364.日記
(´・ω・`)この話の”○○年…。”の数字は変更するかもしれません。
(#◎皿◎´)なんでだ…。
(´・ω・`)(エクセルで傾斜角度グラフを作ったが…。イマイチしっくりしません。パラメータを変更するかも…。)
(#◎皿◎´)この惑星の住民は…。凄い過酷な世界だな。
(´・ω・;)…。(それも含めてちょっとやりすぎた…。)
さて、年も明けたが朝が寒い日が続く。
剣の納品は年末ギリギリにしてやった。
金貨2000枚ゲットだぜ!!
驚いたコトに親父か現金で払いやがった。
アイツ金持ってんな…。
武器屋はソンナに儲かるのか…。
まさか脱税してないよな…。
時計塔の窓から空を見上げる、薄曇で冷たい風が頬を撫でる。
恒星の輪郭は辛うじて解かる、天気が崩れるかも知れないが、雪は未だだ。
子供の頃の記憶ではもっと寒かったハズだ。
いや、主観なので気のせいかも知れない。
学園では観測塔を建てることが決ったが。
未だ塔の建設は始まったばかりなので、観測装置の試作品を時計塔の中に納めた。
動作は問題ない。
コレで大まかな観測を先行して行い。
数値の目星を付ける。
標準カウンター装置はもう既に完成している。
心臓部は俺の作った、15ビット32.768kHzクロックパルス発生装置だ。
ムーブメントは針ではなく歯車式の数字が並んだ10桁カウンター表示で三つ並んでいる。
中心の桁がカウンターで上と下はスプリットタイムカウンターだ。
上下それぞれのレバーを操作するとカウントが一時停止する。
中心は止まらない。
スプリット目盛、各桁は手動でセット。
各桁数字が追い抜かされるとカウンターが動き出す仕様だ。
三時間以下のカウントは出来ない。
下一桁は目盛1/8sec表示だが余り性能保障はされていない。
まあソコまで要らんだろうと言う考えだ。
但し、総合的なカウント数での精度は高い。
時計塔は石で出来ているため、一番奥の温度変化の少ない所に設置した。
温度保障回路は入れた、理論上は年間±30秒誤差だ。
軌道計算が出来たら細かい所は理論値で。
コレ、あの世界の常識。
完成して試運転が終わり観測開始の日だ。
「ほうほう、出来ましたね。」
白い髭を得意そうに撫でる魔法使い。
何故か学園長が来ている。
「いや、コレから毎日の観測が重要なんですが…。」
「生徒オットー、任せろ。その為の人員は確保した。」
教授が後ろの29番の緑のお下げを示した。
「あの…。購買で助手の依頼を受けたのですが…。」
困惑気味の鉢巻少女、両手に俺の作った真鍮のブレスレットを装備している。魔力発生装置だ。
他にオッサンと少年が居る。
「はあ、何時もやるコトに何か増えるダケだから人手は足りてるんですがね。」
帽子を取り頭を下げる男。
中年の小男で帽子と油で汚れたエプロンをしている。
後ろの少年は未だ幼い。
時計塔の時計守の男で親子らしい。
「大丈夫だ、私も観測する。生徒にもやらせる。結果を早く知りたいのだ。」
ワリス教授がヤル気だ、困惑の表情の時計守。
「はあ、では、お願いします。」
イマイチこの実験の重要度を理解していない時計守。
時計守殿には操作説明の後、熟れて貰うため数日間の時計精度の数値を出してもらった。
時計塔のムーブメントとの誤差が出た。
この世界の一時間はあの世界の67分14秒だ。
正午から次の日の正午までが26時間と53分36秒だった。
意外と大きいな。
「コレは時間の進行を決める重要な計測になる。実験棟の完成の暁にはコノ時計塔が標準時間に成るだろう。」
その前に一日の正確な時間を測定しなければ…。
「うむうむ。」
満面の笑みの学園長。
時計守の男が呆れている。
「ソレで、以前話していた、親父や爺さん達の業務日誌を持ってきました。」
古い紙の束だ。
「おう、コレはすまんな。時計守殿。必ず返す。」
恭しく受け取る。
下は帳面から、上に重なった物は紙が新しくファイルになっている。
時計塔が出来て140年。
機械式時計に変わってから80年、何度か改修していると言う話だ。
