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47.スクロール

翌日、校門の前で皆が集まる。

俺は猟に出る時の姿で紺色のフード付き外套だ。

流石に帽子はかぶらない。

ロリとくっころさんは休暇で寮に置いてきた。

ロビンのヤツが来ない。

アイツ。逃げやがったな?この俺から逃げられると思うなよ。

「時間だ。揃ったよね、ロビン以外は。」

フェルッポは私服で腰に短剣を刺している。

どっから見ても貴族のぼっちゃんが馬の遠乗りに出かける姿だ。

「どうする?」

ジョン・ヴォルーデ、乳タイプ兄弟の弟分で大きい方。

流石に庶民のコスは完璧だ、しかし、腰の剣とガタイで休暇中の騎士にしか見えない。

「まあ、良いだろう。俺は武器屋で物を金に替えないと懐が寒い。ロビンは後で家を襲撃しよう。」

「家知ってる?」

アレックスが首を傾げている。

「ああ、こんな事もあろうかと事前に、ロビンの友人を締め上げて吐かせて置いた。」

「オットー、お前は…。」

マルコがコメカミを揉んでいる。

「俺が頭を下げたら心良く喋ってくれたぞ。」

ウソではない。

首根っこを掴んで俺より高くしたんだ。相対的に下げたコトに成る。

「よし、じゃあ!武器屋だな!!」

カール・バージェル、乳タイプ兄弟の兄貴分で小さい方は弾んだ声だ。

「俺、実用品のナイフが欲しいんだ。」

「俺は親父から貰った量産品よりしっかりした剣が欲しい。」

ジョン・ヴォルーデ、乳タイプ兄弟の弟分で大きい方は腰にぶら下げたレイピアに手を掛けている。

ジョン、お前の剣は量産品だがナカナカ悪くないぞ。ソレより良いヤツはきっと高い。

「ああ、コレから行くところは冒険者向けの武器屋だから無骨なヤツしかないぞ。貴族向けの店はロビンが知ってる。」

「僕、魔法スクロールが欲しいんだ。」

フェルッポが嬉しそうだ。

「フェルッポ。魔法スクロールは高いぞ。」

「大丈夫だ兄さん、この時の為に溜めてきたんだ。」

「ああ、ソレだとロビンに聞く必要があるな。スクロール売っている魔法の店の場所は概ねの場所しか聞いていない。」

そうか、フェルッポは魔法のスクロールが欲しいのか…。

コピーしたものが動くか試す必要が在るな…。

「ロビンを捕まえ…。いや、その前にフェルッポ。手伝って欲しいコトが在んだが。」

「何を?オットー。手伝うよ?」

よっしゃ!!言質取った!!

「コレを読んでくれ。」

魔法収納から丸めたシーツの切れ端をフェルッポに渡す。

「どれどれ。」

ボッシュ!!

フェルッポが広げた布切れが燃えて無くなる。

よし!成功した!!

驚く皆。

「おい!!フェルッポ大丈夫か!!オットー!何やった!!」

怒るマルコ。

「どうだ?フェルッポ。収納魔法のスクロールだが覚えたか?」

「え?なにこれ?収納魔法??」

混乱しているフェルッポにたずねる。

「ああ、そうだ。試しに自分の短剣を収納してみろ。」

フェルッポが腰の短剣に左手を掛ける。短剣が消えた。

「どうだ、頭の中に短剣が在るだろ?取り出してみろ。」

「あ、出た。」

今度は右手に剣が出現した。

問題なく発動している様子だ。

「ああ、すまんすまん。収納魔法スクロールが出来たのだが正常に動くか試したかったんだ。一度スクロールが発動すると同じスクロールは発動しないからな。」

「おい!オットー!弟で魔法を試さないでくれ。」

抗議するマルコ。

「すまんな。マルコ。マルコも要るか?収納魔法のスクロール。便利だぞ。」

布切れスクロールを人数分取り出す。

実験は多い方が良いからな。

「う、コレ、大丈夫なのか?」

「大丈夫だぞ。魔力の量で個人差が在るが我々なら馬車一台分の収納は軽い。家の奴隷でさんざん実験したからな。」

「オットー…。」

「僕、奴隷と領民は大切にするよ…。」

「俺の爺さんが言ってた”貴族だから何したってイイと言うわけでは無い!”て意味が今解かったよ。」

「こんな物で本当に魔法が覚えれるのか?」

「なんだ?コレ。面白い。」

フェルッポは剣を出したり閉まったりして遊んでいる。

「おい、ヒドイ言い方だな。収納魔法、要るのか要らないのか?あと、フェルッポ。ソレは一応、魔力を消費するから実験は安全な時にやれ。」

「もらう。」

「必要だ。」

「おもしろそうだな。」

「本当に大丈夫なんだな?弟も。」

「ああ、大丈夫だ。外見はショボイが効果は本モノの収納魔法スクロールだ。」

恐る恐る受け取る。

皆の手の中で炎が上がる。

「なるほど。オットーは何時もこうやって居たのか。」

「ああ、収納魔法は便利だが意外にトラブルの元になる場合も多い、あまり見せびらかさないコトだ。ポケットから取り出す様な素振りも必要だ。」

「ふーん、そう言う物なのか…。」

「しかし、便利だが…。」

「ああ、カール、便利だぞ。なにせ馬車一台分だ。一個小隊の食料一週間分丸々だ。従軍するのにこんな便利なものは無い。」

「なるほどスゴイな、」

「おいおい、トンでもない事だろ。小隊一個が補給無しで一週間って。」

ジョンが驚いて声を上げる。

日本軍が二十日分の食料で兵が通常装備+四十キロだから(水は現地調達。)こんなものだろう。

「水等は樽や容器等に入れないと収納できないからな。使い方は各自で考えてくれ。こういう単純な魔法は使い方で随分と違う。」

「使い方か…。」

「そうだ、俺は水筒と食料を持ち歩いている。まあ、悪コトには使わないことだ。店のモノを盗んだりな、まあ、大概は何らかの対策がしてあるハズだ。すぐばれる。」

「そういうものなの?」

「して有るだろ。コレだけ普及してるんだ。」

「いや、スクロールはそんなに簡単に買える物じゃないぞ。」

「まあイイだろう、貴族は恥ずかしいコトはしてはいけない。魔法も恥ずかしいコトに使用してはならない。しかし捻って使うのは問題ないだろう。」

家庭教師のマイヤー先生の言葉を引用する。

「オットーの場合は捻っていると言うより。斜め上すぎるよ。」

ひどいなアレックス。

「よし、じゃあ出発だね。まずは武器屋へ向かおうよ。」

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