84.毛皮の帽子
店に包丁を納品して追加の100セット代金、金貨200枚と裁断済みの布を受け取った。
丁度A4ぐらいのサイズだ、色つきだが問題ないだろう。
イレーネとイチャイチャしたかったが時間が無いので髪だけ触って学園に戻った。
図書室に入ると、ロリロリと司書さんが居るだけだった。
ちょっと速かったか?
ベスタはもう既に寮に向かった後らしい。
黒髪ロングのオリエンタルロリのエミリーが胸に手を充て頭を下げた。
「あの、オットー様。今日の実技で合格点を貰いました。訓練のお陰をもちまして今年で基本魔法科を卒業できるコトに成りました、来年は魔法科に編入します。」
「おお。そうか。ソレでは来年からは級友だな。よろしく頼む。」
「はい、マルカも一緒に上がるハズです。」
「あ、あの、私は未だ…。」
「まあ、大丈夫だろう。来年まで未だ時間が有る。ゆっくり一つずつやるんだ。」
マルカの頭に手を置いてなでる。
うん、さらさら髪だ。生え揃っている。嘗ての傷跡もハゲも何も無い。
何故か顔を赤くするマルカと頬を膨らませる司書さん。
司書さんもナデナデしたい。
「やあ、こんにちは。お昼ぶり。」
ミソッカス共がゾロゾロ入ってきた。
どうやら午後の講義は終わったらしい。
「やあ、アレックス。午前と午後の講義は何だった?」
「うん?ごめん寝てたから覚えてない。」
アレックス…。使えない子だ…。マルコが替わりに答える。
「昨日のシールド魔法の反省会と結界魔法の触りだ。」
「ほう、結界魔法か…。俺も授業に出るべきだったか?」
「オットー、僕ノート取ってたよ。」
フェルッポがノートを出した。さっそく収納魔法を活用しているらしい。
ノートを受け取り中身を見る。字が綺麗だな。
「おう、ありがたい。この時間貸してくれ。そういえばコレが狼の帽子だ。」
毛皮の帽子を取り出してフェルッポに渡す。
フェルッポの目がキラキラしている。
「コレが狼かー。」
モフるフェレッポを後ろから覗くカール
「本物だな。」
「間違いなくグレイウルフだ。」
腕を組んで険しい瞳のジョン。
対するフェレッポはウキウキだ。
「フカフカだ~。」
「え、すいません。私にも触らせてください。」
エミリーが手を伸ばしている。エミリーももふもふ好き?
「あの恐ろしい魔物も毛皮に成ってしまえば可愛いものだな。」
呆れるマルコに疑問をぶつけるロビン。
「マルコ様。グレイウルフは魔物なのですか?」
「ロビン、厳密には魔物ではないが。村にとっては魔物と変わらない。並みの兵では倒せない。」
「僕は狼見たこと無いんだ。」
アレックスは他人事の様子だ。
「まあ、見た者は死んだ者が多いからな。」
カールは苦々しい表情だ。痛い目に在ったのか?
「おいおい、狼ごときに負けるなよ。」
Lv.3~5ぐらいの敵だぞ?
「オットー、ごときって…。」
「Dクラスの冒険者数人かCクラスの冒険者を雇わなければ撃退できないぞ。」
マルコとジョンは呆れた顔を俺に向ける。
「そうなのか?相棒だった猟師は狼を一人で倒せれば一人前と言ったが…。」
「そうだ、領内の一人前の猟師は貴重だぞ…。それこそ兵よりな…。」
カールの話だ。そういうものなのか?
司書さんが狼の帽子を被ってフカフカを楽しんでいる。
しっぽがお気に入りらしい。
なおマルカは無表情だ。いや、レイポ目になっている。昔、狼で怖い思いでもしたのか?
「さて、では今日は初めからやる。マグを出せ。」
声を掛けると、皆訓練さた動きで所定の椅子に座りテーブルにはマグが置いてある。
司書さんだけ自分の花柄マグと銅のマグが置いてある。
「では自分のマグに魔法で水を入れろ。」
「え?何で?」
「アレックス。もう細かい魔力が分かるハズだ。魔力に反応しやすいポーションではなく普通の水でもできる筈だ。さて、魔法で作った水は微かに魔力が宿る。もちろん作ったヤツの魔力だ。コレを制御しろ。水で今までの練習のやり直しだ。」
「おいおい、またかよ。」
「もう飽きたな。」
「おい、カールとジョン、誰が作った水でも、井戸水でもな。制御できる能力を身に着けるんだ。まあ、応用はスグに分かる。」
「い、意外に難しいな。」
「兄さん、動かないよ。」
「あ、何か分かったような気がします。」
「えー。マルカ、コツを教えて~。」
「ああ、そうだな。魔力の低いものほど解かり易いハズだ。出来たら次に進む。俺はノートを読む。」
フェルッポのノートで自習する、なるほど、コレは解かり安い。
結界魔法とは空間に作用する魔法らしい。
体積比計算の話が多い。
うーん次の授業は出るべきだな…。
明日は半ドンだ、午後からベスタを連れて冒険者ギルドへ行くか…。
ふと見ると、司書さんが拗ねている。
どうやら魔力が無いので付いていけないらしい。
「ぶ~。」
「ああ、すいません、ココから先は魔法使いの応用になります。司書さんは…。」
「エレノアです。」
「はい?」
「私の名前はエレノア・ハントリーです~。」
「ああ、エレノアさん。」
「ぶ~!」
「あ。あの、エレノア様?」
「ぶぶぶ~!!」
「エレノア?」
「はい、なんでしょう?」
やっと機嫌が良くなった…。ドコに地雷が在ったんだ?
「エレノアはポーションを使って練習しましょう。」
「魔法使いになる道具はどうなったんですか?」
「絶賛開発中です(棒)」
「はい、待ってます。お願いしますね~♪」
終わりまでに皆、水での回転制御が出来る様になった。
コレで丹田を教えれば、空間の魔力を自分の魔力に変換できるハズだ。
しかし、丹田は諸刃の剣。
教えて良いものだろうか?
特にアレックス…性戦士アレックスと言う猛獣をこの世に解き放つコトに成る。




