面で突っ立って居たので拙者は素早く小苦無···投擲用の小型のクナイ···を構えた。


苦無は本来日本刀のように純度の高い鉄を製錬して作る大変高価な道具なので、手裏剣のように使い捨てにできる代物ではないのだが、拙者は修行の末時速80kmで移動する力を身に付けたので軍畑から小苦無を回収し逃走することは可能である。


拙者が投げつけた苦無が軍畑に直撃し、苦無に塗り込まれた麻酔により軍畑は昏倒する。


拙者が軍畑を回収し連れ去ろうとした丁度その時、池澤、今井の二人が裏口から姿を見せる。


軍畑を拐った後に時間をあけ二人を拐う予定だったので一見好都合に見えるかもしれないが、いつもくだらないイタズラばかりしているとはいえ仕事中の二人が裏口から出てくるのは何か異変に勘づいた証拠であろう。


まだ軍畑すら回収していないのにこの二人が出てくるのは非常に不味い。


軍畑を丁度抱き上げた所だった拙者は、逃走中の警官との戦闘や逃亡生活などのありとあらゆる不都合を頭に思い浮かべ狼狽した。


その時、背後から一つの影が飛び出した。


「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


奇声をあげながらメリケンサックで強化した己の拳を池澤の腹に叩き込んだのは、我が構成員のナージャ·ステンジャだった。


腹からぐちゃり、という何かが潰れる音がし、腹部をおかしな方向に曲げ吐瀉物を撒き散らしながら奇声を上げる池澤。


その光景に狼狽し、逃げようとする今井。


その時一瞬の閃光と共に、今井の足元から血が吹き出し、今井がその場に崩れ落ちた。


「エリちゃんナーーーーイスッ!」


その隙を見逃さず駆け寄ったサシャがメタルブーツをはいた足を今井の尻に食い込ませる。


「キヒヒッ、ほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!」


サシャはまだ11歳の少女とは思えない残忍な顔で、足の残像が見えるほどの早さで素早く今井の足を蹴りつける。


ゲタのごとき厚さの鉄板が埋まったメタルブーツに足を踏みつけられ、今井の足元からでる音が次第に液体音に変わっていく。


「サシャ!依頼の内容を忘れたのか!処刑はお預けだ!」


「ちぇー、さむちゃんのけちんぼー。だから彼女いないんだぁ」


「無駄口を叩くな!とにかく二人を車に運び込むぞ!」


拙者はサシャを諭すと、軍畑を輸送用のビニールに詰め、黒塗りの高級車に運び込む。


「チッ、たく興ざめなんだよォ」


「このっこのっこのっこのっ!!!」


サシャはわざと傷口の足に麻酔の注射をうち、袋に入れたあと25回ほど蹴りつけてから車に今井を運び込み、ついでナージャが車の窓ガラスが割れるかと思うほどの勢いで袋を投げ込む。


黒塗りの高級車が発進するとともに我々は徒歩(といってもみな時速80キロメートル以上で移動できるが)でその場を離れた。

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