93.瓦版
さて、今日は学校が休みだがやるコトが数多くある。
先ずは朝の日課の鍛練をする、何時もより人が少ない寮の中庭で汗を流す。
昨日の休暇はお楽しみでしたね。
朝から機嫌の良いメイドさんず。
昨日はマルカはエミリーとウィンドショッピングをして櫛を買って屋台で甘いお菓子を食べたらしい。
エミリーと別れてから、時間が余ったので図書室で時間を潰したそうだ。
今日は二人とも寮の仕事に午前中に出て午後は休暇だ。
ベスタはブーツと鞍の整備を行う予定だ。
俺は寮の作業場へやって来た。
”ウェイ!!”
イキナリ、ウェ~イ!!だ。
先ずは鋼のインゴットを出して
「10に分かれよ!!」
今回は魔法で10個に分ける。
「250なんて中途半端な注文しやがって…」
魔法収納のGUIには
”包丁 ”
”こわれた包丁 ”
”包丁(刃なし) ×70”
”こわれたペディナイフ ”
”ペディナイフ ”
サンプルで破壊検査に使ったり娘の包丁砥ぎ練習に使ったので残りはこんな物だ。
5個の鋼の立方体を包丁200本に変える。
3個の鋼はペディナイフ320本になった。
残りの鋼2個は収納した。
まあ、良いだろう。店には250セットと交換予備20セット納品して終わりにしよう。
残りのペディナイフ50本は投げナイフの形に変形した。
幅広で両刃で先が重いナイフだ。
何時もの厩の隣りで問題なく焼き入れ焼き戻しを行なう。
馬が騒ぐが気にしない。
焼き戻しの間に次のスクロールのアイデアを練る。
魔力の無い人間でも魔力の操作法を教えることが出来るのは司書とマルカで確認済みだ。
魔石を使えば魔力の一時保管ができる。
魔力を集めるエンチャントは形が出来ている。
一番簡単なファイヤーボールのスクロールを地面に書く。
魔力を充填すれば一定の威力のファイヤーボールが飛ぶ魔法スクロールだ。
使い捨ての魔法陣。攻撃用お札に近い。
このゲームでは無かった物だ。
いや、しかしコレでは魔力に反応して何時発動するか解からない。
自爆するヤツが出るだろう。
ソレではロビンが不憫だ。(ロビンで実験するのは決定。)
あの世界の手榴弾的な安全装置が必要だ。
魔法が使えない者は当てるのが難しいだろう、簡単な照準装置も要る。
魔法の構成部分、変換回路&発動回路に停止回路をつける。
メモ帳の様な束にしてミシン目で切り離せば停止回路が切断されて発動すると言うのはどうだろうか?
いや、ポンチ穴にしてバインダー金具から引き切ると停止回路へのラインを切断する方法でも良いかも知れない。
ポンチ穴を紙の真ん中に開けて覗きながら発動すれば簡易的な照準装置になるのでは?
どうせファイヤーボールは手の先にしか真直ぐ飛ばない。
アイデアが決まり地面の土に回路が出来上がる。
何度も見直すが悪く無いと思う。
威力は固まった二、三人吹き飛ばす程度だ。
並みの魔法使いが本気出した程度の威力のハズ。
考えた魔法陣を紙に書き写し、冷えた包丁を収納する。
”包丁 ”
”こわれた包丁 ”
”包丁(刃なし)×270”
”こわれたペディナイフ ”
”ペディナイフ ”
”ペディナイフ(刃なし)×270”
”投げナイフ(刃なし)×50”
GUI表示も問題ない。
作業場に戻り廃材置き場を漁るが、銅版が無い。
流石に使い切ったな。
壊れたドアと鉄のリングがいくつか有ったので蝶番や金具を拝借する。
鉄リングはたぶんカーテン用の金具だな。
切目がある。Cリングに近い。
木の板が有るのでコレ版画まっしーんを作ろう。
量産するには手間を省かなければ…。
紙は水に濡れたり破損したりすると安全回路が外れそうだ…。
使うなら布だな、ココには銅瓦用の穴あけポンチもある。
大きさを決めようB5ぐらいの大きさで良いだろう。
銅版はインクの無駄が多いからなあ。
薄い木板が有ったので書き写した魔法陣を写す。
字の部分を掘る。
センター穴とバインダー穴は位置決めに重要な場所だ。
木の板の上で粘土を伸ばして彫った木の板を押し付け魔法で乾かす。
うん、イイ感じだ。粘土が縮んで木の板が簡単に外れる。反転された字ができる。
擦れている部分や表面を修正する。
魔法で一気に乾かしたが、割れが起きなかった。
縮み方向をコントロールできるのか?魔法サイコーだな。
コレを焼いて瓦版に…。
いやまて、魔法が有るんだ。
瓦版の悪くて良い所は吸水するところだ。
ここは焼かずに…。
「強化!!」
うん、まるで焼いたような硬さだ。水も吸わない。
印刷面がざらついているので水も弾かない。
B5に切ったキャンパス生地を30枚重ねてポンチで穴を開ける。
センター穴は重要だ。
一枚一枚版画マッシーンで印刷する、ウォン俺はまるでプリ○トごっ○だ!!
印刷したスクロールを鉄のリングでバインダーの様に金具四つ穴に閉じる。
この穴の端が4個が切れれば安全装置解除だ。
使用する時に一枚ずつ引き切り離せば良い。
マジックインクは油性で水にも溶けない。
表を敵に向けて穴から覗いて打つダケだ。
「…。表どちらか解かるよな?」
朱印の注意書き印判を作るハメになった。