今はロープ式の錘時計だ。
それ以前は砂時計の様なモノと大きな日時計の混合だったらしい。
どうやったのかは不明だ。
簡単な絵しか無い。
代々の時計守の業務日誌だ。
百数十年前から先月までの大事な資料だ。
「こんなの役に立つんですかい?」
疑わしげな時計守。
「ああ、すばらしい資料だ。」
精度が悪いが膨大な定点観測資料だ。
大まかな数字は出る。指標値だ。
精度差はコレから埋めれば良いダケだ。
人類の宝に近い。
答えた俺に胡散臭げな目を向ける時計守殿。
「四分義は入らなかったが、良かったのか?」
訪ねるワリス教授。
「はい、問題無いと思います。ソレは観測塔が完成してから…。星と同じ観測器の方が都合の良いので。」
コノ時計塔には専用観測小窓が開いている。
昔の日時計を改良して、そのまま使って居るらしい。
恒星が地を離れた瞬間と、最も高い位置に来た時、恒星が地に着く瞬間で時計を補正していた様子だ。
窓や床には代々の時計守の落書きが振ってある。
喜び勇んで落書きを写し取ったが。
その時から時計守殿の俺を見る目は胡散臭げに成った。
地点データとしてはかなり高精度だ。
データは膨大だ、擦り合せを行なえばコレだけで大まかな恒星の運行表が出来るだろう。
「今日の日の出に合わせてカウンターを操作しました。もうすぐ正午です。」
「うむ、ではアルバ殿、何時もの様にお願いしますぞ?」
「はい。では掛ります。」
機械時計の椅子に座る時計守。
少年がカウンターに進むが教授が制止する。
「すまない、俺にやらせてくれ。生徒キーファ初仕事だ準備しろ。」
ワリス教授は偉い人なので素直に命令に従う少年。
29番が用紙を持ってオタオタしている。
「は、はい!!」
下敷きが無いと書き難いだろう…。
収納から適当な木の板を出す。
「おい、29番コレを使え、大した物ではないので返却は不要だ。」
「あ、はい。ありがとうございます。オットー様」
邪神の経典が書かれた板だ
大したコトは書いていない、持って居ると祝われそうなので燃やしたほうが良さそうだが。
特に使い道も無いだろう、下敷きに丁度良い。
準備が整う。
時計守が椅子の上から床に写る窓から差し込んだ日を見ている。
床に書かれた目盛の落書きに合うまで待っている様子だ。
ワリス教授がでかいストップウォッチのレバーを握っている。
「もうすぐ…。もうすぐ…。はい!今!」
時計守と教授が同時にそれぞれのレバーを操作した。
止まったラップタイムを読上げるワリス教授。
29番が用紙に書き、書いた内容を読上げ確認する。
「今日は3ノッチ進めると。おい!弟子。鐘を鳴らせ!」
時計の針を進める時計守殿。
「あいよ!!」
弟子がロープの結び目に飛び乗り鐘が鳴る。
ワリス教授が何度も見比べた後にカウンターを手動で進ませ、レバーを戻す。
カウントアップが始まる。
メインカウンターが追い越せば正確なカウント数になるハズだ。
時計守がワリス教授から貰ったメモを見ながら日報に書き込んでいる。
「よし!後は日没に掛ります。おい、昼食が済んだら油を指すぞ?用意しておけ。」
「はい、父ちゃん。」
「仕事中は親方と呼べ!」
「はい。親方。」
不貞腐れる少年。
日の出まえから日没までの仕事らしい。
簡単な修繕や部品は自前で作ると言う話だ。
時計塔で解散して、昼食を取る為に食堂に向かう。
ミソッカス共とサンピンロリロリくっころで何時もの学食だ。
食事が終わると図書室にしけ込む。
司書たんとイチャイチャ…。
は昨日したので。
写本室を借りて時計台業務日誌を読む。
時計台業務日誌は時計守の日記に近い。
朝、曇りなので測定不能。
昼、雨が降ったので測定不能。
夜、何とか夕日が見えたので6ノッチ遅らせる。
先々代は随分と几帳面な奴だったらしく、詳しく書いてある。
○月×日
朝昼夜、曇り、測定不能。
スティーブとエリスでカードゲームをやった。
エリスの奴やたらとツイてやがった。
いかさまにちがいない。
○月△日
朝、3ノッチ遅らせる。
昼、1ノッチ進ませる。
