49.平民
さて、軍資金も出来たので。
ロビンの家に向かう。
カールは装備したばかりのナイフをしきりに障っている。
カール、嬉しいのは解かるが。街中でソレは物騒だぞ。
下町に近い場所で一戸建ての家に着いた。
下民ならまずまずの家のハズだ。
ただし、古い。
門扉で遊んでいる少年に声を掛ける。
顔が似ているので親族だろう。
「ロビン君は居るかな?」
「居るよ?お兄さん達はだれ?」
「学校のトモダチさ。」
「にーちゃん!!学校のトモダチが来たよ~!!」
庭に向かって叫ぶ少年。うん、元気な少年だ、弟なのか?
両手まくりして土に汚れたロビンが出てくる。
「デーニック。なんの用だ…。今日は…。ハイデッカー様!!」
「おう!ロビン遅いから迎えに来たぞ!!」
逃げるロビンを一瞬で捕まえる。
「ロビン!!何やってるの!!早く塀を直しなさい!!」
女性の声が家の中から掛る。
「ロビ…ヒッ!!」
ロビンを締め上げる姿に驚いている様子だ。
たぶんロビンの母上だろう。
「これはこれはロビンのお母上でしょうか?私の名はオットー・フォン・ハイデッカー、ロビン君の級友です。」
「あ、あの、ハイデッカー様。息子が何か?」
母上が畏まっている。まあ、フォンなんて偉そうな名前はそんなに居ないからな。
「今日は王都の道案内を頼んでまして。迎えに来た所存です。」
「そうでしたか。あの。息子の具合が…。」
「ああ、大丈夫です、死んでスグなら生き返らせるコトが出来ます。」
「オットーが言うと冗談に聞こえないね?」
アレックスが笑うが皆笑わない。
マルコはまるで笑えない冗談だと言う態度だ。
拘束を解く。
「ゲホゲホ、ハイデッカー様すみません今日は家の用事が。」
「あ?なんだ?」
「すみません!!今日は家の塀の修理が在るので参加できません!!」
まるで勇気を振り絞ったようなコトを言うロビン。
よーっし!!俺!がんばちゃうもんね。
「ふん!!」
土魔法を使って周囲の塀を固めて強化する。
トラックが突っ込んで来ても大丈夫だ。
ただし転生トラックお前だけはダメだ。
「塀は修理したぞ!!5分やる、出かける準備をしろ!!」
ロビン一家は全員驚いた顔だ。
ついでにロビンにクリーンの魔法を掛ける。
ロビンが光って汚れがその場で落ちる。
何時見ても不思議な光景だ。
「急げロビン!!」
声を掛けると。呆けから復帰した。
「はい!!今すぐ!!」
家に飛び込むロビンの背中を見ながら。母上に頭を下げる。
「ご家庭の用事がございますでしょうが。今日一日、ご子息をお借りします。」
「え!いえいえ!!どうぞ息子を使ってください。」
着替えたロビンを皆で迎える。
はたからみて居るとまるで連行されるようにも見えるのが難点だ。




