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350.ダンジョンで休日に牛筋煮丼(醤油味)を求めるのは間違っているのだろうか?

さて、妻達を送り出して朝食を食べた。

何時と変わらぬ、休日の風景だ。

今日は朝からミソッカス共とダンジョンを攻める。

時間が空いたらなめし屋に行こう。

いや、先に邪教の教会か…。

部屋の掃除が終わり。

ブランは渋々、店に帰った。

マルカには休暇を申し付けたが。

夕飯に向けてエールの試作を行なうらしい。

なるほど、今日はカレー曜日だ。

早く仕事を切り上げよう。

鎧を着て中庭に向かう。

マスクは付けていない。

廊下を進むと寮生が道を空ける。

中庭ではミソッカス共が柔軟体操をしていた。

「オットー、おはよう。見てくれコレが僕の鎧だ。」

鎖帷子チェーンメイルの頭巾にきらびやかなスケイルアーマーだ。

頭巾から前髪(本体)だけ飛びだしている。

器用なヤツだ。

「おお、立派なモノだ。」

「流石、公爵、金が在ると違うな。」

「そうだな。」

戦訓と頑丈さに裏打ちされた鎧姿の乳タイプ兄弟の感想だ。

「同じ公爵でもな…。」

何故かマルコが苦い顔だ。

「オットーの鎧カッコイイね。」

「おう、そうだろ。フェルッポ。この日の為に三日で作った俺の鎧だ。」

左手の小盾付きガントレットを握って見せる。

インパクト時にはナックルが出る機構(ギミック)が在る魔法のガントレットだ。(魔法は使われていない)

小盾の裏にはホルダーが付いており、先が尖ってピッケルにも使える小ヴァールの様なモノと唯のステン鋼の棒がある。

将来的には電磁警棒の様なエンチャントを行ないたい。

後は、腿のにリボルバーカノンのホルダーが有れば最高だが。

技術的な問題が多い。

「三日…。」

アレックスが驚く。

しかし、乳タイプ兄弟は苦い顔だ。

「オットー首周りがガラ空きだぞ?」

「急所が丸見えだ。」

「いや、未だ出来て無いが下に革の頭巾か、チェーンメイルを着る予定だ。」

「そうか。ソレなら良いだろう。」

レイピア中心の王国剣術では、俺の鎧は重要な部分を隠していない様に見えるのであろう。

しかし、稼動部分を装甲化すれば出来るのは動きの遅いブリキ野朗だ、翔ちゃんの時代の鎧は遠距離攻撃に対抗するため正面装甲と動きやすさに重点を置いている。

「うーん、僕の鎧が一番みすぼらしい。」

「弟よ、金貨1枚の鎧だ。仕方が無い。」

「そうだぞ?中古でその程度の物は1枚では買えないぞ?」

「デーニックに感謝しろよ。そんなに安いなら10個は家に持って帰りたいぐらいだ。」

中古の青銅の鎧を装備したフェルッポだ。

旧王国軍の装備で古いが良いモノだ、金具でオプションを装備できる様になっている。

正直、鎧は重いので買ったばかりの鎧を着けて戦闘を行なうのは自殺行為だ。

慣れていないと重たくなった自重で起き上がれなくなる。

特に、穴に填まったりすると良く起きる、諸刃の剣、素人にはお勧めしない。

だがこの青銅の鎧は胴鎧に近い。

剣を防ぐには難しいが相手が鈍器ぐらいなら充分に対抗できる。

「頑張ってお金溜める!!」

「フェルッポ。素材が揃えば良いモノが出来るだろう。だが、コレは戦闘訓練で在って金は目的ではない。」

「解ったよ。オットー。」

「そうだぞ?弟よ。金に目が眩むと思わぬ結果になるぞ?」

「そうだな、この(家宝)を試すのだ。」

「カール、違うぞ?その剣は捨ててよい剣だとオットーが言ったはずだ。」

「僕未だ戦ってない。」

うんざりするジョンに拗ねるアレックス。

「では、者共。準備は宜しいかな?」

「「「おう!!」」食料もばっちり。」

全員をフレンド登録してポーンを操作した。






埃っぽいダンジョンの安全地帯に到着した。

「光よ。」

魔法で室内を照らす。

机が有り、壁の結界魔法の板は正常に動作中だ。

どうやら、この部屋の安全は保たれているらしい。

「よし、準備しろ。俺はこの部屋を片付ける。」

手早くマスクをして、クリーンの魔法で部屋の埃を落す。(コーホーコーホー)

落とした埃は土魔法で固体化する。

とりあえず綺麗にしたが、風化した石壁から絶えず埃が出るはずだ。

ペンキを塗るか、空気清浄機でも作るか…。

ミソッカス共はカンテラに火を燈したり、お互いの鎧のバックルを確認しあったりしている。

アレックスがハーフヘルムを被った。

準備完了らしい。

「オットー凄いな、その鎧、カッコイイ。(かっこいいと言う意味)」

「そうだろ。アレックス。」(コーホーコーホー)

胸を張る俺。

「いや、そうじゃない。」

「オットー。ワイヤード公爵に服を誉められるというのは名誉なコトでは無いぞ?」

「おい、ジョンとカール。こういう物は戦場で相手が怖がるような姿が一番良い。」(コーホーコーホー)

「そうだよ?目立つのが一番良いんだ。」

いや、アレックス。戦場で目立つと攻撃が集中するぞ?

