表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
353/400

334.賢者の時間

サロンに誰も誘われることも無く食堂を出て部屋に戻る。

魔法で綺麗にして制服をトルゾーに掛ける。

先ずは今日使った道具の手入れだ。

収納は劣化することは無いが、使った後の手入れは必要だ。

作業の終わりが見えると、メイド服のマルカが戻って来た。

随分と疲れている様子だ。

そんなに仕事が在るのか?

「おかえり、何か在ったのか?」

「い、ぃぇ、オットー様。特には。」

「そうか。」

風呂上りでも無い様子だ。

「マルカ。此方へ。」

近づくマルカの頭に手を置く。

「はい、あ。申し訳ありません。湯浴みが未だ…。」

クリーンの魔法を掛け、丹田を廻す。

これで疲労が和らぐハズだ。

完璧ではないが一晩休めば問題は無いだろう。

「身体を拭く。着替えを用意してくれ。今日は休む。」

「はい、ありがとうございます。」

準備をするマルカの背中に訪ねる。

「寮の仕事は忙しいのか?」

「いえ、そういう訳では…。」

言葉を濁すマルカ。

そうか…。困ったな。

顎に手を充て考える。

やはり身の周りの世話をする者とは言え学生だ。

勉学に勤しむのが通例だ。

明日、誰かに相談するか…。

身体を拭く。

手伝うマルカ。

流石にビクンビクンしたので賢者モードだ。

着替えが終わる。

後は休むだけだ。

マルカも拭く用意を始めた。

「手をかそう。」

「ふぁ?ぁぁ、あの、イイです。」

きょどるマルカ。

何を言っているのだ?今更。

「大丈夫だ。手早く済まして今日は休もう。」

「はい、あの、でも。」

「さ、さ。早く。」

何もヤマシイ事は無い俺は賢者モードだ。

手早く済まして休むのだ。

身体を拭き拭きするだけだからな。




俺の中の野獣が目覚めることは無く。

イチャイチャして朝になった。

ふっ、賢者とは良いモノだ。

寝起きで髪が乱れたマルカのうなじで俺の中の何かが蠢く。

いや、賢者モード切れか…。早いな。

未だ眠そうなマルカ。

朝の鍛練に出なくてはならない、素早く着替える

「マルカ、鍛練に行って来る。もう少し休みなさい。」

「はぃ。」

うむ、低血圧なのかもしれん。

そういえばベスタが何時も起こしに来ていたな。

野獣を押さえ、中庭に出る。

ミソッカス共は今来た所らしい。

ボチボチと準備運動を始める。

受身の練習が終わると、連携攻撃の訓練だ。

皆でアレックスをボコる。

ふう、俺の野獣が治まった。

アレックスの剣の腕ではこんな物だろう。

乳タイプ兄弟二人で掛って辛くも負けるぐらいだ。

良い線だ。

「オットー何で僕ばかり敵役なんだ?」

ボコられたアレックスが立ち上がる。

指輪で治癒しやがった。

「アレックスは素直すぎる。相手が構えるまで待っているし。討ち込みも待っている節が有る。」

「え?」

「上級者と訓練した癖だな。」

鎧姿のカールが木剣を肩に担ぎ指摘する。

「ああ、指導者が遠慮していると、そういう癖が付く。」

続けるジョン、恐らく家ではスパルタ方式だったのだろう。

「え?僕、そんな癖が有るの?」

驚いた顔のアレックス。

マヌケな顔だ。

「そうなの?兄さん。」

「まあ、そういう事も在るだろう、子供の頃から剣術をやると怪我が多いからな。」

「だ、そうだ。アレックス、逃げるのが上手いが討ち込みが単調だ、上級者には勝てない。」

「そうか…。僕、そんな癖が…。」

「オットー、上級者に勝つって。」

「マルコ。まあ、オットーだ、そう考えるだろう。」

うんざりするジョン。

「上級者は相手の視線や足運び、腕や肩の筋肉の動きで攻撃を予測してくる。コレは味方の連携でも役に立つ。」

「そうなの?カール。」

「フェルッポ、そんな事出来るのは名人だけだぞ?」

うんざりした顔でカールが答える。

「もちろんソレを見越してフェイントに誘う事も出来る。」

「ソレこそ、歴史に名を残した英雄や剣士なら出来る話だ…。」

「そうか。英雄や、名の残した剣士か~。」

目が輝くフェルッポ。

「まあ、実戦では相手の欠点を見抜いて討ち込んで来る、無い場合は相手がミスするように誘うのだ。」

「よし!判ったよ。オットー、練習しよう。」

俄然やる気になる前髪、ウザイな。

「もう時間だぞ?アレックス」

「そうだぞ?授業に遅れる。」

「え~。」

名残惜しそうな前髪、乳タイプの脳筋が移ったのか?

「まあ、今の練習の内容を一晩よく考えるんだな。あの時こうしたらとか。頭の中で考えろ。」

「僕そんな事考えたこと無いよ?」

そうか、アレックスの脳が有るのは下半身だけだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