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恋するモブ......?

(ちゃんと渡したぞ......後はお前次第だ......四方要)


激動?の運動会も終わり学園に日常が戻る。 あれ程張り詰めていた雰囲気も見事に緩和。 ちらほら目が死んでいる人も見受けられる程に。 そんな中俺はハーレムを絶賛拡大している伊達正樹に先日寄越されたラブレターを渡したんだが.......  いつも人垣に囲まれている伊達の包囲網が最も少ない始業前の時間、正直言ってベストタイミング、ベストタイミングなのだが......


「なにアイツデリカシー無さすぎでしょ」

「何でラブレターの子もあの人に渡したんだろう?」


一人を皮切りに出るわ出るわ俺への悪評。 そしてそれを盛り上げるお零れ狙いのピエロ君。いつも伊達につき待ってるのでついたあだ名は伊達パーティーの小間使い、影でそんなことを揶揄されてるとは知らない彼はここぞとばかりに俺に対して唾を飛ばすが__ 


「みんなあんまり彼の事を悪く言わないで欲しいな、大事な友達なんだ......」


よくもまぁそんな歯が浮くような台詞言えるよな......それでも様になってるから凄いと思う。ピエロ君も苦々しい顔をしてるしでまぁグッジョブ何だが...... 結局俺への悪口は綺麗に霧散。そして伊達に集まる多くの憧憬を宿す視線。


「ま 正樹......」

「正樹さんったら......」


もはや俺のことなど頭にないのだろう。ハーレム特有の甘い世界に突入、蒙Oタンメンですらでろっでろに甘くなりそうなほどの世界。心なしかピンク色の靄さえ見れるほどに......置いてけぼりをくらった一人のピエロ君は居たたまれなくなったのかいつのまにか席についていた。まぁ始業時間が近いのもあるが......


「なぁ生真ぁ休日何やってた?」

「休日は......寝てたわ」

「ずっとか? 」

「まぁね」


もうすぐ始業時間なので隣の席に着いた伊達が話しかけてくる。 話題は休日のこと、口が裂けてもデートしてたなんて言えない。 特に色恋沙汰に興味津々な此奴にだけは絶対にだ。


「んでお前は何してたの?」

「んん!俺は友達と遊んでたよ」

「よくそんな元気あるな......」


まぁ十中八九女の子だろう。多分ハーレムを引き連れてきゃっきゃウフフ。それで英気を養ったのか知らんが死んだ瞳が多い中此奴だけ活き活きとしている。 俺の場合は逆に気を削がれたと言うか......


(先生に会うのが猛烈に気まずい___!!)


あの告白めいたことを言われて以来やけに先生を意識している自分がいるのも事実。時より浮かぶ先生の笑顔、先生の息遣い、先生の....... 彼女のこと思う都度胸を燻る謎の感情。


(俺、キモくないか__?まるで変態だぞ......)


だけど自分は生徒で相手は先生な訳で。 隠し事っていうのはいつかは明らかにされるもの、いつどこで綻びが生じるかなんてわからない。 だから俺はバレる前に身を引くことを考えていたのだが__ 


(待ってる......なんて言われても......)


中学の時、まだ根暗という仮面をつけてなかった純粋な「瀬徒生真」だった頃も多くの女子に告白されたけど答えが出せないでいた。自分を思ってくれてる多くの女性に悲しい思いをさせたくない。というひどく傲慢不遜な考え。仮に 好きな人ができても、他の女からの嫉妬という感情が嫌がらせという矛になり傷つけてしまうのも充分に考えられる。


(なぁ伊達、お前は最後に選べるのか?)


彼の周りはちゃんと伊達を愛してるのだろう。だが伊達自身はどうか? そんなのはあいつにしか分からない。


「おいどうした?」

「あぁ悪い悪い」

「まだ疲れ抜けてないんじゃないか?授業中寝るな___っと時間か」


始業を告げる時間と共にザワザワとした私語も止む。それと同時に扉から学園一人気な先生、そして先日のデート相手でもある黒羽葵が何処かたどたどしく、ガシャン、ガシャンと擬音がつきそうなくらいのぎこちない動きをしながら教壇に立つ。そんな様子に生徒たちはクエスチョンマークを浮かべる。


「「「おはようございます!!」」」

「お......おはよう」


いつものハイカラで元気いっぱいな挨拶とは違い、やっぱり辿々しくなっている挨拶。

ふと目が合うと顔を仄かに染め背けられてしまった。 やっぱり彼女も先日の一件を気にしてるのだろう。

いつも受ける熱い視線も今日は控えられてる。前までは鬱陶しいとまで思っていた視線も、今では少しばかり......かなり寂しがってる自分に瀬徒は気付かなかった......






「今日の先生様子おかしくなかったか?」

「そうですわね...... どことなく緊張してるような?」

「あれかも!正樹がかっこ良かったから意識してたのかもよ〜」

「いや〜辞めてくれよ!そんなことあるわけないじゃないか」


正直クラスメイトたちは姫川が何気なく言ったこの言葉を信じている。というのも彼女にとっては瀬徒と目があったつもりでも、他の人からしたら隣の伊達と目があって逸らした__と思っている。そして多くの生徒......主に男子生徒は思うだろう。


”_____最後の希望も堕ちたのか......" と。












「告白する乙女」の回は正直自分で書いてても恥ずかしかったです。

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