番外編:柄の悪い町の噂。
(´・ω・`)「ココはちょっと柄の悪い町のドコにでもある怪しい酒場。おや?カウンターで話をする二人の男。面白そうな話をしていますね…。ちょっと聞き耳を立てて見ましょう。」
SE
「おい。聞いたか?」
「何を?」
「この町にハイデッカーが来たそうだ。」
「ああ、ソレは聞いた。凄いデブの魔法使いで何でも兵隊を痛ぶるのが大好きなんだろ?」
「そうだな、気に入らないヤツはそうらしい。何でも熊を素手で殺る大男だそうだ。」
「熊か…。この前に町の兵が負けて帰って来たヤツだろ?」
「ああ、そうだ。見て来た、代官代理が譲り受けた物だ。とんでもない大きさの熊だ。」
「で?どうだった?」
「腹から人の破片や指輪が出てきた。間違いない。兵の持ってた物だ。」
「最悪だな。」
「そうさ、兵の家族が泣いている。”代官代理が悪いってな。”」
後半を声を潜めて話す男。
「仕方ないだろ。あんな魔物だ。戦うヤツの頭がおかしい。」
「そうだ、一応は討伐はされた。熊の毛皮は代官代理が買い取って、ハイデッカーの”ぼっちゃん”が、その金を遺族への支度金にするコトに成った。」
「すげえな、あのケチが文句言うだろう。」
「配分方法はケチがやるコトになったと言う落ち付きだ。」
「最悪だな…。」
「ケチは青くなってる。ぼっちゃんは”文句が出ない様にしろ。”だそうだ。」
「傑作だ、あの代官代理に文句言いたくないヤツはこの町に居ないだろう。」
「それでだ、”その頭のおかしいハイデッカーの”ぼっちゃんが問題だ。」
更に声を潜める男内緒話に近い。
「何が?あ?」
「聞いた事が有るだろハイデッカー様の末っ子が変な踊りをして笑いながら岩を殴るって話だ。」
「あ?ああ。ドコかで聞いたな。」
「ソレが、今回のぼっちゃんだ。」
「あの?キチ力゛イ?」
「その、吉貝。物心付いた頃から岩を殴って、岩を砕く様になり、狼を素手で倒したそうだ。13で、だ。」
「ソレは無いだろ?狼に勝てる子供が居るのか?」
「居るんだ。ハイデッカー様のご子息だ不思議は無い。ハイデッカーの兵隊も怖がっているらしい。並の猟師より腕が立つらしい。単独で熊を狩るらしい。」
「噂だろ?」
「そうだ、噂だホンモノが来るまでは、な?ホンモノは百戦錬磨の大男だ、眼つきが違う。遠くから見たがとんでもねえ腕の太さだ。只のデブじゃない。」
「代官代理はそんなの相手にするのか?」
「するしかない。噂ではハイデッカーの兵が街道の保全の為コチラに向かっているらしい。しかもドラゴンを狩る様な精鋭だ。」
「ドラゴン?」
「そうだ、ドラゴンだ。ホンモノだ。町の兵隊の前で広げやがった、ハイデッカーの兵隊とぼっちゃんが共同で狩ったそうだ。ぼっちゃんは先行隊でサイクロプスの首を狩って進んできた。熊に到っては素手だそうだ。」
「なんで?素手?」
「熊はお遊びだろ?素手で戦う理由は無い。ハイデッカー様だ、竜殺し様だ。」
「ドラゴンスレイヤーねえ。」
「ハイデッカー家の男だ。普通なら首を狩っていてもおかしくない。昔は首を飾るダケに館を作ったって話だ。」
ジョッキを飲み干す男。
唸相方は残った酒を眺める。
「趣味か…。」
「ひでぇ話だ。衛兵連中は叱責を恐れて町のゴロツキ共を小突いて回っている。ハイデッカー様の目に触れ無い様に、だ。」
「それで町に兵隊が多いのか。兵がゴミ拾いしてたからな。」
「でだ、ぼっちゃんの一行は王都の学校の一団らしい、お貴族様の子弟だ。お嬢さんも居る。」
「ほう、妙なコト考えるヤツが居そうだな…。」
「ソレだ。もうすぐハイデッカーの兵が来るかもしれない。”攫ってとんずらするヤツ”が出たら大迷惑だ。10年前の首狩り祭りが起きる。」
「ああ、そうだな。」
「一家のゴロツキ共も10年前のハイデッカー様の働きを覚えている者が多い。なりを潜めた者も居る。長く逗留する気は無いらしいからな。」
「町が綺麗になったのは皮肉なもんだな。」
「それと、冒険者ギルドに出して有った熊の討伐賞金は。ぼっちゃんが持っていった。」
「ああ?何で?」
「冒険者なのさ、あのぼっちゃん。傑作なのが、クラスなしだってよ。町のクラスBの冒険者チームが逃げ帰った熊を倒したのが。クラスなしだぜ?」
「おいおい、悪いよ。しかし、何で冒険者ギルドに登録したんだ?」
「さあな。町のチームが逃げ帰って評判を落としたが。正直あの熊だ。逃げるしかない。よく逃げ帰ったもんだ。問題は…。」
「倒したのがクラスなしか…。」
「そうだ、冒険者ギルドでは”身形の良さそうな者には近づくな。”ってな。」
「なんで?」
「因縁付けるバカが居るからだろ?」
「そんなバカは死ぬだろ?」
「そうだろうな。趣味で熊を素手で倒す様な大男だ、しかも御貴族様だ、ケンカ売るヤツは居ないだろう。バカ意外は。」
「だいいち、御貴族様には取り巻きの兵隊が居るだろ?」
「困ったコトに居ないらしい。」
「ああ?何で?」
「さあなあ、ソレで全兵隊達に言葉に気を付ける様に命令が下りたそうだ。」
「ソレでか…。何か兵隊達がよそよそしかった。」
「町の中に残った兵は皆、町の仕事で手一杯だ。」
「只でさえ魔物が活発になっている。山道では大型の魔物が出て通行できない所も出てきた、廃坑への道だから噂にはなって無い。」
「それだ、魔物のせいで皆、鉱山の仕事が疎かになっている。」
「ハイデッカー様なんとかしてくれないかな…。」
「頼めば何かしてくれるだろうが。何を請求されるか解からんのが現状だ。麦の値段を上げろ…。とかだ。代官代理はもう何もして欲しくないそうだ。取巻き商人達の利益が減ると袖の下が減るからな。」
「そうだよな…。只でさえ暴利を貪ってる連中だ。パンの値段が上がったままだからな。」
SE
(´・ω・`)「いやー面白い話が聞けたね。マスター。今日はここまでにしておくよ。おあいそ。」
(φω・)「イッテラッシャイマセ。」




