351.ダンジョンで休日に牛ストロガノフ丼を求めるのは間違っているのだろうか?
(´・ω・`)伊佐治翔太の命日投稿。
(#◎皿◎´)前回までのあらすじ。
(´・ω・`)男同士、六人、穴の中、何も起きないハズはなく…。
坑道を進むと扉があった。
木の扉で古いモノだ。
酔っ払い地図では小部屋らしい。
扉に隙間があり中が覗ける。
中は誰も居ない様子だ。
あのおまわり牛は小部屋を警備していたのであろうか?
「オットー何が居る?」
「いや、フェレッポ。何も居ない様子だが罠が在るかもしれない。歩き回ったり何かを触るな。」(コーホーコーホー)
「何かって?」
「例えば…意味ありげなレバーや突起物。机の引き出し。壁に刺さったナイフとか…。」(コーホーコーホー)
「なんだ?そりゃ?」
いや、コレは日本軍が設置した罠だな。
「ジョン、放棄や撤退する時には敵に使わせない様に工作を行なうだろう?井戸を埋めたり橋を壊したり。」(コーホーコーホー)
「ああ、そうだな。兵法にあったな。」
「ソレの性格が悪い版だ、罠を仕掛けて爆発したり火炎の魔法が発動したり、物が落ちてきたり。矢が飛ぶ様にしたりだ。」(コーホーコーホー)
「オットー何のために?」
「ケガ人が出れば警戒して進攻が遅くなる、罠で敵の数も減らせる。鏃の先にクソを塗ったり、毒を盛ったりと嫌がらせの為だ。」(コーホーコーホー)
「うう、何か嫌だな。」
いや毛な前髪。
カールが苦い顔で答える。
「オットー。ソコまでヤレとは兵法に書いて無かったぞ?」
「なら、秘伝だったのかもしれん。誰にも話すな、忘れてくれ。」(コーホーコーホー)
コンバットブローブンである兵法書は各家で違う場合が在る。
大概は先代の経験や手記を簡単に纏めたものだ。
「オットーの家の秘伝書か…。」
「弟よ止めておけ。どうせ酷いことしか書いてない。」
おい、酷いな。
家で兵法書は読んだが隊列の組み方や、兵達の訓練方、ハンドサインの決め方等が殆どで有った。
無論、親父と兄上しか読むことを許されない本も在るのかも知れない。
但し、代々係った戦争の戦記は自由に読めるので。
翔ちゃんの知識で自分成りに解釈を行なった。
地面に地形を再現して駒の兵を動かし、戦闘を再現しただけだ。
図上演習と言うらしい。
お陰で、損耗率が計算できた。
お互いが向かい合った正面切った戦場では中々損耗が出ない。
ZOCに阻まれ補給切れも、ゾロ目ダイスで誤爆判定も、乾坤一擲マンセー攻撃で運を天に任せるコトも無い。
帝国兵は堅いと言う事だ。
「で。中に入るのかい?」
前髪だ、入りたく無さそうだ。
「まあまて、そうだな。罠が在ると言う前程の行動をお見せしよう、バカな事を行なってる様に見えるが気にするな。」(コーホーコーホー)
先ず、扉にロープを掛けミソッカス共を下がらせ。
ロープを引いて扉を開ける。
「何も起きないね?」
「そうだな、フェルッポ。暫く待つのが正解だ。時間差で動く罠もある、出る時に発動する罠もある。」(コーホーコーホー)
「なに?何のために?」
「出るときは大概の者は気をぬくからな。」(コーホーコーホー)
「性格が悪いな…。」
いや毛なジョンを無視して作業に入る。
「さてと。」
坑道内の石を拾う。
拳よりデカイ。
「発動トリガーは大概、足元、頭上だ。」(コーホーコーホー)
入り口に石を投げる。
転がる石、何も反応しない。
「罠は無しっと。扉に仕掛けが在る場合が在る。解り安い物は良いが大概は何らかの偽装がして在る。土で表面を塗って平らにしたり、そうなると一見では解らない。その為に発動しても良い様に衝立を設置する。扉は閉めないのがコツだ。」(コーホーコーホー)
俺は開かれた扉に立つと牛バットを収納から取り出し扉と桟に挿む。
「コレで落とし扉が発動しても引っかかって完全に閉じる事は無い。」(コーホーコーホー)
「随分とややこしいな。」
「カール、待ち受けるヤツは大概暇だ。凝った仕掛けを作る位な。」(コーホーコーホー)
「そうか…。」
何かを考えるカール。
「さて、入る前もやる事がある。下がってくれ。」(コーホーコーホー)
薄暗い部屋の中は何も無いがいかにもな宝箱が在る。
足元に転がった石を拾い部屋の中に投げ入れ直に壁に身を隠す。
石の転がる音が坑道内部に響いている。
「何をやっているのだ?」
「うむ、中に入ると矢が飛んでくる仕掛けが在る。大概は人の動線上を飛ぶ様に仕掛ける。」(コーホーコーホー)
「つまり入り口に立っていると撃たれるのか?」
「まあ、一番の動線だからな。」(コーホーコーホー)
「おいおい。」
「さて、では中に入ろうと思う。中には何も無いが、いかにもな宝箱が在る。」(コーホーコーホー)
「なに!宝箱だと!」
「カール、落ち着け。恐らく餌だ。喜び勇んで触れると発動するだろう。」(コーホーコーホー)
「性格悪いな。ここの支配者。カールなら引っかかりそうだ。」