まあ、高機動型アレックスなら鬼回避かも知れないが…。

「まあ、怖そうでは在るが…。」

「うん、対峙したら夢に出そう。」

「マルコ、フェレッポ。そうだろ、カッコイイだろ?」(コーホーコーホー)

「う、まあそうだな。」

「うん。カッコイイね?(怖いという意味)」

「よし、準備は整った様子だな。では征くか。」(コーホーコーホー)

「「おう!」」

気配を探りゆっくり扉を開ける。

廊下には何も居ない。

いや、廊下と言うのは間違いかもしれない。

俺の紫外線フィルターには壁に映る悪魔の記述が増えている様に映る。

ヤツラは進化しているのだ。

間違いは無い。

確実にコノダンジョンは新たな進化を遂げている。

まるでショウジョウ蝿の暗黒実験だ。

中に居るのは猩々では無く牛なんだが。

手早く以前書いた紙に追記する。

「どうかしたのか?オットー?」

「いや、何でもない。マルコ、先に進もう。ウェーイw」(コーホーコーホー)

「兄さんドキドキする。」

「そうだな久し振りの実戦だ。」

「腕が鳴るぜ。」

「俺は、オットーから貰った剣を試したい。」

「今回はぼくが倒すよ?」

「「「ウェーーーイwww」」」

皆、ウェイしやがった。





ダンジョンの奥へと進む。

あの大部屋の前まで来が状況に変化は無い。

熱は随分と落ち着いている様子だ。

流石に冷めたか?

「オットー?開けるのか?」

ノッポのジョンが聞いてきた。

乳タイプ兄弟は前衛気取りだ。

勿論その内、入替える心算だが未だ戦っていないのでローテーションは行なわない。

少し考えたが今は辞めておく

「いや、帰りに開けよう。」(コーホーコーホー)

回収ダケで今日が終わってしまいそうだ。

警戒して進む。

二股の手前まで来た

暗闇の先に魔物の荒い息使いが聞こえる。

ミノタウロス臭だ。

『オットー、何か居るぞ?』

囁くカール。

『恐らく。ミノタウロスの上位種だ。鉄のメイスを持っている。』(コーホーコーホー)

『おいおい、いきなりなのか?』

『僕は今回は予備に回るよ。』

何故か壁に向かって”鼻歌を歌う”を選択する前髪。

『マルコ。倒さないと先に進めない。アレックス大丈夫だ、お前を前衛にしてやる。メイスは受けるな?ひき肉になるぞ?』(コーホーコーホー)

『では、ジョンとアレックスが前衛だな?』

『俺はどうすれば良いんだ?』

『カールはアレックスが倒れたら飛び込んでくれ、俺がアレックスを治療する時間を稼いでくれ。』(コーホーコーホー)

『解った。』

『僕、死ぬの?決定?』

前髪がウザイ。

『では俺たちは魔法で支援だな。』

『兄さん僕頑張る。』

『マルコ、フェルッポ、コイツはメイスで防御もする。石弾は破片で味方が傷つく。注意して使え。』(コーホーコーホー)

『『解った』え~、どうしよう?』

『弟よ。考えてみろ。』

『う~ん。接近戦になる前に使って、乱戦時はウォーター系?』

『良いぞフェルッポ。』(コーホーコーホー)

『正解だ。弟よ。』

『話は纏まったな?行くぞ』(コーホーコーホー)

『『『おう』』』

アレックスとジョンを先頭に進む。


分岐の前に黒いミノ太が鼻息荒く立っている。

「も゛、も゛も゛っ~!!」

コチラに気が付いた様子だ。

メイスを構え警戒してゆっくり歩いてくる。

「ソドム!」

フェルッポの魔法が発動して石弾が飛ぶが黒毛ミノ太はメイスで叩き落とした。

バントの要領だ。

「え?うそ?」

「ウォーターハンマー!」

マルコが魔法を唱えるがコレにも耐えるミノ太。

「き、効かないよ!オットー。」

「フェルッポ、解り易い所に打ち込むな。マルコと共同で迎撃できないタイミングでやれ。」(コーホーコーホー)

「わかった、行くぞ弟よ。俺が牽制する。」

「了解、兄さん。」

前衛の前髪達は身を屈めて停止している。

歩くミノ太との剣の間合いまでは後二回程しか時間が残されていない。

後二回でダメージを多く与えたい。

マルコのウォーターカッターの後にフェルッポの石弾が飛ぶ。

「ぶも゛っ!」

ウォーターカッターに耐えるミノ太。

続く石弾をバントで落とした。

「ふ゛゛んも゛ーーーーーーーーー!」

メイスを取り落として転がる黒ミノ太。


ああ、自打球か…。コレは痛い。

フェルッポの石弾が左足の甲に突き刺さっている。

「え?」

「よくやったフェルッポ!敵が動けなくなったぞ!!全員突撃だ!」

「えー」

「おいおい」

全員で黒毛をボコる。

立ちあがれないのでタコ殴りだ。

アレックスが止めを刺した。

「やったな、アレックス、初戦果だぞ?」(コーホーコーホー)

