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296.炭鉱の町6

「本当か!」

「へい、ダンナ。見たヤツから直接聞いたんでさ。客の薬草取りの男でその廃坑の周りで薬草を取っている男が居まして。”商売上がったりだって。”」

顎に手を当て考える。

おいおい、これ、来ます。

牛祭りの始まりが…。

「そうか…。」

「見た限りでは3匹は居たって話でさ。」

「ソレは困ったな…。」

「へい。薬草も冒険者ギルドに目撃を報告したが何もしてくれないって。ボヤいてました。」

そうだな、大型の魔物、特に人型を重点的に調べたがオーガ位でミノタウロスの発見情報は無かった。

クソっ仕事していないな冒険者ギルド。

ココまでアレだと何らかの政治的意図があるのだろう。

「そうか。世話になった。ありがとう。」

「どうもどうも。」

蒸し芋屋を後にする。

「ベスタ、何か必要な物は有るか?」

「いえ、これと言っては有りません。」

「噂の魔物を見てみたい。」

「はい、構いません。」

「よし、では征こう。」

北門を出て街道を進む。

馬車の往来が多い、積荷は石炭が多い様子だ。

道の分かれに岩に”←この先、北の水晶坑道”と木杭で”廃坑閉鎖中、行き止まり”と表示があった。

なるほど。元は水晶坑道だったのか。

こんなに狭い範囲で石炭も水晶も出るなんてやはりゲームだな。

小道を進む。

通行するものが減って道は荒れているが踏み固められた轍は草生す事無く足を取られる事もない。

特に魔物は居ない。

街道の外にツノウサギが居たがダッシュで逃げられた。

見通しの良いので仕方ない。


峠を登る。

GUIに反応は無い。

峠を越えると谷を見下ろす形になる。

居た、

街道に三体のミノタウロス。

ベスタと共に岩場の影に隠れる。

未だ発見されていない。

何をするでもなくボーッと突っ立っている。

装備はバットと腰蓑だ。

おかしい、凡そ野生動物らしくない。

持ち場を離れるコトが出来ない衛兵の様な姿だ。

収納から数個の鉄の球を出す。

ココからなら狙撃が出来る。

三体同時は不可能だ。

一体づつやるしかない。

狙撃の前に周囲を窺う。

あの三体ダケだ。他は居ない。

魔力チューブを後方のミノ太に合わせ球をセット。

ミノ太がいきなり振り向き目が合った。

「くそっ!!」

口を開く前にミノ太の鼻に球がめり込み、汚い花火が咲いた。

戦果確認もソコソコに岩場に隠れる。

「どうしましたか?」

「いや、コチラに気が付いた様子だ。」

遠距離モードのGUI、二つに成った光点に動きは無い。

ベスタが岩場から顔をゆっくり出す。

「残りの二体は動いていない様子です。一体は倒れています。」

「そうか、コチラの魔法に気が付いた様子だ。恐らく、魔法に鋭敏なのだ。」

困ったな。百発百中の魔法チューブに思わぬ弱点だ。

いや、カバーする方法は有る、命中率が落ちるが…。

こっそり戦果を確認する。

生きのこった二体のミノ太は顔を動かし周囲を窺っている。

移動しようとしていない。

倒れた物に気も使っていない。

攻撃されたが何が起こったのか理解していない様子だ。

何とか口を開く前に殺った成果だろう。

幸運だった。

しかし、そんな幸運は長く続かないだろう。

次は狙撃し易い位置の物を選ぶ。

球をセットしたまま目標手前50mまでチューブを伸ばす。

未だ気が付かない。

もう少し。

目標が動いた!

30mで反応した!

そのまま発射する。

弾体は空気の抵抗と真球の不安定な形状を受けそのまま照準よりやや下目。

首の下やや右側鎖骨の付け根辺りに命中した。

転がる首。

やはり、大気中は尖頭弾のほうが安定が良い。

いや、弾頭を回転させなければ横球になる。

滑降砲はフレシェット弾の方が良いだろう。

流石にコチラに気が付いたミノ太が雄叫びを上げバットを振り上げ峠を走って来る。

「くそっ!猛牛マークだ。」

教授が居ないので光のリングを構築して攻撃する。

光線が当たるが表面を焼くだけで突進は変わらない。

一段階上げ発光体との混合バージョンで迎撃する。

流石に首とバットが転がる(腕ごと)。

周囲に警戒しながらベスタと共に倒した獲物に接近する。

くそっ、このミノ太(バフィリート゛)香ばしい良い香りがしやがる。

まるで、いきなりステーキを作った様なモノだ。

焼けた肉と脂の香りを発散する、落ちた腕と首、胴を収納する。

残りの二体を収納して周囲を窺う。

血溜りを魔法で焼いて痕跡を消す。

主に足跡を消す為だ。

小道を先に進む。

ミノ太に遭遇する事無く廃坑の入り口が見えてきた。

谷の底近く、遠目に見るが門番ミノ太は立っていない。

何らかの魔物が居ると思うが。

アレがゲームのダンジョンなら…。

中は牛しか居ないだろう。

かえる君は居ない。

うし君は打撃兵器しか持って居ない。

精々バットと斧とメイス。

魔法で遠距離攻撃が出来るので有利だろう。

その時、俺は楽観していたのだ。

”何とか成るだろう。”

ダンジョンの入り口に立った。

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