「ジョン、本当に性格悪いのは宝箱を開けると扉が閉まったり、初めて罠が発動する様になったりだ。」(コーホーコーホー)
「うーん。それは…、引っかかるかも…。」
悩むフェルッポ、
「俺はそんな物には釣られない。」
おいカール、フラグ建てるな。
「では、どうするか?こうするんだ。」(コーホーコーホー)
ロープを胴に巻き支保工の中で頑丈な物を選び一巻きする。
「もし何か有ったら引き上げてくれ。」(コーホーコーホー)
「解った。」
「任せておけ。」
胸を張る乳タイプ。
「引き上げられるかな?」
なるほどフェルッポ確かに。
俺の自重+鎧だ。
今度は滑車を買っておこう。俺の体重に耐えられるヤツを。
俺は牛バットを新たに取り出し、しゃがんだままバットの届く範囲の床を叩きながらゆっくり進む。
”カンカンカンカンカンカンカンカンコンカンカンコンコンコン”
うむ、この先空洞がある。
恐らく落とし穴だ。
音の変る境を小石で床に傷を付ける。
「どうした?オットー。」
「ジョン、床の下に空洞だ、恐らく落とし穴だ。」(コーホーコーホー)
「なに?そんな仕掛けが在るのか?」
「迂回すれば宝箱にたどり着ける。床の印の先に進むな。」(コーホーコーホー)
「おう。解った。」
大きな穴だ。
宝箱に直行したら真っ逆さまだろう。
さて、問題の宝箱だが…。
俺のマスクの眼鏡で見ると目と鼻と口が付いている。
ミミックだ。
いや、どちらかと言うと悪魔辞典に近いモノがある。
「何か在るのか?オットー。」
「宝箱に何か仕掛けが在るようだ。」(コーホーコーホー)
「なに?」
「開けてみないと解らん。」(コーホーコーホー)
とりあえず下がる。
「諦めるのか?」
残念そうなカール。
「フェルッポ、ソコからソドムを撃ってくれ。」(コーホーコーホー)
「え?僕?」
「頼んだぞフェルッポ、中身を壊さないようにな。」
「カール。む、難しい事、言わないで。よし、じゃあ撃つよ。」
フェルッポの石弾が宝箱に着弾して木端微塵になる。
破片が飛ぶが盾でガードしていたので埃を被っただけで済んだ。
悪魔宝箱は死んだ。
中には鶴嘴と小ハンマーが入っていた。
唯の鉄のピッケルだ。
少々錆びが吹いている、恐らくこの坑道で拾った物だろう。
古い、ゴミだ。
錆を落とせば使える、売るより使った方が良いだろう。
悪魔の破片の中から拾う。
「何が有ったんだ?オットー。」
「カール、古いピッケルとハンマーだ。」(コーホーコーホー)
「なんだ、そんな物か…。」
「まあ、罠の撒き餌だ、こんな物だろう。さてと…。出るか。」(コーホーコーホー)
「おい!オットー何か来るぞ!!」
マルコが囁く。
敵襲だ。
「中に入れ。床の印の先は危険だ。ロープをたどって来い!!」(コーホーコーホー)
宝箱の残骸の前に集まる。
「ココで向かえ討つのか?」
「いや、やり過ごす。」(コーホーコーホー)
たぶん無理だ。
宝箱に目が付いていたのだ。
恐らくこの部屋の監視カメラ役だろう。
「オットー入って来た!!」
ぬるりと狭い入り口から入って来たのは赤毛のミノタウロスだった。
手に鉄製の死刑執行人が持つ様な大斧を持っている。
目が血走り、息が荒い赤ミノ太。
黒毛よりデカイ。
天井に角が着きそうなほど大きさだ。
「クソっ!」
「オットー行くぞ!」
乳タイプ兄弟が剣を抜く。
ソレに続くアレックス。
「マルコとフェルッポは牽制してくれ。俺達で飛び込む!行くぞ!」
「待て!!」(コーホーコーホー)
皆、ずっこける。
「オットー?」
「何でだよ。」
「あ!ミノタウロスが!!」
「ブモォーーーーーーーーー!」
駆け出した赤ミノ太は三歩目で落とし穴を踏み抜き穴に落ちた。
「ヴン゛モ゛モ゛ォーーーーーーーーー!」
「あ、落ちた。」
「意外に底が深いな。」
「でも、天井より低いみたい。」
「痛そうだな。」
「たぶん底は針山だろう。古い手だ。フェルッポ、マルコ止めを。」(コーホーコーホー)
「ああ、解ったオットー。」
「う、うん。いいのかな?」
マルコとフェルッポの石弾が床から生えている赤ミノ太の頭部に命中する。
「ヴン゛モ゛モ゛ォーーーーーーーーー!ブモォーーーー!」
フェルッポの発動サイクルは早い。
マルコが驚いている。
「弟よ、いつの間に。」
「うーん。コレばっかり練習したから。」
「ヴン゛モ゛ォー!」
「この洞窟ではウォーター系は効果が薄いな。」
「そうだな。カール。くそっ、俺は水系しか無詠唱できない。」
悔しがるマルコ。
マルコは水の系統が得意らしい。
いや、土の系統が苦手なんだろう。
「マルコ、石弾を作るのが苦手なら収納に石を入れておけ。飛ばすのだけなら水も土も関係無い。」(コーホーコーホー)
「そうか!」
「えー。」
「いや。オットー。ソレでは単位がもらえないよ?」
「そうだね、卑怯だよ。」
呆れるアレックスとフェルッポ、真面目君か?