「いや、なんか思ってたのと違うんだけど。」

「そうか?良い戦いだったと思うぞ?」

憮然とするアレックスにカールが剣を確かめながら言う。

俺が支給した使い捨ての剣だ、早速試したらしい。

「ナイスだ。アレックス。」(コーホーコーホー)

「”NAI”ってなんだ?」

マルコを無視して黒ミノ太とメイスを収納する。

メイスは人間用ではないので重い。

8kgぐらいだろう、唯の鉄製だ素材に使った方が良い。

「フェルッポ、良いタイミングだった。即死する急所は相手も警戒する。先ずは相手を動けなくするのがコツだが色々な方法がある、今回は足を狙ったんだな?膝や関節を狙っても良いぞ。」(コーホーコーホー)

「え?えへへへへ。」

誉められて照れるフェルッポ。

「偶々だろう。」

「兄さん、でも良くわかった。次は狙って行けると思う。」

「そうだな、次は俺を前衛に戻してくれ。」

「いや、カール、未だ早いだろう。」

前衛争いが始まりそうだ。

おう、ダンジョンの中の麩陰気で最悪。

「次は前衛を増やす。恐らく相手も複数だ。」(コーホーコーホー)

「そうなのか?オットー?」

「ああ、恐らくこのパターンならな。確証は無い」(コーホーコーホー)

「「「解った。」」」




さて、二股の道は同じ階層の道を選ぶ、

この先は、ミノ太三匹チームがおまわっている。

牛のおまわりさんだ、警棒(バット)も持っている。


『ココで複数の敵を迎撃する。全員で魔法を同時攻撃だ。各自最大魔法で行け。』(コーホーコーホー)

あの待伏せした場所で構える。

待伏せなので自然と声を潜めている。

『オットーは?』

『俺は掛け声だけだ。』(コーホーコーホー)

『そう、良かった。』

何故か安心するアレックス。

『解ったが、なぜ?』

『ココは時間が掛ると敵の増援がやってくる。初撃は奇襲で数を減らしたい。』(コーホーコーホー)

『そうか…。』

『解った。』

『僕、急所を狙ってみる。』

『そうだな、奇襲の一撃なら防ぐ暇を与えないだろう。』(コーホーコーホー)


待つこと数分で前に一匹、後ろに二匹の集団(トリオ)が来た。

『きたよ、オットー、』

『まだだ、引き返す背中を打つ。』(コーホーコーホー)

皆無言で頷く。

『行け!』

停めた息を吐き出すと。

全員が坑道に躍り出て各自の得意な魔法がミノ太の背中に吸い込まれる。


「ヴンモォーーーーーーーーー!」

背中を向けていたミノ太二匹は即死だ。

ダメージを負った最後のミノ太が振り向き、バットを振り回す。

未だ剣の間合いではない。

「ソドム!!」

フェルッポの石弾がミノ太の腰蓑の中心に突き刺さる。


「ぶも゛も゛も゛ももももっ!」

のたうち回る去勢ミノ太、金的(ホーデン)に直撃弾だ。

「おう。」

「いたそうだね。」

「容赦ないなフェルッポ」

きんつる潰しだ。

タマヒュンだな。

武士の情けで止めを刺す、ジョン。

急いで三匹のミノ太を収納する。

「弟よ、随分と発動が早かったな。」

「うん、アレから練習したんだ。」

初撃の情け容赦ないフェルッポの石弾がミノ太の後頭部に突き刺さっていた。

ズガイコツコッセツの脳ミソ直撃だ。

「フェルッポ。随分と威力が上がったな。」(コーホーコーホー)

「うーん、なんだろ?ソドムの魔法は呪文を唱えなくても出来る様になったんだ。時々失敗するからやらないけど…。ただ、連射が出来る様に次の発動の準備をしているんだ。」

「弟よ。なんでウォーターボールの連射が出来ないのにソドムは出来るんだ?」

「わかんない。なんか…。できないんだ。」

「まあ、誰でも好き嫌いは在る。単位を取ったら、追々練習すれば良いだろう。但し、相手がサラマンダーやスライムの時は苦労するぞ?覚悟しておけ。」(コーホーコーホー)

「サラマンダー…。」

「居るのか?オットー。」

「たぶんこの洞窟には居ないが…。その内出てくるだろう。」(コーホーコーホー)

悪魔で悪魔の仕業だからな。

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― 新着の感想 ―
[一言] >小盾の裏にはホルダーが付いており、先が尖ってピッケルにも使える小ヴァールの様なモノと唯のステン鋼の棒がある。 >将来的には電磁警棒の様なエンチャントを行ないたい。 C96じゃないんだ…ま…
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