ハーレムに絡まれるモブ
悲喜交々なチーム分けも終わり、放課後 朱色に染まる空 部活動の掛け声が聞こえる中
教室内には4人の影が____
「いい加減 正樹さんに絡むのやめてくれないかしら?」
放課後という事もあり、勢いがないドリルを携えたツリ目の美少女に文句を言われる変装少年。
そこに男女特有の甘い雰囲気などはなく。最悪な空気が漂っている。
「いや、俺からは絡んでないのだが?」
正直俺から奴に絡んだ覚えなんてない、いつもあっちから話しかけて来るのだが......
「でも話して居ますよね?」
「そりゃ話しかけられたら返すだろ」
この高飛車女は何を言ってるんだろうか? まさか嫉妬なのか? 男だぞ?
「何で正樹さんが貴方みたいな薄気味悪いオタクを気に掛けているのか理解に苦しみますわ。」
物凄い言い様だ。気に掛けている? そんな節奴からは見受けられないが......
「言い過ぎだよ!しおちゃん!」
そう嗜めるは毎度の如く聖女 姫川。 最近、彼女のことを魔性の女としか見れてないのは秘密だ。
なんかコイツの行動には裏が見え隠れしてるように見える。
「これくらい言ったっていいのですわ。どーせ言い返す度胸もないでしょうし」
嘲笑を浮かべるクソドリル。 ちょっと言い返そうと思った途端に
「全くもってその通りだな」
今まで校庭の二宮金次郎が如く不動を貫いて居た生徒会長が口を開ける。
__東条凛 歴代の生徒会長の中でも特に優秀だと有名で、その厳粛な態度と氷を思わせる綺麗な容姿で
人気を集めている。別名 氷帝
絶対零度の視線をこちらに向ける。こんな怖い視線にも一定のファンがいるんだから驚きだ。
「私には理解ができない。何故キミのような根暗な少年が伊達と仲良く居られるのかを、正直邪魔だ」
生徒の代表である人がしがない生徒に向かって邪魔って言いましたよこの人......
伊達のハーレムってヤベー奴しか居ないんじゃないのか? クラスでも数少ない自分に話しかけてくれる彼だが その代償がこんなだと付き合いを考えないといけない。
「邪魔はひどいよ...... 凛さん」
「ふっ 一番酷いのはお前だろ?いつまで猫をカブってるつもりだ? 誰よりも彼のことを邪魔だと思ってるのは他でもないキミじゃないのか?」
え?そうなんですか?
一瞬、底冷える形相を浮かべた彼女もすぐに取り繕い弁明する。
「えー そんなこと思ってないよ!勘違いしないでね!」
アワアワと忙しなく動く。ボディーランゲージで違う違うと表すこんな可愛い子がそんなことするわけない......とでも思ったが、その露骨なアピールに彼女に対する疑惑が一層に深まる。
顔には出さず、ポーカーフェイスを決め。気にしてないよと嗜める。
「あ〜でも!最近、正樹君と絡みすぎじゃない? それはちょっと控えて欲しいかも」
「いや、俺から絡んでないんですけど?」
何回言わせるんだろう。そんなこと言っても彼女たちは一向に信じない。困ったことだ
最悪 俺とあいつが出来ているという噂まで流れるのではないだろうか?
悪評に悪評を重ねている俺だがその噂だけで潰れてしまいそうだ。
「キミみたいな根暗は彼に相応しくない。友達というのはしっかりと選ぶもんだな。伊達にも少しキツく言っておこう」
うふふと頰を染める氷帝先輩。伊達なら彼女を溶かすことさえできるだろう そんな気がする。
ラノベの主人公みたいな彼、その隣にいる俺は第三者からどう見てるんだろうか__?
所謂 親友ポジ? そんな感じだろうか? 主人公とハーレムのキャッキャ ウフフを真近で眺め
常に主人公をたてるそんな存在。 思えばそうだ 一緒にいれば彼の容姿の良さが引き立つだろう。
クラスでも浮いている日陰者の俺に仲良くするそんな彼が周りからはどんな風に思われているんだろう?
大体は優しいとかそんな感じだろう。 情けでも気持ち悪いやつに親しくする伊達君カッコいいとか?
あれ?まさか俺ダシに使われてる? いやまさか、あんな熱血鈍感ボーイに限ってそんなこと......
ブルリと身震いしてしまいそうだ。東条先輩が匂わせた姫川さんの本性。 なら伊達も......
「元から死んだ様な肌色してますが一層白くなってますわね」
「だ 大丈夫ですよ......」
「はあ?誰もあんたなんか心配してませんわよ 気持ち悪い」
ガチのトーンで言うのはやめてほしい。 文面だとツンデレに思えるのだが デレなんか見せず
心底嫌そうな声で答える。
「私からの忠告だ、あまり正樹と絡む様なら_____ 消すぞ?」
公正公明で厳粛な彼女ですら夢中になる彼 伊達の本性を知るのはまだまだ先だ__。
なんか一人隠し事して罪悪感を感じてたのバカみたいだな...... 放課後特有の緩やかな雰囲気の中
感慨に耽るのであった。
最近流行りの復讐モノ。区切りいいところまでまとめて出して欲しいと願うのは
読者のエゴでしょうか? エゴですねすいません。




