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メイドカフェに赴くイケメン 

 アニメ部との関わりで自身の環境が日々目まぐるしく変わっていく。

 我らが1年2組、アニメ部所属の"日陰者"が俺と佐藤君のほかにもいたのは僥倖

 さらば一人飯______________ っと言いたいところだが

 自分は今屋上で一人で食べている。


 本来生徒が屋上になんて入れないのだが、事情を知る理事長と

 べらぼうに協力的な担任 黒羽葵の尽力も得たおかげで先生たちの間でも肯定的に受け取られている。 ちなみに本当の容姿を知るのは理事長と担任だけだ。 


 マスクをとったら顔の半分が露わになる、リスクはなるべく減らさなきゃならない。

 小さな綻びがあとで重大な過失へとつながっていくのが世の常なのだから.......


(明日の休みにメイドカフェなるところを視察する。それは今後彼らとの会話の種にするために......) 


 何回もネットでメイドカフェを研究した。 恥ずかしい思いをしないよう作法もきっちりたたきつけた。デモンストレーションは上々 これも部活の輪の中に入り込むために必要なこと、明日オタクの聖地に赴くぞ__________ 






 メイドカフェ日和とでもいうのだろうか? まさに未知の領域を開拓する俺を湛えている様な晴天、

 風に靡く金髪も自然と人の目を集める。


 仕事や学業という縛りから解放され羽を伸ばし着飾った女性たちの往来激しい休日の通り

 彼女たちはストレス発散のために買い物をしたり 愛する彼氏とのデートだったりで思い思いに足軽に歩いていく________わけでもなく立ち止まりただ一点を惚けて見続ける。 その正体は_________ 


(やっぱメイド喫茶の前までは変装していくべきだったか......?) 


 立ち止まり意識をこちらに向け続ける多数の女性たちを感じ取りながら後悔する。金髪碧眼の王子様、まるで絵画からでてきたような有り得ない超美少年をみた彼女達はこれからの予定をさっぱりと忘れゾンビのように後をつける。彼女たちの頭の中には買い物や彼氏との予定なんて疾うにない。

 あるのはただ一つ、 彼への思いのみだ 


 傍から見たら奇妙な光景だろう。一人の男の後ろを多数の女性が怖い顔をしてついているのだから。

 これにはたまらず瀬徒も......


「ッ!! 」


 見事な無駄のない動きで足を駆ける、彼女たちを振り切るために全力で走る。 目標のメイドカフェまでまっすぐ行けば着くのだがあえて右往左往に移動し錯乱する 


 突然全力で走り出した瀬徒に追いつけるわけもなく ただ悔しそうに頭を垂れ拳を地面に叩き付ける。そして決意する。次は捕まえると。


 なるべく人目を避け目標地点に着いた瀬徒 看板を見る


 ーーーーーーアマ♡リリス 


 県内でも随一のメイドカフェ 容姿もさることながらサービスが他とは一線を化す

 オタクたちのあこがれの聖地 見た目麗しい少女達の奉公に骨抜きにされた数はいざ知らず。

 金額は中々に張るのだが来る価値はありと評価サイトには書いてあった。 


 深呼吸をする。 体に張り巡らされた神経を研ぎ澄ませる。 大丈夫 脳内で練習はしたんだ。

 異様な緊張感を感じながらも前にそびえたつ黒光りする扉に手をかける。


 カランカランと客の到来を告げる音と共に集める視線 今までメイドたちにデレデレしていた先人のオタクが驚愕をあらわにこちらを見据える。 


「お 王子様...?」 


 愛想笑いを振りまき接客していたメイドの一人がふと漏らす 


 本来 マンツーマンで対応するのがここのメイドカフェの在り方なのだが......


 ドドドドドドドと音を立てて我先に来るメイドたち あっけらかんとした客など意に返さずに


「「「「「いらっしゃいませ!王子様!!」」」」 


 店内にいる6人程度のメイドに囲まれる俺。左右の腕に絡みつくメイド 自信満々に豊満な御胸様を押し付けてくる。 久しく感じてない柔らかな感触に赤面するとその反応に気を良くした彼女たちは

 蛇のようにやらしく絡みついてくる 


 ------------精一杯ご奉仕させていただきます 


 色っぽい笑みを浮かべ、耳元で熱のこもった声で囁かれる。可笑しいなデモンストレーションと全然違うぞ此れ


 頭の中で何十回も繰り返してきたモノとは全く別 こんなサービス聞いたことがない、 

 これはアニメ部のみんなには刺激が強そうだ。それに先人たちの視線が痛い。あのぽっちゃりお兄さんなんか血の涙を流しているぞ.......


「あ あのここってマンツーマンなんですよね?」 


「「「「「是非わたくしにお申し付けくださいまし!!!」」」」


 さっきまで担当していた先人のことは頭にないのだろう。必死の形相で詰め寄る彼女たち

 正直限界だ 左右のメイドたちは柔らかな感触と共にやらしい言葉を耳元でリピートしてくる。


 入店前に全身に張り巡らせた神経が下半身の突起物に集まっている気さえする。


(多少乱暴でもしょうがない 限界だッ)


 腕に力を籠め振りほどくと同時に外に駆ける。 正直罪悪感はある あんな美味しい思い(サービス)を受けたのに対価を払ってないのだから


 待って!という叫び声が件の店から聞こえたような気もするが振り返らず

 駅のほうへ疾走する瀬徒の背中をみるメイドたち。 

 彼女たち一人一人彼に想いを馳せる。 


 ___________また逢えたらいいな。 


 その時は性いっぱい......ん?精いっぱい奉仕しよう。 給料なんていらないからあわよくば自分をメイドとして雇ってほしい。 遠くなる彼の背中をうっとりと眺めるメイドたちであった。





(あそこは想像以上のサービスをしてくれるんだな アニメ部の奴らにでも教えといてやろう。俺はもう行かないけど......)


 家を出て大した時間もたってないのだが、ひどく疲れた瀬徒はどんより曇っていた空を眺めため息をつくのであった。















ガラスのハート何で感想欄封鎖しています。きっといろんな感想があると思います。 

第三者からの意見を聞かない。聞かなきゃ傷つかないのだから 

毎日の楽しみはアクセス数をみることです。本当にご愛読ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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