94.消耗品
昼食の時間までイマイチ中途半端な時間を潰す為に。
安い武器屋で買った剣を鋼に加工する。
熱処理までして呟く。
「これ、あの親父が買い取った剣が売り切ってないと買い叩かれるよな…。」
実際商品は売るタイミングが難しい。
あの、マンゴーシュ的な剣は今だ売るタイミングが無く、収納魔法の肥やしだ。
安い武器屋で買った剣は未だ16本ある。
足が付かない様に商品を捌くのは難しい。
王都でマンゴーシュを売ればスグに灰色と俺を結びつけるヤツが出てくるだろう。
替わりに投げナイフをあの節穴武器屋で売るべきか…。
雑貨屋で投げナイフを買う層は無いだろう。
作ってしまったが、自己で消費すると二回目から足が付きそうだ。
オリジナルに近い形の投げナイフだ。
残せばスグに足が付く。
「いっそのこと色んな店に大量に卸すか?」
正直。何十本も砥ぐのはめんどくさい。
飛行を安定させる為の房を柄に付けなければ…。
加工が多いとさらに面倒だ…。
エンリケの店の伝で行商人に売るか…。
娘に持たせて他の町の武器屋で売りさばくか…。
いや、娘に持たせると買い叩かれそうだ…。
「いや、ソレでも良いかもしれん。」
安物だと思われるだろう。
二度手間になったが鋼を…。
どうせ粗悪品扱いだ、一気にやろう。
又厩の横に出る。
土のプールに鋼の塊100kgをおく。
低級ポーションを煽る。
”ウェ~イ!!”
いかんな、この掛け声は、口グセになりそうだ。
投げナイフ(刃なし)を一個取り出し見ながら作る。
800個の投げナイフができる。
そのまま加熱、水を引き入れプールの中が沸騰する。
あたりには蒸気がたちこめ馬が騒ぐ。
俺の腹時計ではもうすぐ昼だ。
おいおい、あせるんじゃない。俺は焼き入れがしたいだけなんだ。
焼き戻しは行なわない。
俺の物と売り物を分ける為だ。
硬いがスグに欠ける投げナイフだ。
安物だから良いだろう。
俺をハメようとしても違いを指摘できる。
まとめて収納する。
”投げナイフ(刃なし)×50”
”劣化投げナイフ(刃なし)×800”
よし!!
コレを娘に売りさばいてもらう。
収納袋付きなら売れるだろう。
あの世界では皮の鎧に鞘を付けて鎧の補強を行なうコトもあったそうだ。
冒険者たちには精々頑張ってもらう。
飯を喰おう。
馬が騒ぐ厩を後にした。
なお、後日、”警告 厩の近くで魔法や実験等を行なうコトを禁ずる!”と張り紙がでた。




