342.真空
夕べはお楽しみでした。
マルカに身体を拭いてもらい。
軽い腰つきで、アレックスをボコる。
流石アレックスだ、ボコられても喜んでいる。
強く殴りすぎたかもしれない。
着替えて食事を取り。
学校をサボる。
鎧を完成させるのだ。
熱処理を行い磨く。
バックル等は既存の物だ。
アクセサリーと魔法による各紋章も記入した。
動作もバッチリだ。
問題は、良いペンキが無い。
仕方がないので銀色テカテカのシソ・マツナガ塗装で暫く行こう。
どうせ、後で色々改良するだろう。
一応完成した鎧だが、休日ダンジョンで性能試験だ。
ミソッカス共、見てろよ驚くぞ?
喜び勇んで教室に向かう。
皆で飯だ。
授業中の教室に入りロビンの隣に座る。
昼の鐘が鳴れば飯だ。
「これで、授業を終わる。それから生徒オットー、一緒に学園長室に来るコト。」
「はい?」
「レポートの件だ。学園長に解説する事。」
「あの。昼食の後では?」
「学園長は忙しいのだ。」
「はい、解りました。」
教授の後に付いて教室を出る。
ミソッカス共にサインを送る。”済まない、一緒に飯は食えない。”、”わかった。”マルコが返すがアレックスは残念な子なのでポカンとした顔だ。
あ、ロビン何嬉しそうな顔しているんだ?
ワリス教授の先導で学園長室前まで来た。
入学の時、面接を行なった部屋だ。
「失礼します。ワリスです、生徒オットーを連れて来ました。」
「入りたまえ。」
「失礼します。」
三角帽子は被ってないが、合い変わらすの長い白い髭の老人の学園長だ。
コレで魔法使いで無いと言ったらサギだと思うぐらいの魔法使いっぷりだ。
「やあ、オットー君、君のレポートを読んだよ。わかりやすくて非常に良い。」
席を進められる。
あの入学面接の時の席だ。
ワリス教授も同じ位置に座る。
流石ゲーム、背景画の使いまわしか?
違いは俺の作った実験器具が机の上に置いてあるコトだ。
キャラクターレイヤーか…。
「ありがとうございます、しかし、推論ばかりで証明が有りません、到底レポートとは言いがたい物です。」
「ふむん、確かに、だがソレでは理論が完成してしまうまで書くことが出来ないだろう。」
いや、レポートとは結果が出ないと書けないだろ?
「まあ、そうですが…。」
「さて、幾つか質問が在るのだが…。先ず、この君の言う大気圧と言う考え方だが…。」
「はい、空気は気体で我々の周囲に存在しています。その量は差が起きないと感じることが出来ません。」
「ソレを計るのがこの気圧計と言う物かね?」
「はい、水銀は重いので下がります。空気の重さと吊り合った場所がガラス管の水銀と盆の水銀の高さに現れます。勿論、その差は微々足る物です。」
「この、ガラス管の中の空洞は本当に真空なのかね?」
「申し訳ありません。分解するコトに成るので…。ココではちょっと。」
「学園長、レポートに記載された現象を確かにこの目で見ました。」
「そうか…。ワリス教授が言うならば…。」
「では、今度はその現象を再現する専用の実験器具を作ってきます。全ての人の前でやらされそうなので。」
「うむ、うむ、ソレが良い。正直ワシもコノ目で見てみたい。」
「学園長。真空は存在するのです。」
「うーむ。恐ろしいコトだ…。」
真剣な顔のワリス教授と恐怖を隠さない学園長。
え?そっち?
俺、普通に魔力チューブの中で真空作ってるぞ?
授業開始の鐘が鳴った。
「ワリス教授、午後の講義です。」
「生徒オットー、今日の午後はキャンセルした安心しろ。そして普段は授業に出ろ。」
わお。
その後、温度計の構造や湿計の原理、工口フ簡易湿度計、湿り空気線図(予想)などの質疑を行なった。
どうやら飯も食わずに続けるらしい。
「では、この実験装置の製造を行なおう。ふむ、予算はデービス卿に掛け合ってくる。」
振り子は時計台のホールを使う心算らしい。
精密機械時計は細工師にムーブメントを作らせて発振回路は俺が作るコトに成った。
「予測値として温度計で酒精を使いましたが、細いガラス管の製造が出来れば水銀や精製油を使うことに拠って水の沸騰温度の2倍程度の物が測定できます。」
「うむ、ガラス細工の工房に知り合いが居る、作らせて見よう。」
「ありがとうございます。」
よっし、これで実験の道筋が出来た。
細かいデータ収集はワリス教授がヤル気だ。
あの時、課外授業の星空の下で、気圧差で風が起きる話を…。
天気図の等圧線の話をしたところ俄然ヤル気になっている。
几帳面な性格の様だから上手くやるだろう。
正直、パラメータ収集までやるのは疲れるからな。