夜、曇り測定不能。
今朝の日の出まえ、氷が張った。随分と冷えた。
やたらと着込んだが底冷えする日だ。
○月▲日
朝、4ノッチ遅らせる。
昼、変更無し。
夜、雪のため測定不能。
今日も随分と冷えた。
薄曇で昼から雲が厚くなり遂に雪が振ってきた。
かなり今年は冬が早い。
○月▽日
朝昼夜、雪、測定不能。
朝から雪だ、エリスの奴が風邪をひきやがった。
麦が高い。
酷く寒い。
○月▼日
朝、薄曇、6ノッチ遅らせる。
昼夜、雪、測定不能。
寒い。雪が止まない。
市場ではパンが無くなったらしい。
これから毎日粥だ。
○月∵日
朝昼夜、雪、測定不能。
スティーブの奴が山羊を潰した。
肉を貰った。最近は粥ばかりだ、これでエリスの奴が元気になるだろう。
雪が止まない。
○月○△日
朝昼夜、雪、測定不能。
雪が止まない。
かゆ…。うま。
かなり厳しい冬の記録もある。
日付が間違っている可能性も在るが…。
取りあえずグラフ化してみる。
一年間を横軸に日、ノッチの積算量でサイン波が出来るはずだ…。
結果はかなり歪なサイン波に成った。
「おかしいな…。閾値が…。」
まあ、良いだろう。
どうせ、機械時計誤差だ。
機械時計の誤差を引けば平坦なサイン波に成るだろう。
日誌を捲り手が止まる。
×月△日
朝、変化無し
昼、測定不能
夜、変化無し
酷く暑い。
今日も昼は日が差すが測定位置に来ない。(この日から日が低くなり始める)
括弧内は後から追記したものらしい。
別の年の×月△日を調べる。
測定に成功している年も在る。
いや、7年周期で夏は測定不能日が出ている。
勿論、日数は違う様子だ。
時計守にドン引きされた目盛の落書き写しを出す。
南向きの窓の高さを適当に測った数値が在るはずだ。
あと、落書きまでの距離。
”○月◎日最高記録!!”の古い落書きも有った。
一番窓から遠く日が差し込んだ記録だ。
冬の○月◎日を探す。
「あった。」
○月◎日
朝、4ノッチ遅らせる。
昼、3ノッチ遅らせる。最高記録!!
夜、6ノッチ遅らせる。
快晴、雲が少ない。寒い。
昼の日の光が最高記録だ、爺さんの記録を越えた!!
随分と古い。69年前だ。
たしか。南征が行なわれていた頃のハズだ。
その年の初めて雪の振った日と、夏の記録。
夏の測定不能日が一番長い日との冬の記録を見比べる。
境日の記録も出す。
かなり日付に偏りがある。
記録日を…。三角関数で太陽高度を出す。
地軸が24度を越える…。
バカな。昔計ったら18度前後のハズだった。
勿論いい加減な数字だ。
「今年の…。○月◎日は…。」
弟子が”去年の最高はココです”と示していた。
計算する。
「19度だと…。」
いくらなんでもソンナにハイデッカー領で測定した数値と違うとは思えん。
境日と偏差を100年分グラフにする。
かなり分散するが大まかなサイン波が…。
翔ちゃんがよく見たグラフが出来た…。
まるで高調波の乗った様な崩れたサイン波だ…。
「クソッ!フーリエ変換を手動でやれってか!!」
思わず頭を抱える。(落ちる戦友。)
この不正確な曲線で計算するのは…。
元々誤差が有る、時間の無駄だ。
「まさかこの惑星は楕円軌道なのか?惑星の公転周期と軌道長半径が判れば…。」
口に出したが否定する。
地軸角度に影響は出ないハズだ。
翔ちゃん知識では…。
この見慣れた崩れたサイン波は…。
「自転軸が…。スピンしている?」
あの世界の4万年とかそんなレベルではなく。
数年から数十年の範囲で地軸が歳差運動を行なっている?
酷く寒い冬と長い冬。
暑い夏と…。寒い夏。
100年を越える日記が示している。
ダァーをノックする音で思考が中断される。
「あの…。オットー様。終業の時間です。」
「ふぁっ!ああ、すみません。片付けます。」
「はい、戸締りをしていますので。終わったら受付にきてくださいね。」
うむ、鈴の鳴る様な司書たんの声。
写本室を片付け。
司書たんに挨拶をすると寮に向かう。
寮の、寮管理塔の入り口に見慣れないロバの引く簡易馬車が有った。
何かの職人か?
