番外編.宮廷にて。
(´・ω・`)番外編。その3
俺の名前はジョン。
ヴォルーデ準男爵次男ジョン・ヴォルーデ。
この週末は宮廷からの招待状が来たので大騒ぎだった。
何故なら、今、俺の家で王都に居るモノで最上級は俺だ。
兄貴は領地で親父の補佐をしている。
招待が来れば受けるしかない。
兄貴分で宗主家のバージェル男爵嫡男カール・バージェルも一緒なのがせめてもの救いだ。
まあ、カールのオマケなんだ。俺は。
学校の食堂でハイデッカー公爵家のオットーが来ないコトを聞いて不思議に思ったが。
まあ、仕方ない、王侯貴族は不思議な力学で動いている。
戦場では理解できない何かだ。
フェルッポとマルコがパーティーの壁紙になっているので挨拶をする。
お互い学園の礼服を着ているので許されるコトだ。
学校を出たら会話をすることすら不可能だ。
「オットー居ないねえ。」
のんびり話すフェルッポ。
「オットーは呼ばれていないんじゃないか?ほら、嫡男がメインになるだろう。」
壁紙に徹するマルコ。
「ああ、でも、ハイデッカー公爵の長男は遠征中だと聞いた。」
カールが言う。
アレックスが来た。すごい衣装だ。
「じゃあ、次男だな。主計学校の主席卒業らしい。」
話すアレックス。町で見たら道化だと思う。
しかし、誰も突っ込まない。
一目でワイヤード家の者だと解かる。
嘗ての創始ライオネル・ワイヤードはもっと酷かったらしい。
「凄いなあ、武・文・魔の主席総取りじゃないか。ハイデッカー家兄弟は。」
感心するフェルッポ。マルコが呟く。
「まあ、勝てないからなあ…。」
思わず納得する。あの魔法は犯則だらけだ。
恐らくこの王都でオットーと魔法の打ち合いをして生き延びる者は居ないだろう。
帝国兵を肥料にすると豪言していたが。
今となっては、まあ、あれなら。そうなるだろう、敵兵に同情する。
”ハイデッカー公爵ご到着。”
執事の声で皆が首を垂れる。
ソレに続くミソッカス。
あれが、オットーの親父か…。
睨まれると縮み上がりそうだ。
オットーより小さいが眼光が鋭い。
オットーは何となく笑いながら殺しそうだが。
父親は冷酷な感じだ。
目が有った。
こちらに歩いて来る。
アレックスが顔見知りか?
俺は離れるべきか??
「やあ、魔法学園の学生諸君。元気にしておるかね?」
「はい!公爵閣下!ありがとうございます。」
先陣を切るマルコ。
頼りになる。
「ああ、ひょっとしたら息子がお世話になっているかもしれない。」
「はい、オットーとは学び舎を友として切磋琢磨!自己の修練を重ねております。」
「うん?キミ達はオットーの既知の間柄かね?」
「はい、我々クラン”放課後図書室”は発起人”オットー・フォン・ハイデッカー”の元!強力な魔法使いの発現のため。日々修練を続けております。」
「は?クラン?キミ達は、基本魔法科クラスかね?」
「はい!公爵閣下。いいえ。我々は魔法科クラスの学生であります!!」
軍では上官の発言をイキナリ否定するコトは出来ない。
この公爵は胸に中佐の略章をつけている、我々は軍属では無いが諸侯軍の少尉の下の階級扱いだが、伍長より上という慣例だ。
微妙な時間が流れる。
何故か公爵が困惑しているような…。
俺達何か失敗したか?
校長が来て助け舟を出してくれた。
「これはこれは、ハイデッカー公爵様。ご子息オットー様は魔法科クラスで数々の偉業を打ち立てています。流石公爵家の御血筋…。」
公爵を別のテーブルに誘導してもらえた。
「国王陛下、王子入場。」
今日は王子の婚約披露パーティーだ。
このまま終わるまで壁紙の役で終わらせてくれ。
でも、怖いな、かつてのハイデッカー公爵と言ったら、殺戮公と呼ばれ敵兵の首を切るのが大好きな貴族だったろ?
なぜか拳を見せるオットーの笑みを思い出す。
やっぱり王侯貴族は何処かオカシナ人間しか居ないな。
(´・ω・`)
校長のハナシを聞く親父の心。
(うわあ、アイツ。ホントに魔法使えるの?オカシクネ?)