「ブモォーーーー!」
ミノ太が大斧を使い穴から這い出そうとしているので。
収納から石を出す。
「いや、俺は収納の石や、鉄を飛ばしているだけだ。魔物は待ってくれないぞ?こうやるんだ。」(コーホーコーホー)
ミノ太の斧を持つ手首に石が刺さる。
肉と骨が飛び散る。
「ヴンモ゛ォーー!ヴンモ゛ォーー!」
底に落ちる赤ミノ太。
「なるほど…。」
マルコが足元の石を拾っている。
「おい、今のわかったか?」
「ああ、解った。」
続く乳タイプ。
「優雅では無いね。」
石拾いの貴族達を見て呆れるアレックス。
「アレックス。投げナイフの練習だと思えばよい。思ったところに当たるにはかなりの修練が必要だ。こんな石でもな。」(コーホーコーホー)
次の石を収納から出し持て余す。
「そうだね、投げナイフはカッコイイね。」
何故か石拾いに参加するアレックス。
「えー、みんなずるいよ。」
「弟よ、コレは授業では無いのだぞ?」
「そうだけど…。」
「ブモォーーーー!」
マルコの石がミノ太の手に当たる。
大斧を落としたため両手で頭を守ることしか出来ない状態だ。
終わりに近い。
しかし時間が問題だ。
「うむ、威力を高める為には速さを出すのが良い。」(ゴーホーゴーホー)
王国の魔法は基本まっすぐしかない、カーブやスライダーの球種が欲しい。
ライズボールは…。難しいか?
仕方がないので王国魔法でも使える変化球を見せる。
と言っても2mほど横まで石を浮かせて加速する。
ミノ太のガードをすり抜け石が頭に突き刺さる。
「ヴンモ゛ォーー!ヴンモ゛ォーー!」
「オットー!今どうやったの?」
「簡単だ。手先で展開した魔法を視線の先で行なうのだ。」(ゴーホーゴーホー)
「なるほどそうやるのか…。」
「くっ、難しいな。」
皆、練習モードになり攻撃サイクルが下がる。
的になっているミノ太には気の毒だが。
赤いのに避けられないヤツが悪い。
時間が掛ったが赤いミノタウロスを倒し収納した。
赤ベコ一丁上がり!(あと、鉄の大斧)
「さあ、先に進もう。」(ゴーホーゴーホー)
「オットー、何か垂れて居るぞ?」
「何がだ?」(ゴーボッーゴーホー)
「いや口?から。」
何だと?
手でマスクに触れる。
あ、全熱交換器が結露しやがった。
結露水の処理、排水管のコトを考えてなかったorz。
「大丈夫だ、唯の。水だ。ゴボッ、ゴボッ」
「おい、ヤメロ!オットー近づくな。」
「ゴボッ、ゴボッ(カール大丈夫だ水だ。)」
「喋るなオットー!涎が飛んで来たぞ!」
その後、多くのミノ太を狩り、ダンジョン内で一泊して殺戮大部屋以外の一階を制圧した。
結界魔法を設置して悪魔ダンジョンを削ったのだ。
まるで陣取り合戦だ。侵略以下蒸す面だ。
蒸す面の改良が必要だ、改造しなければ。
学園に戻ったらその日の昼過ぎだった。
おう、時差が凄いな。
これで皆、何とか単独でノーマルミノ太を制する程度には成った。
フェルッポがイマイチ怪しいが…。
まあ、近々素手でミノ太を征するコトが出来るだろう。
出来なければ改造だ。
(#◎皿◎´)牛祭り。
(´・ω・`)…。(大して話が進まなかった。)




