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369.入学式

もう既に寮を引き払い、フランの家に居を移した。

新しい家族との生活が始っている。

色々と新鮮な新婚生活だ。(嫁多い)

序でにマルカとベスタには俺の紋章を刻んだ。

もう、ハーレムの一員です、逃げられませんぜ。(ゲス笑い。)

マルカはフランの家のオールワークスのメイド、ルテーゼに料理を手伝って覚えている。

ルテーゼは、フランが生まれたときから居るメイドで、小柄で年配の女性だ。

豪華な食事は作れないが、味は良い。

何時も動いている印象だが。

俺を”旦那様”と呼ぶので少々こそばゆい。

後、庭師のビルツ。

初老の痩せた黒帽子を被った男だ。

今まで馬の世話を行なってきたが、元々”馬は専門外だ”と言って。

喜んでベスタに馬を全て任せている。

ビルツの話では他の使用人は通いで、手が足りなくなったら呼んでいるらしい。

”まあ、何時も手が足りないんですがね?旦那様。”

何故か庭師は安堵の顔だ。


真新しい教授のコートを着て馬車で学園に到着した。

「ではオットー様。日没前にお迎えに参上します。」

「ああ、解かった。気を付けて帰るのだ。」

ベスタの操る馬車を見送る。

さて、今日は入学式だ。

主人公と初対面の日になる。

このゲームのプレイヤーだろうか?

果たして主人公は転生者か…。召喚者か?

だが!しかし!!

もう。どうでも良い。

俺の圧倒的優位。

教授なのだ。

逆らったらアカハラだ!!

「ククク、フハハハハハハ!」

校庭で笑う俺を遠巻きに見る新入生達。

おっと、イカン。

目立ってしまった。

だが問題は無い。

フラグは立った、ゲームのNPCが俺にイベントを起こすだろう。

悠然と肩で風を切り進む。

俺は教授だぞ!!

道を空けよ!!

生徒達が道を空けるが進路を人影が遮る。

ほら来た!!フラグが仕事してる!


「おや、貴方も入学生ですか?精々、退学にならない様に大人しくなさい。」

笑う。ツインテール。

日の下では金髪に見えるダークブロンドの髪が揺れる。

ヤンデレお姫さまは皺の無い新しい制服を装備している。

新入生を示す襟証も…。

「いや、ソレは問題ない。」

学園内ではもう既に幾つかのプロジェクトが進行中だ。

王国の未来が掛っている。

あと…。人命。

人々を飢餓から救うのだ。

「フフフ、まあ強がりを…。わたくしの力を持ってすれば貴方なんて直に退学です…。ところで貴方…。変った制服ですわね。何処のクラスなの?」

なるほど、未だコイツは教師のコートを知らないらしい。

入学式も始まってないのに宣戦布告だ。

うかつな奴だな。

「生徒クリザンヌ。貴様の態度は良く解かった。しっかり指導するのでその心算で居ろ。俺はオットー・フォン・ハイデッカー教授だ。ハイデッカー教授と呼べ。」

「え?教授?」

間の抜けた驚いた顔のヤンデレ。

「そうだ。貴様の義理の兄に当たるがこの学園では通用しない。一生徒として指導してやる。俺の仕事は生徒を鍛え、一流の魔法使いに育てることだ。忘れるな!」

「へ?義理の兄…。」

マヌケな顔のヤンデレ。

なんだ?コイツ聞いてないのか?

まあ、フランは外の子だから仕方ないか。

間抜け顔のヤンデレにドヤ顔で畳み掛ける。

「精々、予習復習を忘れるな、他の生徒の足を引っ張る様な真似は容赦せんぞ!」

宣戦布告に宣戦布告で答える。

「そ。そんな…。」

青い顔のヤンデレ。

クククいい気味だ。

「なに安心しろ。手足が無くなっても、死んでも生き返らせてやるからな。俺に死んだふりは通用せんぞ?糞、小便を漏らすのは良いが、ゲロは吐くな吐いたら喰わせるぞ!!」

絶望で固まるお姫さまに捨て台詞を吐いて進む。

クククク、良いじゃないか。

アカハラ最高。

主人公が出てきて、逆らってもコレで撃破できるだろう。

帝国の進攻までに強力なユニットを作る必要が在るのだ。

主人公がどのようなレベルか未だ不明だが。

戦争の一翼を荷ってもらわないと困るからな。


弱かったら改造だ。


校舎の一角、教員塔に入る。

上の階の学園長室には良く呼ばれたが。

下の階は入った事は無い、しかし、教員室に入退出で一礼しなくても良いのは新鮮だ。

教授だからな。

ゾロゾロと集まる教員達。

ワリス教授の姿も在る。

なお、司書たんは産休なので居ない。

学園長が入って来た。

相変わらずの魔法使いコスだ。

ゲームだ、仕方ない。

「うぉっほん、みなさんおはよう。今日から新学期で入学式が始まります。今期は基本クラスが一クラス増え、生徒が増員されており。一部の教諭が産休で手が足りなく成るコトも予想されますが。生徒の状況を把握して指導の手が抜けることの無い様に気をつけて下され。」

見渡す学園長。

俺と目が合う。

「ああ、それから欠員の補充の為に今期から臨時でオットー・フォン・ハイデッカー氏を教授として迎えるコトに成りました。彼は噂の通りの魔法使いで実力は充分である。独自の魔法理論での生徒の実技を中心に指導に当たります。対象クラスは全クラスですぞ。」

え?マジ?ハイソクラスもやんの?

