58.ウィンドウショッピング
流石に皆の買い物が終わって、ロビンの案内で町を歩く。
中流の平民が生活する商店街だ。明るいし活気がある。
ウィンドウショッピングにいそしむ。
無論、男ばかりなので非常にムサイ。
なんだろ。キャッキャッウフフな世界は異世界にも無いのか…。
「こんなコトになんの意味が有るんだ?」
ジョンは随分と不満げだ。
きっとジョンは買うものを決めたら買ってスグに家に帰る性格だ。
「物価の把握かな?」
「物価?」
「そうだ、足りないものは高くなる。貴族は領民に物を供給しなければならない。こうやって物の価格を知れば、何か高いか、つまり足りていない物は何かが解かる。」
「オットーは領地もっていないだろ?」
アレックスが茶化す。
「その内貰う。貰えなかったら帝国から分捕る。」
「ホントに帝国に攻入りそうで怖いな。」
マルコが言う。冗談なんだが。
「そうか、領主の務めか…。」
カールが真面目に値段を読み始めた。
「まあ、細かいコトは家臣がやってくれるだろうが、一応、領主も知って居なければ。家臣が好き勝手し始めるからな。」
「領主が好き勝手やってるのはどうするんだろ?」
フェルッポが微妙な疑問を出してきた。
「そりゃもちろん、家臣が止めるのさ。」
「そうか、オットーの家臣は気の毒だな。」
何故かアレックスが呟き。皆が頷く。特にロビンの頷きが大きい。
おいおい、ひどいな。俺は下の者には優しいぞ。
愉快な時間が過ぎる。
平和な町並みに。
何かが割れる音が響く。
「ヤメテクダサイ!!」
女の声だ。
あっと言う間に人だかりが出来る。
ほほう、ケンカだな?
「イヤ!!放して!」
「まあ、そう言わないで下さい。悪いようにはしませんから。」
「娘を放して下さい!!お願いします!!」
よっし!!相手は悪役決定!!
ヤレヤレ仕方ないな。チンピラでも狩るか…。
思わず拳に力が入る。
関節が鳴るぜ!!(ボキボキ)
何故か周りの野次馬が飛びのく。
野次馬の中に花道が出来る。
「トリーニア!!」
後ろのロビンが叫ぶ。
「ロビン!!たすけ…。」
「静かにしろぃ!!」
娘の腕を掴むノッポの歯抜け赤っ鼻が叫ぶ。
その後ろにガタイの良いレイピア下げた亜麻色ロン毛のオッサン。
コイツ兵隊上がりだな。顔の古傷と眼光が歴戦の証だろう。
ムカつく髪型だ!!フサフサだ!
「その人から手を離せ!!」
いいぞロビン!!正義は我にあり!!
群集の中に隠れるミソッカス共。カールとジョンがマルコ、アレックス、フェルッポの前と後ろに立ち剣に手を置いている。
流石、乳タイプ荒事には慣れているようだ。頼りになる。
「おいおいおい、なんだ?このガキは~。」
あとはコイツ等を叩きのめせば良いだけだ。
花道をゆっくり進む。嬉しくなるぜ。
ロビンもついてくるのが解かる。
「お。おい、なにが可笑しいんだ?」
赤っ鼻の前まで進む。コイツはタガーと投げナイフか。
後ろのオッサンは王国式剣術だ。
手加減は要らんな。




