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365.使徒

さて、何時もの様に学校をサボリ、町をうろつき。

図書室でレポートを書き、夕食を食べ寮の部屋に帰って来た。

最近夜は、ミソッカス共に贈る剣にエンチャントを行なっている。

10本有るが内容は決っているので根気の作業だ。

色々詰め込んだが卒業までに渡せば良いだろう。


先日の知らせではマーモット達は全員の進級が決ったと聞いた。

次の半ドンはエールで祝杯だな。



最近有ったイベントはエンリケの馬車が返却されたコトであろうか?

軍が接収した盗賊の持ち物の中にビゴーニュの馬車が有ったのだ。

金を払って取り戻した、娘とイレーネは涙で受け入れたのだ。

エンリケ、すまんな。後は俺に任せろ。

お前の物は俺が使ってやる。(未亡人も。)


その後の軍への納品は進んでいる。

エンリケの店経由で幾つか納品を行い、良い反応もイマイチな反応も貰っている。

”無限水差し”と”簡易型魔法収納バック(背嚢)”は纏まった数の契約を貰った。

”魔法攻撃のお札”シリーズは値段が高い設定だったので数の注文は来なかった。

何故か簡易治療のお札付き、ファーストエイドキットは飛ぶ様に売れている。

あの世界の救急箱を参考にして、肩掛けカバンにはさみとメス、ピンセットに針と糸。消毒液&包帯と三角巾(止血帯)、薬品の胃腸薬、傷薬、毒消しの粉、等の各小瓶を一つに纏めた箱型の防水布製だ。

50個作った。


元々は冒険者向けに店頭に置いたのだが、高かったので売れたのは二三個だった。

文字の読めない素人の冒険者でも解かる様にイラスト入りの取説が箱に印刷してある。

手当ての後は、治癒のお札で戦力復帰できる。

手間が掛かっているので高い。

値段だけの価値は在るはずだった。

余りに売れないので娘に軍に納品する時にサンプルで持っていった。

その後、購入を打診されて、在庫は全て売れたので安堵していたが。

来年度予算で軍の衛生兵標準装備に指定され。

来年末までに救急箱、100個の発注と消耗品の追加発注書が来た。

嬉しいが困った。

実は手間が掛かりすぎる商品なのだ。

50個作った時も近所の奥様方をお針子として雇ったのだ。

紋章印刷と薬品はマイト先輩の工房だ。

カトラリーは金物屋経由で発注して手に入れた。

つまり…。俺が儲からない。


誰も損して無いが…。


目標は寝ていても銭が入る。

そうしないとウキウキ領地開拓計画。

ポロリも有るよ(性的名意味で)が出来ない。


仕方が無い。

工数を減らす工夫をして…。


ミシンでも作るか…。


背伸びをして今日の仕事を終える。

今日、図書室で完成した”日の出と日没時間、年間変化の考察”と”魔法一般理論:魔法特性の持つ者の分類”レポートを明日にでも提出しよう。

地軸の傾きと歳差の大まかな計算式だ。

きっと計測の役に立つ。

もう一つはマーモット達の成長の奇跡だ。

明日の朝は学校に行こう。


ドアのノックで現実に戻る。

「だれだ?」

「ベスタです。ただいま戻りました。」

「そうか。」

眉間を揉む。

やはり手元が暗いと目に疲れが出る。

今日は早く寝よう。

メイドさんズが入室する…。ソレに続く司書たん。

「こんばんわ~♪」

「こんばんわ、エレノア。」

「はい。オットー君。」

顔の赤いメイド姿のエレノアたん。

姿が消える魔法の使えないエレノアたんは変装の為に用意してもらったメイド服だ。

主に実用の為、だ。仕方が無い。

ばいんばいんのエレノアたん専用メイド服。

俺の強く希望した結果だ。

趣味では無い。だが、ばいんばいん。

繰り返す!趣味では無い。実用的で仕方が無くて…。

ふう、イネスとフランの分も必要だ。


まあいいだろう、今日の終わりはギシアンだ!!


ギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシウッアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンぬふっギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシギシギシギシギシ。





朝になり、ばいんばいんのエレノアたんをタオルで拭く。

微妙な顔でシーツを片付けるメイドさんズ。

フラン先生は悪阻が始まってしまい、しばらく襲撃を受けるコトが無い。

俺に何もやましいコトは無い!


メイドコスのエレノアたんを見送り軽い腰つきで朝食を食べ。

ミソッカス共をボコって、制服姿でマルカと共に学校に向かう。

「マルカ。今日は学校に行く、教授との問答が在るので昼食は友人と食べてくれ。」

銀貨一枚をポケットから出す。

マルカは拒絶するが強引にポケットに捻じ込む。

主人の言うことを聞け奴隷め!!

これで美味い物を食べるのだ!

「はい」

渋々受け取る奴隷。

フハハハ、ゲームっぽい悪役だ。

「「「おはよう御座います。」」」

おう、校舎の前で鉢がね&腕輪少女隊の朝の挨拶だ。

「おはよう諸君。」

「あの…。」

「なんだ?29番」

「オットー様!あの経典はすばらしい物ですね!」

「は?」

目をキラッキラッした29番の緑のお下げ。

手には邪教の経文が書かれた板を大事に抱えている。

「それ。邪教の…。」

「すばらしい教えです!!私は生まれた意味を理解しました。」

「いや、それおかしいぞ?」

「私は何時かは冥府の王に使える者に成りたいです!」

「まてまて、そうだな。」

思わず顎に手を沿え考える。

え?宗教にのめり込んだ人はどうすれば良いのだろうか?翔ちゃんの知識でも無かったハズだ。

「あの…。この経典は私の自由にして宜しいのですか?」

勿論俺は貴族だ、二言は無い。

「まあな、燃やしたほうが良いぞ?」

「そんな!ソレを捨てるなんてとんでもない!!」

板を胸に強く抱く二枚板の29番。

完全に目にハイライトが無い、活発な方向に、だ。

「うーん、ご家族とよく話しをたほうが良いと思うぞ?」

「はい、特に…、言われませんでした。私は薬師に成る訳ではないので。アシス様の教会でなくても問題ありません。」

問題ありまくりです。

「そ、そうか…。」

「あの、オットー様。それでは行って来ます。」

「ああ、マルカ。気をつけてな。」

挨拶で鉢がね腕輪少女隊達と合流するマルカ。

少女達の後姿を見送る。


まあ、良いか。




久し振りに教室に入る。

入った瞬間に静かになる教室。

くっ、いじめか?虐めなのか?

ロビンの隣りに腰を下ろす。

周囲を見渡すと。上の方にミソッカス共が手を振っている。

すまんな、今日の昼はたぶん一緒できない。

視線で送るが首を傾げるアレックス。

相変わらず使えない子だ。

ワリス教授が入室して、授業が始まる。


内容は良くわからんが神の奇跡らしい。

俺には必要の無い情報だ。

特に覚える必要も無いので、レポートの読み直しを行なう。

授業中の内職だ。


長い授業が終わる、時間が余ったのだろう。

「何か質問が有れば挙手すること。…。無いのか?」

ワリス教授に問う熱意の在る生徒は居ない様子だ。

やる気ねえな!