「はい、ご紹介に預かりました、オットー・フォン・ハイデッカーです。学園の魔法理論に関しては余り詳しく在りませんが実技指導を行ないます。若輩者で在りますが。ご指導の程を。」

微妙な拍手で迎えられる。

「うむ、うむ。」

ひげを撫で満面の学園長。

教員からファイルが配られた。

生徒の考査表だ。

中身は生徒の名簿表だ。

全校生徒の名前と出身地が書いてある。

何回生は在るが、生年月日は書いてない。

なるほど…。フランとイネスが俺の歳を知らなかったのはこの理由か…。

「今年の生徒で王族の…。」

学園長が注意事項を話しているので横耳で主人公を探す。

普通魔法科の転入生組みだ。

ビゴー出身のハズだ。

まあ、違って居ても、その周りの出に成っているだろう。

居ないな。

残った生徒は除外だ。

殆ど、マーモットと基本クラスからの持ち上がりで転入生は少ない。

どうやら転入生は王都の魔法使いの師弟の様子だ、地方出身者は無い。

ハイソクラス…。居ないな。

あ。ジェーンの名がある。

来たのかジェーン・デービス。

流石ゲームの強制力。

まあ良い、後だ、後。

ページを捲る。

主人公。主人公。主人公でろ。

基本クラスの全員に目を通すがソレらしい名は無い。

おかしいな。

主人公の名前を入力したのか?プレーヤー?

しかし。”おっは゜しヽ”や”ああああ”と言う名の者は見当たらない。

まさかアイツ。

一番初めの、”盗賊の剣”を落すイベントボス。

片目のハゲに負けたんじゃないよな?

「…なので、充分に気を付けてほしい。おや、ハイデッカー教授。どうかされましたか?」

そうだな、学園長に聞こう。

「いえ、普通クラスの転入者はいないのですか?」

「ああ、今期は基本クラスの進学者が多かったので一般募集を掛けなかったのだよ。ここ数年。いや、学園始まって以来の出来事、偉業ですぞ。ハイデッカー教授、今期も期待しておりますぞ。」

思わずコメカミを揉む。

頭痛が痛い。

「そうでしたか…。」

なるほど…。ビゴー出身者も少ない。

コレはアレだ。

俺がゲームで退学になるマーモット達を全員進学させた為に。

主人公が学園に転入することが出来なくなったのだ。


俺は主人公の入学を妨害してしまった。


俺は…。一人で帝国の大軍と戦わなければ成らなくなった。


くそっ、なんてゲームだ。

(´・ω・`)なお、ゲームでの”盗賊:片目のハゲ”は”赤銅のモンテ”です。

(#◎皿◎´)なんだと…。

(´・ω・`)金貸しの借金で首の回らなくなったモンテは金貸しをコロして金を奪って薬を買い、娘に与えて。逃げます。そして、盗賊団に参加します。

(#◎皿◎´)マジか…。

(´・ω・`)金貸しが針で反撃したので片目になります。

(#◎皿◎´)あの、赤道のハゲの指を刺して確認してた針?

(´・ω・`)そうです、モンテと金貸しは元は冒険者仲間でした。モンテはイマイチ悪人に成りきれなかったのでエンリケの馬車を襲うのを躊躇い。主人公との合流を許します。

(#◎皿◎´)え?俺、初めっから主人公妨害してた…。エンリケが死んだ理由も俺のせい?

(´・ω・`)全部、お前(オットー)のせいです。

(#◎皿◎´)なんでだ…。

(´・ω・`)まあ、オットーが助けなかったら、心臓の悪い娘は助からなかったんだけどね。

(#◎皿◎´)…。


(´・ω・`)では、”オットーフォンハイデッカーはゲーム脳”学園編の本編はコレで終了です。次回からは”番外地:帝国編”を最後まで御送りします。

(#◎皿◎´)おい!教授の俺は?

(´・ω・`)それは最終教授オットー編で会いましょう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] そもそも(ゲームでの)主人公は存在していないと勝手に思い込んでいたのですが、存在しているのですか? 存在しているのなら今どこで何をしているのか気になりますが、まあそのうち出てくるでしょ…
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