311.ダンジョンで朝から牛タタキ丼(アメリカン)を求めるのは間違っているのだろうか?
(´・ω・`)…。(9/25少し修整)
扉を開けると唯の洞窟だった。
いや、扉を出ると嫌な魔力の流れだ。
他人の結界の中だ。
ミソッカス共も気が付いている様子だ。
「こっちだ。」
ダンジョンの奥へと導く。
「オットー、あっちは?」
「ああ、フェルッポ、あっちは出口だが格子で塞いである。魔物が出られない様にだ。行き止まりだ、何か有ったら今の部屋に逃げ込め。」
「「了解!」」
低い声で皆、答える。
ゆっくり奥に進む。
あの大部屋の前に来た。
俺が塞いだ土塀は未だそのままだった。
離れていても熱を発しているのが解る。
「ちっ。」
未だ、灼熱地獄らしい。
「オットーなんだい?アレは?」
「アレックス、アレは大部屋だった中はミノタウロスの大群が居た。何時もの光の魔法で全て燃やしたが…、熱が未だ冷めていない『ヴモォォー!ヴモォー!』様子だ。」
土壁の向こうでくぐもったミノ太の断末魔が響く。
まだ、リポップし続けているのか?
「なんの音だ?」
「さあ、解らん人で無い者の叫び声だな。」
周囲を警戒する乳タイプ兄弟。
「この壁の向こうからみたい。」
「こんなに熱い、近づく事も出来ない。」
フェンデリック兄弟の見立ては良い所を指している。
「まあ…、光の魔法が全て熱に変ったからな…。恐らく中は今でも壷が焼ける温度だ…。」
「オットー。その魔法、僕に何度も向けてたよね…。」
「まあ、良いだろう、この部屋を開けるのは未だだ。先に進もう。」
「いや、オットー!僕にあの魔法を打ち込もうとしてたよね!何度も!」
前髪がうるせえな、今、生きてるから問題ないだろう?
無視して進む。
二股に解れるが、地図が有るので左に進む。
右は下の階層に繋がる長い廊下だ。
上り下りの無い平坦な坑道だ。
敵と遭遇しない。
今の所、代官代理の地図と酔っ払いの地図のとうりだ。
官製地図は正確だが、酔っ払いの地図のほうが特徴がデフォルメされていて解り易いのが皮肉だ。
暗い坑道を進む。
暗闇に荒い息遣いが微かに響く。
『居たぞ。』
手で合図する。
乳タイプ兄弟が剣を抜く。
アレックスはダルガンの剣に手を置いている。
何時でも抜ける状態だ。
幸い一匹だ、一人膝を抱えて座り壁に向かっている…。
ランタンの光りに照らされてコチラに首が動く。
角膜に反射した光が二つ…。
立ち上がりバットを構えた。
『ヴンモォーーーーーーーーー!』
「きゃ!」
雄叫びを上げるミノ太とかわいい声のベスタ。
「ウォーターボール!!」
マルコの魔法が鼻先に当たる。
一瞬立ち止まるミノ太。
「ソドム!」
フェルッポが石弾を飛ばす。
鼻先に当たり鼻血を噴出すミノ太。これは痛い。
『ヴン゛モ゛モ゛ォーーーーーーーーー!』
「フェルッポ良いぞ。次は急所を狙え。」
「うん、わかった。」
「おい、剣で戦わせろ!!」
「そうだぞ!!」
あくまで肉弾戦がヤリたい乳タイプ達。
「そうか…。怪我するなよ。マルコ、フェルッポ。動きを止めることを考えて狙え。下の方を狙うとカールとジョンに当たるからな。注意しろ。アレックスは歌でも歌ってろ。」
「「「了解!!」」おい、なんで!!」
マルコがウォーターボールを連射、(偶にウォーターハンマーを出している)して牽制。
フェルッポが石弾の発動サイクルは長いが重い一撃で削っている。
良い感じだ、後一歩で剣の間合いだ。
何時でも飛び出す準備が完了している乳タイプ。
アレックスは壁に向かって膝を抱えて座って鼻歌を口ずさんでいる。
後は、弱ったミノ太をタコ殴りだ。
「行くぞ!!」
「おう!」
ヒット&ランを繰り返し急所に刺す。
「くそっ!」
カールが剣を放す。
どうやら急所に刺したが、筋肉の膨張に囚われ抜けなく成ったらしい。
「下がれカール!」
素早く牽制のウォーターボール連射を喰らわせるマルコ。
転がりながら安全圏に逃げるカール。
「くそ!誰か剣を!!」
叫ぶが皆はそんな暇は無い。(壁に向かってブツブツアレックス)
膝を付いたミノ太の延髄部脊椎にジョンが腰の入った一撃を加え、痙攣しながら倒れるミノ太。
皆肩で息をしている。
「おめでとう。ミノタウロスを倒したな…。」
手を叩き祝福する。
「「「ヤッター」うおー!」獲ったぞ!!」
勝利のポーズを極める面々。
戦果を確認してカールの剣を抜き投げる、キャッチするカール。
ミノ太を収納する。
「よし。皆コレでよい経験になっただろう。」
まあ、今回は様子見だ。
気分の良い内に撤退したほうが良いだろう。
反省点も見つかったからな…。
「オットー、僕戦っていない。」
前髪がウザイ。
「オットーも戦ってないだろ?」
「カール。別に俺は戦う必要は無い。」
「いや、オットーの戦う姿を見てみたいんだ。」
ジョンが続ける。
必要か?そんなモノ?
「そうだな…。」
「うん、見てみたい。」
「いや、僕も…戦いたい。」
「…。」
ベスタはどうでも良さそうだ。
しかし皆の意見だ仕方ない。
「では少し進もう。会えば俺が戦う。会わなければ撤退だ。」
「「「了解。」」いや、僕も戦うよ?」
洞窟を進む。
しかし、困った。
俺の今の武器はファルカタ型の剣と山刃しか戦える状態に無い。
リーチが足りない。
未だ中距離兵器は作っていない。
小石ではLVが足りない…。もろはのづつきか…。
死亡フラグだな。
坑道進むとまたもや、暗闇に荒い息遣いだ。
コイツ等暗闇で一匹ナニしているんだ?
光る視線が俺と交差する。
立ち上がり突進するミノ太。
かなり早い動作だ。
俺は収納から間合いの広い武器を取る。
「ウェ~~イ!!」
振り下ろすバットの根元。
ミノ太の親指に一発食らわせる。
『ヴン゛モ゛モ゛モ゛モ゛モ゛モ゛ォー!!』
バットを落すミノ太。
爪が割れて血が出ている。
骨も折れたらしい。
親指が使えないと握る事が出来ない。あと、中指も。
素早く踏み込んだ足の小指を打ち抜く。
肉が潰れる感触が手に広がる。
『ヴン゛モ゛モ゛ォー』
上手くいった。
背を丸めるミノ太に畳み掛ける。
俺はサイクロプスの丸太でラッシュをかける。
「オラオラオラオラオラオラ!!丸太の味はどうだ!オラ!!」
『モ゛モ゛ー』
「えー。」
「あれって。」
「痛そうだな。」
「いや、そうじゃなくて、もっとこう。高度な戦いが見たかったんだ。」
「そうかい?カール、オットーらしいだろ?」
「まあ…、そうだな。」
牛のタタキ一丁!!