馬車に座る男は、背の低い痩せた白髪の男。
拵え屋のダルガンだ。
「おう、拵え屋殿。」
「ああ、冒険者殿。ご注文の品をお持ちしました。ご検品下さい。」
馬車を降りて頭を下げるダルガン。
ミソッカス用の武器が出来たらしい。
「すまないな、ダルガン。早速見せてもらおう。」
「はい、どうぞ。」
馬車に積まれた木箱を示す拵え屋。
10個の木箱の中には剣が入っている。
よい出来だ。
王国軍仕様の黒い造り5本と、選べる5色で金ぴかだ。
1本を手に取り確かめる。
刀身は俺が作ったステンレス鋼だ。
剣を抜き振る。
バランスも良い、ガタツキも無い。悪く無い。
「よし、良いだろう。良い出来だ。」
「ああ、よかった。久し振りの大仕事だ。肩の荷が降りた。」
安堵する拵え屋。
木箱を担ぐ。
「すまんな、又何か頼むかもしれん。」
「ああ、任せてくれ。では、又。」
「ありがとう。」
手を振り、ロバが進む。
そういえばコイツを魔法剣に加工する心算だったな。
紋章は既に出来ている。
彫り込むダケだ。
しかし。レポートの続きがしたい。
馬車が消えると肩に担いだ木箱を収納する。
「さて…。」
正直。調べ物が出来た。
そのまま寮管理塔の受付に向かう。
「これは、オットー・フォン・ハイデッカー様、先ほど納品為に職人の方がお見えでしたが?」
カリアゲメガネの鬼畜メガネだ。
目の奥が光る。
贈った指輪も光っている。
「ああ、ソコで受け取った。実は今日は自室で夕食を取りたい。俺の配下の者に手配してくれ。ムリなら食堂でよい。」
恭しく頭を垂れる鬼畜。
「はい、大丈夫です。お食事はご用意できます、お時間に成ったら従者の方にお渡しします。」
「ああ、ありがとう。Mr.R」
「はい、オットー・フォン・ハイデッカー様…、あの…。我が主人との件なのですが。」
言い辛そうな執事。
デービス家との縁組は破談だからな。
「まあ、仕方が無い、人の縁とはそういうモノだ。」
「いえ、そう…。はい、ごゆっくり。オットー・フォン・ハイデッカー様。」
何か引っかかる言い方だ。
まあ、良いだろう。
モミアゲロールパンは最近大人しい。
苦々しい顔だがロリにもくっコロにも嫌がらせはしていない。
Mr.Rも目を光らせている(物理)
公爵令嬢的な嫌がらせも出来ないハズだ。
自室に戻ると書類を広げる。
100年グラフを眺めて考える。
恐らく二つの周波数の合成波形だ。
途中に…。境日が反転する日がないので。
過変調では無い。
変調率は1以下だ。
「式を当てはめる…。いや、数値が正確では無い。力技で行こう。」
表を作り直す。
変化量だけを抜き出したグラフだ。
夏は頭が切れているが、切れている日数は判るので予想値は出る。
幾つか補助線を引いて見えてきた。
恐らく、この惑星は傾斜19度程度でスピン幅は±3度乃至4度強。
6年~7年の中途半端なサイクルですりこ木運動をしている…。
毎年、夏至と冬至が変わるのだ…。
下手をすると変化量が少なく長い年も在るだろう。
「そりゃ皆気にしないか…。時計守意外は。農業なら日の出る間が重要だ、特に作付けする暖かくなる時期を決めるのにはな。」
偏差の大きな年、特に冬至に当たる年は冬が厳しく、その前後は長い冬になる。
王国の外征の時期と当たる。
暖かい土地と食料を求めて南進したのだ。
「帝国とは逆だな…」
頭を掻き戦友が机に落ちる、ドアーをノックする音で思考を中断する。
「誰だ。」
「オットー様、お食事をお持ちしました。」
「ああ、そうか。そんな時間か。用意しよう。」
メイド姿のロリとくっコロがワゴンを押して部屋に入って来た。
テーブルの準備に掛るメイドさんず。
資料を片付ける。
テーブルに広がる豪華な食事。
準備が終わりメイドさんずが椅子に座る。
「では、豊穣の女神に感謝を。」
なるほど…。
豊穣の女神は乗り気でない年が周期的に来るのだ。
恐らくコレから後、数年間は寒くなるだろう。
王国に飢えが広がる。
誰かに警告しなければ。
取りあえず新しいレポートを書こう。(絶望)
(´・ω・`)(計算したら…。上手くイカンわ…。)
(#◎皿◎´)マジか?(ドンビキ)。
(´・ω・;)恒星停滞期の方が説得力が有る…。(その内修整します。)




