310.ダンジョンで朝から牛丼を求めるのは間違っているのだろうか?
朝になり魔女達は率先して俺の体を拭いている。
「~♪」
「ふふふふ~ん出来たかな?」
鼻歌を歌うエロ妊フとみかん製人姫。
たぶん出来てはいないと思うが未だ不明だ。
微妙な顔で汚れたシーツを片付けるメイドさんズ。
おお。日常が戻ってきたのだ…。
コレから無味乾燥な学園と寮との往復…。
は、元々授業に出ていないので問題は無いだろう。
身形を整えた姿の見えない魔女達を見送る。
マルカは昼まで仕事で昼から休暇を与えた。
エールを試作するらしい。
今日の夕飯は皆でエールだ。
すばらしい。夕飯までには帰ろう。
ベスタにはフル武装を言いつけ寮の中庭に向かう。
随分と殺伐とした一団が中庭の一角で柔軟体操をしている。
ミソッカス共だ。
「おはよう。オットー、言われたとうり猟にでれる格好をしてきたよ。」
ダルガンの剣を腰に差しているが随分と軽装の前髪。
死亡フラグビンビンだ。
「何をやるんだ?オットー?」
カールとジョンはあの鎧を着ている。
剣も真剣だ。
「特にもって来て無いぞ?」
フェンデリック兄弟は何時もの格好に剣を下げている。
まあ、悪く無いだろう。
フレンド登録を行なう。
「皆、指輪とポーションは持っているか?」
「ああ、持ってる。」「もちろんだよ。」「収納してる。」「家宝だ、大事に取ってある。」「うん?持ってたかな?」
一部アレだが問題は無い。
死亡フラグは自己責任だ。
中庭の縁石の上にタイマーゴーレムを置く。
動作は問題ない。
「では、申し訳ありませんが。君達には新しいゲーム。死合いを行なってもらいます。」
「は?」「え」「なに?」
ポケットのポーンを操作して。
ダンジョンの安全地帯に飛ぶ。
「どこ?ココ。」
「オットーなんだ?今の魔法は?」
「くっどんな構成だった?カール。」
「ダメだ、全く解らん。」
「えー。何か凄い。」
暗くなった視界にミソッカス共は混乱している。
魔法で光を照らし。
結界の魔石に魔力を充填する。
消費が早いな…。
2割は減っている何か対策が必要だ。
埃っぽい事務机に腰を掛ける。
「さて、ココは魔物が出る洞窟の中で。出るのは危険な魔物だ。」
机の上にタイマーゴーレムを置く。
胸ポケットにも入れる。
全て動作は会わせてある、さあ、時差はどうなる?
「オットー何をやらせる気?」
前髪が随分と慎重そうだ。
コイツ、危険探知は人並み以上だな…。
「そうだな…。皆其れなりの腕になって来たがマダマダだと思う。そうなると実戦の方が話が早い。」
「ソレで?」
警戒するマルコ。
「この洞窟はミノタウロスとその上位種しか出ない。良い演習場だと思わないか?」
「オットー、ミノタウロスなんて…。」
「いや、オーガより上だぞ?」
「えー、怖いよ。」
「大丈夫だ。一人で倒せとは言っていない。皆で共同撃破すればよい。連携の練習だ。」
「そういうことか…。」
「実戦だな…。」
乳タイプ兄弟は食いついてきた。
やはり脳筋、実戦は心が躍るらしい。
「そうだな。一応敵の姿を見せよう。」
収納から頭部、腕、胴体に切り離された新鮮なミノ太を出す。
「うっ、で、でかいな…。」
「そうだな…。コレは手強い。」
「一応、腕力は強力だ。相手の攻撃を受けるコトはしない事。急所を突いたとしても直に離れるコト、コレ位大型だと心臓を潰しても倒れるまで時間が掛る。」
「そんなのどうするんだい?オットー。」
アレックスが困った顔だ。
確かにアレックスの剣術では分が悪い。
「一撃で倒せない動物は動けないようにするのが良い。先ず足。腕、その後止めだ。」
「なるほど…。」
「オットー、簡単に言うな。そんなコトできるのはクラスD以上の冒険者だぞ?」
マルコが言う、そうか?俺はクラスなしだが出来るぞ?。
「大丈夫だマルコ、落ち着いて殺れ。あと…。ココは”ダンジョン”だ。充分に気を付ける事。」
「”DAN…”ってなに?」
フェルッポが訪ねる、マルコも乳タイプ兄弟も首を傾げている。
「”ダンジョン”だよ、”ダンジョン”知ってるだろ?魔物の支配する洞窟だ。いや、洞窟で無い場合も有るが。魔物が支配する王国の様なモノだ。」
「しらん、」
「わからん。」
「聞いた事が無いね…。」
「魔物の王国?王様でも居るのか?」
「オットー、そんなの物語でも見た事が無いよ?」
「そうか…。困ったな。王様は居ないが…。この洞窟の支配者が居るはずだ。コイツはその兵だ。支配者を倒せば終わりだが…。」
おかしいな、ダンジョンは一般的ではないのか?
ソレとも別の固有名称があるのかもしれない。
新鮮な牛枝肉(加工前)を収納する。
「まあ、良いだろう。この洞窟は敵対する魔法使いが作った結界の中の防衛装置の様なモノだ。なので全ては魔法使いが支配している。」
「えーどんな人?」
「たぶん人では無い。」
「おい、何だそりゃ?亜人か?」
「いや…。もっとおぞましい者達だ。」
たぶん悪魔だからな。
「オットー。ソレは以前の本。異世界の住人達なのか?」
マルコが訪ねる。恐らく呪いの魔法店のエルフ婆が出した”悪魔の辞典”の事だろう。
「いや、あの連中ではない…。ハズだ。やり方が違う。何れにしても人に災いをもたらす者だ。駆逐したほうが良い。」
そうだ、アレほど達の悪い人類は居ないだろう。
居たら地獄だ、特に主任が…。
全ての会社の備品を改造していたからな…。
「そうか…。解ったオットー。」
「兄さん、魔物の支配者だって…。どんな姿だろう?」
「魔物を倒せばよいのだな?」
「くそっこんな事ならもっと武器を持ってくれば良かった。」
「面白そうだね。」
理解が早いカールに悔しそうなジョン、前髪は深く考えていない様子だ…。死亡フラグだな。
「よし、では皆準備を整えろ、あの扉の向こうは魔物の支配下だ。いきなり飛び出してくるかもしれない。ベスタ、ランタンの準備を。」
「はい。」
帝国製のランタンに火を燈すベスタ。
「ココの魔物は魔法を察知する能力に長けている。下手に魔法を使用すると大量に寄って来るから注意しろ。」
「魔法なしで戦うのか?」
「いや、別に。攻撃魔法なら発動から効果までの間が短い、問題ないのでは無いのか?常時発動する灯りの呪文は魔物を呼び寄せやすい様子だ。”ウェイw”の魔法は…。試していないな。」
ウェイが発動してしまった。
ソレを見てミソッカス共が全員…。
「「「ウェーーーイwww」」」
ウェイしやがった。
「いくぞ、オットー」
「準備は整った。」
「実戦だね!」
「オットー大丈夫?」
「弟よ下がっていろ。」
「ではベスタ。扉を開け。」
「はい!」
皆やる気に満ちている。
ベスタが扉の向こうの気配を探り、扉をゆっくり開けた。
俺たちのダンジョン攻略は今始まった!!




