74.帝国料理
校門を出てロビンの案内で食堂前に立つ。
この店だけ赴きが違う。
「ココは帝国式料理の店です。」
「ほう、帝国か…。どんな料理だ?」
「キャベツの酢漬けと蒸し芋と屑肉の腸詰めです。」
「よし!!他の店にしよう!!」
アレックスが力強く答える。
ミソッカス共は強く同調している。
「ロビン、俺は何でも構わないが。今日は辞めておかないか?」
「そうですか…。ココはエールと言うモノが美味しいと評判です。」
「入るか…。」
そうかエールか…。まあ、ドイツドイツドイツジャーマンと言う国では水と同じで子供も飲む酒だと聞く。
蛇口から酒が出るという話の夢の様な国だ。
みかん汁が出る国もあるらしいが…。
しかし。”蛇口”ってなんだ?
「ええ~。」
「まあ、良いか?」
「そうだな。違うものも有るだろう。」
「肉が有れば何でもいいぞ…。」
店内は丸テーブルでなく四角いテーブルだった。
王国ではめずらしい形のテーブルだ。
店の中は客が少ない。
「七人でお願いします。」
ロビンが先導する。
「へえ~帝国ってこんな感じなんだ。」
アレックスが店内をジロジロ見る。
頭に大きなスカーフをした金髪の女中がでて来た。
ムネの開いたちょうちん袖の白シャツに緑のスカートドレス、フリルの白エプロンと言う姿ででて来た。
メニューを出す。
カトラリーを並べる。
女中の屈んだ姿勢で谷間に全ての視線が集中する。
「申し訳ございません。お客様。今日はエールしか有りません。」
なに!!酒だけ?
「何かつけ合わせは有るのか?」
カールの目が鋭い。イモは要らない光線だ。
「キャベツの酢漬けか帝国風サラダが出来ます。」
「サラダにしよっと。」
決断が早いフェルッポ。
「エールと言う食べ物はなんだ?」
ふん。マルコ、酒に決まってるだろ?黄金色で泡の出る…。いや、この際黒くてもイイ。
「はい、ルピア色の薬膳料理です。」
「なに!?」
思わず声を上げた。
おい!!ルートBなのか?あのシップ臭い。
「はい、粉末生薬と小麦を火で炙り、ヘットと炒めて肉と野菜を加えた煮込み料理です。」
は?
「お好みのモノを乗せて下さい。今日は魚のフライと腸詰めの素揚げ。鳥のフライが選べます。ベースはパンか米をお選び下さい。」
ビールに米か?パン?
いや、まて。焦るな、俺は腹が減っているだけなんだ。
ココは標準的なモノを選ぶんだ。
呼吸を整えタイミングを計り放つ。
「お勧めは?」
「ランチセットが在ります。A、B、Cセットです。」
ほら、問題はない!!ガッフッ!!
全てエールセットだと!!最早エールがゲシュタルト崩壊だ!!
Aが…。鳥肉入りエールでBが兎肉入りだと!!米ORパンを選べだと!!
Cは羊肉にパンと酢漬け。
それぞれ追加料金でオプションを付けられる様子だ。
ナニが起きているんだ!!
「あ、僕Aで米、とサラダで。」
注文が速いフェルッポ。
「じゃあ、俺も。」
ソレに続くカール。主体性はドコに行った!!
「僕は、Bのパンと酢漬け。」
マルコは保守派だ。冒険しない。
「まあ、Bだな…。この。鳥フライを追加で。」
ジョン、お前は肉が食えれば何でもイイのか?
「僕は、Aのパンとサラダにするよ…。」
アレックスが消極的に答える。
まあ、アレックスはドウでもイイ。
「僕はいつもの。」
「はい、ロビン、ありがとう。」
ロービーン!!お前!!何時ものだと!!!
その言葉を吐いてイイのはカウンターに一人で座れる度胸のあるヤツだけだ!!
「あの、オットー様?どうします?」
皆の視線が俺のに集まる。
どうする?俺!!ライフカードはもう少ない。
「俺は…。Aセット米とBセットのパンだ。」
なにを言っているんだ?俺。
「え?あの。」
困惑する女中。
「ああ、良いよオットー様はソレぐらい軽いから。特盛でも食べれる。」
なんだと?ロビン!特盛だと!!懐かしい響きだ!!
「まて!!女中。特盛が有るのか?」
「在りますが…。」
確認すると確かに、特盛料金があった、しかし、ソレではセット二つ頼んでもトントンだ。
「うーん。」
「あの、オットー様は健啖家で、恐らく大盛り二つは軽い方です。」
「申し訳ありませんでした。時々、新規の方が良く解からず注文されるので。コチラも不安になりご質問しました。」
「いや、悪かった、やはりA米、Bパンで頼む。」
謎のロビンの期待の視線を孕む。
良く見ると他のテーブルの視線も集中している。
いったいナンなんだこの店は…。
「はい。A米。Bパンです。」
女中により運ばれた木のプレート皿には白い米(長い)の上に掛ったルピア色、いや、ブラウンソースとそのスパイスの香り。
Bの皿には深皿に入ったソースと白く丸いピタパン二つ。
俺は全て平らげパンの追加を注文した。
兄貴、カレーのルーは飲み物だよ。
(´・ω・`)
”復刻 海軍割烹術参考書”ではひたすら”ヘット”が出て来ます。
魔法の調味料扱いでわけわかめです。
なお、王石がこの参考書で作れた料理は3品です。
なお。この世界のフライはパン粉が無いので天ぷらに近いです。
---2020/07/17---追記。
(´・ω・`)メソポタミア文明にクラッシュしたパンに脂と刻んだネギ(玉ねぎORニンニク)を合わせ平皿に置いてオーブン(釜)で焼く料理が在った様なので。
(´・ω・`)古代にパン粉が有っても問題なくなりました。
(´・ω・`)…。(人類の勝利。)進化の先はカツレツ。




