4.筋肉まっし~ん。
鍛錬は毎日欠かさない。
筋肉が付くとイロイロなコトが出来る。
懸垂の為の鉄棒(木製)も作らせた。
アスレチックと言う壁を登る板も作って貰った。
木杭に拳を撃ち込む。
回し蹴りでへし折る。
夜は金床を殴る。
徒手格闘戦と言う型も在るらしい。
敵の背後に忍び短剣で音も無く倒す技らしい。
隠者や暗殺者の技だ。
”スネーク”と言うらしい。
軍がこんな技を使っているなんて。伊佐治の国は物騒な国だ。
信じられないような兵器が一杯在るのに人間を素手で倒す技に固執している。
伊佐治は剣術の知識が乏しかったが剣の知識は豊富だった。
この国には無い形の剣も知っている。
ロジーナ王国では帝国軍の重装甲歩兵や、装甲騎兵に対応する為にレイピアが主流で、軍人と貴族の剣術はレイピアのみだ。
伊佐治は日本刀と言うサーベル専門の剣術しか知らない。
抜刀や居合いと言う技は面白そうだが活躍する場は無さそうだ。
しかし何故か重装甲歩兵や、装甲騎兵、レイピアの弱点を知っている。
栄養学も何となく知っている。
脂身の少ない肉と野菜。豆と牛乳(ココでは山羊の乳しか手に入らない)を食べると体に肉が付くらしい。
毎日の新鮮な果物は寿命を延ばす。
希に開拓団や軍隊内で流行る奇病が栄養不足だと知っていた。
「肉が喰いたい。大きくなるには肉が必要だ。」
「ぼっちゃま。お肉は簡単には手に入りませんよ。」
「森に動物が居るだろう?」
「森は危険な動物が居るから入ってはいけないのです。ご領主様の許可が要ります。」
「そうか…。」
親父に頼んで見るか。
もちろんダメだと言われた。子供が森に入るモノではない。だそうだ。
くそう、大きくなるために肉が必要で肉を得るには大きく無いといけない。
なんて、何て理不尽な。