コイツ等。

俺は挙手する。

「では、早いがコレで終わりにしよう。なんだ?生徒オットー」

「授業とは関係ないのですが、レポートが完成したので提出したいのです。」

「そうか。生徒オットーはこの後、教員室に来る事。」

「はい。」

マルコに”すまん”とジェスチャーして頷くマルコ。

フェルッポが残念そうだ。

教室を出たワリス教授を追いかける。

教授に追いつくと、振り向きもせず訪ねる教授。

「生徒オットー、何のレポートだ?」

「題名は、”日の出と日没時間、年間変化の考察”、”魔法一般理論:魔法特性の持つ者の分類”の二つです。」

立ち止まり振り向く教授。

「年間の変化量が出たのか?」

「いえ、時計守の業務日誌を遡り大まかな運行を割り出しました。かなりいい加減な数値です。」

「そうか…。」

歩き出す教授。

「まあ、観測塔が稼動した時の目安です。お陰でかなり長い年月の観測が必要に成ることが解りました。それこそ数世代に亘る観測です。」

歳差が数年と端数なので、一周回るのにかなりの年数があるからな。

「うむ、解った、覚悟しておこう。」

教員室の前に着き、ドアーを空ける教授。

続いて入室する。

教授コートを掛け。椅子に座る教授。

レポートを二部、差し出す。

薄いレポートが地軸に係るレポートだ。

対してマーモットのレポートは厚い。

真っ先に薄いほうに目を通す教授。

グラフ付きの絵での解説もある。

図書室で調べた歴史年表も付いている。

読み終えると無言で机に肘を付き、額を手で押さえるワリス教授。

「…。」

頭痛が痛い様子だ。

無言の教授に語り掛ける。

「どうやら今までの記録的な冬や冷夏は惑星の地軸のズレと歳差に拠る物が大きいようですね。」

「そうか…。そうだったのか。」

「はい。数年単位で寒い冬が来ますが。数十年単位で記録的な冬が何年も続きます。教授、これから寒くなり始めますね。」

「コレは決定なのか?」

教授は二つのサイン波の合成グラフのページを示す。

南中から割り出した地軸の傾き角度の変化量を表すグラフだ、横軸は年月だが。

「いえ、気温と天候はもっと細かな影響を受けるので確定ではないです。ですが、大まかにはこの通りだと思います。」

「…。」

「歴史が証明しています。時計守の日誌には”初めて氷が張った”とか”初雪が降った”とか。”花が咲いた”とか書いてあります当時の気温を知るには意外と重要なコトです。」

「嘗ての長い冬が起きるのか?」

苦悩のワリス教授。

「起きる時期は予想できますね。おおむねの数字ですが。」

「解った、生徒オットー。レポートを受領しよう。学園長に見せよう。」

「はい、ありがとうございます。」


大人しく退出する。

ドアを閉めて廊下でガッツポーズを取る。

やったね!!翔ちゃん!レポートが提出できたよ!

授業に出ろとも言われなかった!!(ここ重要)


スキップしながら食堂へ向かった。

商品開発番号 ホの9番:魔法の救急箱


防水布製の肩掛けカバン型。

冷却と乾燥、滅菌(オゾン発生)の紋章が入っている。

内容物は。


各小瓶に。

消毒液アルコール

化膿止め粉末薬(傷薬)

胃薬(熊の胆嚢粉)

毒消しの粉(水に溶いて飲む)


道具類。

はさみ

メス型小刀(2個)

ピンセット(2個)

針と糸(数個)

包帯(4個)

三角巾(止血帯にもなる)

治癒のお札(4枚)


軍に採用されてからはソコソコにはチームの冒険者に売れた。

消耗品補充用にばら売り品も店頭に置いたが。

縫合針のJ型の針は釣り針として使う者が多く在庫が直に無くなり追加で製造した。(軍民共通で直に損耗したらしい。F作業)

何故かピンセットだけ買い求める人も多かった。(刺抜きとして一家に一個普及した。)





商品開発番号 ヘの18番:簡易型魔法収納バック(背嚢)


あの世界の99式背嚢の様な形。

防水布製で二重防水布の内部に紋章が印刷してある。


元はモーガンのカバンを解析、改良したもの。

魔石付きで魔力の使えない者でも使用できるが。

取り出す時は止め金具(魔石付き)に触れ「○○出よ」と唱えると背嚢が膨らみ取り出し出来る。

収納時は背嚢に入れてフタをして止め金具に触れ「○○収納せよ。」と言うと収納される。

そのため、収納物の大きさが決ってしまい、12L程度の容積の物を最大10個までしか収納できない。

入れた物の名前を記憶していないと出てこないが、背嚢の口を開き逆さにして「全て出よ」と言うと内容物が全てイジェクトされる。


初めは使い辛いと不評だったが。

兵隊達は小物を品目に分け巾着袋に番号を書いて番号で取り出す様に工夫し、その後。兵たちの巾着番号は全て共通になった。

例「休憩、3番だせ!」1番下着、2番は食料、3番補助食おやつ

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