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326.出立

さて、食事が終わり部屋に戻ろうとするがミソッカス共に食後のお茶に誘われた。

特にやる事がないので、受ける。

いや、レポート書きたくないのが理由ではないのだ。

ホントだぞ?

特に大した話は無い。

焼き菓子とお茶の葉を補充出来たダケだ。

時間になり部屋に戻る。

未だ部屋には誰も居ない。

仕方がないので寝巻きに着替え、服をトルソーに掛ける。

クリーンの魔法を掛け。

自分にも掛ける。

コレからベスタが居ないのだ、手が足りない。

効率よく進めなければ。

魔法で、桶にお湯を出し、手早く身体をふきあげる。

固く絞った布巾で頭を拭く。

散っていく戦友達…。

戦う男なのだ…。仕方が無い…。

拭き上がりが終わるとマルカが戻って来た。

「あっ、」

「おう、身体を拭いた。着替えを頼む。」

「ハイ。」

準備を行なうマルカ。何時もの風呂上りの香りがしない。

「湯浴みはしなかったのか?」

「申し訳ありません、時間に間に合いませんでした。」

「そうか…。」

うむ、ベスタの抜けた穴は大きいのか…。

父上に言ってメイドを派遣してもらうべきか…。

マルカは学生だ。正直、学業を優先してもらいたい。

「俺は既に身を清めた。」

「はい。」

何故か涙目のマルカ。

何を話せば良いのだ?

「ゆっくり身体を休め身を清めよ。俺はもう寝る。」

「は…い。」

コレも外れらしい。

選択難しいぞ!ヒントくれ。

「…。落ち着いたらベッドへ来い。」

「はい!畏まりました。」


ベッドに横たわり睡魔を呼び寄せていると。

マルカがゆっくりとドアーを開けて入ってきた。

音を立てない様に注意している様子だ。

そのままベッドの隅に腰を落す。

「さあ、来い。」

「ハイ。」

そのまま、マルカの手を握り意識を手放した。


窓から朝日が差し込み目を覚ます。


未だマルカは目覚めてない。

毛布が呼吸に合わせて上下している。

ゆうべはおたの…。何もしていないぞ?

一人突っ込みでは面白くないのでマルカを起こす。

「身支度を整えなさい。ベスタを見送りに行く。」

「はい、」

眠い目を擦っているマルカ。

俺は身体を拭き始める。

ソレを眺めて何かに気が付くマルカ。

「あ、もうしわけありません。」

「大丈夫だ。着替えを出してくれ。マルカも急いで身支度を整えよ。」

着替えが終わるとブーツを履き。マルカと手を繋いで、ポーンを操作した。

店の前に飛ぶと、店の前で馬車の準備中だった。

馬は既に繋いである、間に合ったな。

「おはよう。諸君。」

「あ、オットー様。」

「おはようございます。」

娘とイレーネだ、ベスタを探す。

「ベスタさんは馬房の掃除中です。私達で荷の確認をしています。」

「そうか…。」

「ご主人、おはよう御座います。」

荷台の幌の中から顔を出すブラン。

なるほど…。しっかり働いている様子だ。

「あの…。オットー様、其方の方は?」

イレーネがマルカの方を示す。

そう言えば初対面か?

「うむ。紹介しよう、ベスタと同じく俺の配下の者でマルカだ。」

「ああ、貴女がマルカさん。オットー様のお店を切盛りしているイレーネです。よろしくおねがいしますね。」

優しく微笑み掛けるイレーネ。

「ま、マルカです、よろしくおねがいします。」

ほんわかした空気だ、まあ、こんな物だろう。

ベスタの時と雰囲気が違う。

あの時はもっと殺伐とした風が吹いたのだが。

馬房掃除の終わったベスタが出てきた。

「オットー様?」

俺の顔を見て驚くベスタ、旅装束で剣を腰に挿している。

「おう、見送りに来た。」

「あ、はい。ぁりがとうございます。」

何故か顔の赤くなるベスタ、そういえば例の騎兵ブーツを履いている。

「ベスタさん、馬車の準備は整いました。」

「はい、コチラも準備完了です。」

なるほど、軍人モードか。

「お母さん、行って来ます。」

「トリーニア、頑張ってね。道中くれぐれも気を付けて。」

「はい、お母さん。」

「オットー様…。」

「ベスタ、任務を果たせ、優先順位を忘れるな。」

「了解しました!」

「がんばれ、おぼこ(棒)」

「あんたねえ。」

「あ、必ず帰って来てください。」

「あ、マルカさん、大丈夫です。必ず帰ります。」

馬車に乗り込む娘。

「じゃあ出発!!」

「では、行って来ます。」

「行ってらっしゃい。」

別れの挨拶で馬車を見送る。

馬車の姿が見えなくなるまで手を振ってうな垂れる未亡人。

肩を抱き寄せる。

「大丈夫だ、必ず帰ってくる。」

「はい、待ちます…。」

「おぼこ。」

「オットー様。」


保障は無いのだ。

だが成功するだろう。

そう信じるのだ、人に任せるとはそういうモノだ。

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