338.特別食と尋問2
「オットー飯に行くぜ!!」
教室の上から叫ぶカール。
「おう、行こう。行くぞ!お前等。」
ロビン質を押さえたので逃げられぬサンピン共。
「早く行こうぜ?オットー。食堂が混む。」
ジョンが急ぐ。
「ああ、今日は奴隷とは離れて食事することになった。」
「え?そうなのかい?」
アレックスが驚く。
「まあ、せっかく、配下の者が同級生同士で交友を深めているのに、主人顔が近くに有れば遠慮するだろう。」
「そういうモノだな。どうする?上級食堂へ行くか?」
「え~?麺料理は無し?」
返すカールにフェルッポが残念がる。
「仕方が無い、ココはオットーの顔を立てよう。」
マルコが弟を嗜める。
「すまんなフェルッポ。」
「うん、良いよオットー僕も我侭言ってごめん。」
話が決ったので上級食堂へ向かう。
話に参加出来なかったサンピン共は壊れたゴーレムの様に歩く。
ドアーの前でギャルソンに迎えられる。
「オットー・フォン・ハイデッカーだ、友人達と従者だ。従者は話があるから席に着かせてくれ。」
「はい。かしこまりました。」
頭を下げ先導するギャルソン。
乳タイプが目で会話している。
不明だが「アホ草」に近い内容であろう。
丸テーブルに座る。
白いテーブルクロスに花とグラスが映える。
ミソッカス共はリラックスしているが、ロビン以下の平民共はビクビクしている。
「本日のメニューでございます。」
メニューを広げるギャルソン。
俺は魔法の言葉を話す。
「お任せで。」
「畏まりました。」
一礼して立ち去るギャルソン。
給仕とワゴンがやってくる。
皆の席のグラスに赤い透明なジュースを注いでいく。
下がる給仕。
「では、皆者、始めよう。我がクランに乾杯。」
グラスを掲げる。
皆もグラスを掲げる。
一テンポ遅れるサンピントリオ。
一口付けてジュースはワインの水割りだった。
「お口合わせでございます。」
給仕が皿を置く、食事が始まる。
メインの鳥のローストと白身魚のポアレが出て
デザートのカボチャのプリンで終わった。
早いな。
「王国製のお茶です。」
くつろぐ時間が来る。
皆が食べるのが早く成ったので皿の進行が早い。
やはり皆、大衆食堂で熟れるのだ。
皆、無言だ、ココは俺が口火を切る役目らしい。
「皆、随分と武人らしくなったな。」
「オットーにしては優雅な嫌味だな。」
笑う、マルコ。
「この前に家族と食事した時は僕だけ食べるのが早くて。父上から同じ様なコト言われた」
続くアレックス。
「まあ仕方が無い。軍に入れば。軍人とはそう言う物で通る。」
「そうだな、優雅なのは引退してから思い出せば良いさ。」
カールとジョンが続く。
領地に帰れば思い出しそうにも無いだろう。
「オットー良いかな?」
「なんだ?フェルッポ。」
「ドラゴンの件だけど…。」
「ああ、なめし屋に出した。買い手を捜してる。」
「随分と噂になってるよ。」
「そうか。」
「おいおい、ソレだけか?」
「ドラゴンだぞ?建国以来の大事だ。」
そうか?もう居ないから問題無いだろ?
「噂は俺の耳にも入っている。まあ、いくらで売れるか楽しみだ。」
「売っちゃうの?」
「一部は素材として貰う予定だ。」
「うーん勿体無い気がするんだ。」
「大丈夫だ、フェルッポ。その内沢山出てくる。」
悪魔の名乗る魔王が出てこればな。
「えー。」
「オットーソレは無いだろう。」
「あんなの沢山出たら国が滅びるぞ?」
ジョンとマルコが抗議する。
「まあ、安心しろ。そのうちお前達でも倒せる相手だ。帝国軍を相手にするより簡単だぞ?」
レベル上げてやるからな?
ノッポの赤毛のデーニックが何かに祈っている。
”神よ、狂人から我が身をお助けください。”
おう、俺が救ってやるから安心しろ。




